「一身上の都合により」――降板や脱退などで目にする意味深な言葉。作・演出の山崎洋平は、そこに“野次馬精神”を刺激されたという。
山崎「SNSで『諸事情により』『一身上の都合により脱退します』なんて見ると、何があったんだろうってワクワクする(笑)。表には出てこない揉め事の裏を見てみたいな、と」
本作の舞台は、アイドルのライブ会場のバックヤード。秘密裏に進めてきたライバルアイドルのお披露目を企てる中、“女帝”と恐れられるプロデューサーが現れて――。子会社のプロデューサーを演じる朝霧真は、最初に企画書を読んだ時から惹かれたという。
朝霧「本当に面白くて、この作品に携わりたいと思いました。退団後、お芝居だけで一本やらせていただくのは初めて。これまでは歌やダンスに助けられる部分もあったので、私自身にとっても挑戦です」
宝塚時代には、公演を続けるために出演者同士でカバーし合う経験も。
朝霧「舞台の前に体調不良や怪我など、いろいろある中で、みんなでカバーし合って舞台を作り上げてきました。その大変さも知っているし、一方で外から見た時には『何があったんだろう』と知りたくなる気持ちもわかる。両方の気持ちがわかるからこそ、演じられるものがあるのかなと思います」
一方、“女帝”と恐れられる親会社のプロデューサー役を演じる富沢亜古は、公演の降板や中止を「一身上の都合により」と公表することについて一刀両断。
富沢「なんかめんどくさいですよね。はっきりすりゃいいのに(笑)。みんな言っちゃえば、もっと話が進むのに」
子会社の社長を演じる鈴木歩己も「都合のいい言葉だな」と言いつつ、山崎に共感する。
鈴木「何かあるとSNSで『どうなってるんだ?』って深掘りしたくなる。卑しい人間だなとは思います(笑)」
山崎が描くのは、余裕をなくし、感情に振り回される人間たち。
山崎「冷静になれば分かり合えるのに、言わなくていいことを言って問題が膨れ上がっていく。そういう視野が狭くなった人って、見ているとちょっと笑っちゃうんですよね」
見どころは、俳優同士の生のやり取り。
朝霧「相手がこう言ってきたから感情が芽生えて、出ちゃった、というふうにしたい。相手から受け取る側もしっかりできたら」
富沢「いろんな力がうまくぶつかり合うといい。その現場でしか出ない力があると思う」
鈴木「初めてご一緒する方が多いので、『この人はこんなお芝居をするんだ』『こう来たら、こう返ってくるんだ』というやり取りがとても楽しい」
それぞれの“都合”と感情がぶつかり合う、熱量たっぷりの90分になりそうだ。
(取材・文:五月女菜穂 撮影:立川賢一)
プロフィール
朝霧 真(あさぎり・まこと)
2011年、宝塚歌劇団入団。月組男役として12年間活動し、『エリザベート』、『1789 ―バスティーユの恋人たち―』、『応天の門』などに出演。2023年の退団後は舞台を中心に活動し、大阪・関西万博公演『未来への One Step!』、『エリザベートTAKARAZUKA30周年 スペシャル・ガラ・コンサート』などに出演。
富沢亜古(とみざわ・あこ)
東京都出身、文学座所属。1979年、『丸山蘭水楼の遊女たち』で初舞台。1999年、『令嬢ジュリー』で第7回読売演劇大賞 優秀女優賞を受賞。近年は、舞台『ウィット』、ドラマ『母の待つ里』、『相棒 season18』などに出演。
鈴木歩己(すずき・あゆみ)
古川日出男の演劇ユニットへの参加を機に演劇活動を開始。桟敷童子、KAKUTA、椿組など小劇場を中心に活動するほか、謎解きゲームや韓国演劇にも参加。現在は伊豆大島を拠点にジオガイドとしても活動する。本作でジェットラグ作品への出演は11 本目。
山崎洋平(やまざき・ようへい)
1987年、宮城県出身。日本大学藝術学部演劇学科卒業。脚本・演出・俳優・歌手として活動。『スイートホーム』、『大遺作』、『演劇版「稲川怪談」』、『極楽』など多数の舞台作品を手掛け、テレビドラマ等の脚本も担当。WAHAHA本舗所属。
公演情報
ジェットラグプロデュース『一身上の都合により』
日:2026年11月25日(水)~29日(日)
場:新宿シアタートップス
料:プレミアムチケット[特典付]9,500円
一般 前売7,500円 当日8,000円(全席指定・税込)
HP:http://www.jetlag.jp
問:ジェットラグ mail:info@jetlag.jp
28名限定! 一般7,500円→5,600円+カンフェティポイント付き!