連続対談企画㉓『“演劇”のある生活』[1月後半~2月前半放送分](BS松竹東急プロデューサー・湯浅敦士×カンフェティ編集長・吉田祥二)

連続対談企画㉓『“演劇”のある生活』[1月後半~2月前半放送分](BS松竹東急プロデューサー・湯浅敦士×カンフェティ編集長・吉田祥二)

第23回 無料放送局『BS松竹東急』 1月後半~2月前半の演劇ラインナップをご紹介!

 BS松竹東急は、映画・歌舞伎・一般演劇などのエンターテインメントを通じて人々に感動を届けてきた松竹グループと、渋谷をはじめとした街づくりによって、人々の豊かな暮らしの基盤を構築してきた東急グループがコラボレーションして、2022年3月26日に開局した放送局。編成コンセプトに、『誰もが楽しめて親しみやすい歌舞伎や劇場文化』を掲げている。
 また演劇以外にも、映画・オリジナルドラマなど、あらゆるジャンルの番組を編成し放送する無料総合編成チャンネルとして、上質感やワクワク感をお届けするという……、なんとも謎に包まれた放送局である。
 この企画では、かねてより親交のあったBS松竹東急の湯浅プロデューサーを迎え、カンフェティ編集長の吉田とともにBS松竹東急のラインナップを紹介しながら、ざっくばらんと各々が思う演劇について月いちペースで語っていく、そういう対談企画である。

※過去回はリンク先にて公開中!

(第1回~第22回)

(第1回)2022年4月のラインナップ
(第2回)2022年5月のラインナップ
(第3回)2022年6月のラインナップ
(第4回)2022年7月のラインナップ
(第5回)2022年8月のラインナップ
(第6回)2022年9月のラインナップ
(第7回)2022年10月のラインナップ
(第8回)2022年11月のラインナップ
(第9回)2022年12月のラインナップ
(第10回)2023年1月のラインナップ
(第11回)2023年2月のラインナップ
(第12回)2023年3月のラインナップ
(第13回)2023年4月のラインナップ
(第14回)2023年5月のラインナップ
(第15回)2023年6月のラインナップ
(第16回)2023年7月のラインナップ
(第17回)2023年8月のラインナップ
(第18回)2023年9月のラインナップ
(第19回)2023年10月のラインナップ
(第20回)2023年11月のラインナップ
(第21回)2023年12月のラインナップ
(第22回)2024年1月のラインナップ

1月後半~2月前半のラインナップはこちら!

日曜ゴールデンシアター ほか
1月28日(日) 夜8時30分~ ビリー・ジョエル「ライヴ・アット・シェイ・スタジアム」
2月3日(土)・4日(日) 祝!デビュー30周年 2日連続!GLAY特集
 3日(土)昼12時30分~「GLAY EXPO ’99 SURVIVAL LIVE IN MAKUHARI」
 4日(日)夜6時30分~ 「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」

湯浅「1月が当たり前に始まっていますがいかが過ごされていますか?」

吉田「年明け早々、カンフェティ主催のイベントで『ゴジゲン松居大悟のイラスト展』というのを下北沢・「劇」小劇場にて開催しました。年末からいろいろと準備をしていたのですが、とても大盛況に終わったので、よかったです。関連グッズは、まだネットで販売しているので、ご興味ある方はぜひ!(https://magazine.confetti-web.com/news/news-news/46435/)」

湯浅「松居大悟さんは相変わらず多才ですよね……! 本当羨ましい限りです。ちなみに、吉田さんの観劇初めはどの作品でしたか?」

吉田「残念ながら、まだでして……。2月頭に帝国劇場で行われる『ジョジョの奇妙な冒険』のミュージカル化作品をカンフェティでは半貸切公演を実施します! いろいろ企画もやるのでご期待ください!」

湯浅「ジョジョは第4部が好きです! 僕は知り合いの俳優が出演していることもあり、テニミュが今年の観劇初めでした。根強い人気の立海戦でしたが……やっぱりこみ上げるものがありましたね。『ブラッディ+メアリー』の舞台化のほか、3月には『ハンターハンター』の第2弾も控えていますよね。今年も今から楽しみな2.5次元舞台が目白押しです。どちらもこれまた知り合いの俳優が出るのでピックアップさせていただきました」

吉田「2024年も2.5次元はさらに進化しそうですよね! 湯浅さんも(プライベートで)ご自身の企画公演をスタートされて、新たなネットワークが広がりつつありますよね。素敵です!」

湯浅「そんな飛躍の年になればいいなあということに願いを込めつつ……。それでは今回もラインナップをご紹介したいと思います。まずは1月28日ですね」

吉田「これは驚きました。もしかすると初の洋楽編成ですか?」

湯浅「ロイヤルバラエティパフォーマンスなど、海外の舞台作品はお送りしたことがあるのですが、“洋楽ライブ”というところでは弊社では初めてお送りします」

吉田「ビリー・ジョエルは、ご紹介するまでもないと思いますが、アメリカを代表するポップス界のシンガー・ソングライターの最高峰ですよね。「ピアノ・マン」、「ストレンジャー」、「素顔のままで」など、代表曲だけを挙げてもキリがないですが、親しみやすい楽曲で幅広い層から今もなお人気のレジェンドアーティストです」
湯浅「先日24日に16年ぶりとなる来日公演が行われたことでも話題ですよね。BS松竹東急では、ライブの興奮冷めやらぬうち、というところで、28日に過去のライブ映像を放送します」

1月28日(日)夜8時30分~
ビリー・ジョエル

吉田「個人的には「オネスティ」が一番好き、というか、10代の頃、「オネスティ」のメロディがずっと頭の中をループしてる、ってことがしょっちゅうありました。子どもも大人も、一度聴くと忘れられない、そんな楽曲を次々と世に送り出した稀有なアーティストだと思います」

湯浅「ニューヨーク・メッツの本拠地であり、The Beatlesが1965年8月15日に史上初の野球場でのライヴを行って以来、ローリング・ストーンズやジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトンなどなど、偉大なアーティスト達が歴史的なライヴを行ってきたSheaStadium (シェイ・スタジアム)。その歴史あるスタジアムが2009年に取り壊しになるのに伴い、その最後を飾るコンサートを行ったビリー・ジョエルのライブを無料初放送でお送りします。ポール・マッカートニーら超豪華アーティストが次々登場しますので、本当にこの作品が無料で視聴できるというのはなかなかないことと思います」

吉田「まさに奇跡の饗宴ですよね! この歴史的パフォーマンス、伝説的ライブをすべての人に体験してほしいです」

 

湯浅「そしてその翌週は……“祝!デビュー30周年 2日連続!GLAY特集”をお送りします」

吉田「振り幅がすごいだけでなく、この放送は超貴重ですね!」

湯浅「今年5月にデビュー30周年を迎えるGLAY。ちょうど先日周年のテーマが発表されました。30周年のテーマは“GLAY EXPO”。そしてメンバーそれぞれを、あの尾田栄一郎先生がデザインしたビジュアルも解禁されるなど、今からワクワクが止まりません」

吉田「30周年イヤーの幕開けに、今も語り継がれる2つの伝説の野外ライブを観れるなんて本当に贅沢だと思います」

祝!デビュー30周年 2日連続!GLAY特集
2月3日(土)昼12時30分~
「GLAY EXPO ’99 SURVIVAL LIVE IN MAKUHARI」
2月4日(日)夜6時30分~
「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」

湯浅「BS松竹東急では、幕張メッセに20万人を動員したことで話題となった「GLAY EXPO ’99 SURVIVAL LIVE IN MAKUHARI」を3日のお昼の時間帯に。そして、4日の夜には20周年を記念して行われた「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」を送りします。どちらのライブも誰しもが知っているであろう名曲の数々のオンパレードです」

吉田「「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」は、東日本大震災の復興を願って開催され、東北6県の代表的なお祭りが一堂に会した六魂祭とのコラボも大きな見どころですよね」

湯浅「……というところで、以上です! 今回も前回に引き続き諸事情により情報出しが少なくて申し訳ないのですが、一方で注目の番組を2つ紹介させてください」

吉田「よろしくお願いします!」

湯浅「まずは、来日記念! “BS松竹東急 クイーン フェスティバル”と題してクイーン作品の特集を行います。昨年の大晦日に紅白歌合戦に出演して話題にもなったクイーンですが、今年2月に来日公演を予定しています。きっと日本のクイーン熱もさらに高まること間違いなし!と思いながらこの編成を進めてまいりました。詳細はBS松竹東急のHPをご確認いただき、ぜひぜひ、ご覧ください!」

※BS松竹東急 クイーン フェスティバル 詳細はこちら

湯浅「そして、もう1つの番組は……!」

吉田「前回のこの対談でも触れさせていただいた番組ですね」

湯浅「はい!「お酢きびと」です!この番組は配信先行番組になっていることもあり、先に配信をしましたが、2月に一挙放送することが決まりました!」

2月4日(日)昼12時30分~
「お酢きびと」

吉田「一挙放送おめでとうございます! 第1回目の放送は、弊社の近くの神楽坂のお店でしたよね。酸辣湯麺、私も月に数回食べるくらい好きなので、つい見入ってしまいました。「お酢ながき」、「酢っばらしい……」など、キャッチーなフレーズの数々も楽しいです!」

湯浅「2月4日から2月の毎週土日(2月24日を除く)に放送します。さらには、TVerでの見逃し配信も行いますので、ぜひぜひ再生してください……(笑)」

吉田「湯浅さんの切実な思いが感じ取れました(笑)」

湯浅「もちろん視聴率も大事なのですが、TVerでの再生数も昨今の業界では大切なひとつの指標でもありますので……」

吉田「僕はちゃんと再生しますね、約束します!」

湯浅「ありがとうございます……!(笑)」

湯浅「さて、以下フリートークですが、お気づきでしょうか?」

吉田「……何をですか?」

湯浅「今回ほとんど演劇の話が出来てません!(笑)」

吉田「本当ですね!」

湯浅「ということで、久しぶりに本格的に演劇の話でもしましょうか。

吉田「いいですね! 最近私は、“演劇との出会い方”という問いについて、今年のテーマにしようかと思っているくらい、色々と考えを巡らせています」

湯浅「“出会い方”ですか」

吉田「習慣的に観劇される方は、自分で情報をキャッチして観に行くと思いますが、初めての観劇は、友達の誘いや、小さい頃に両親に連れられて、など、身近な人がきっかけというのが圧倒的に多いと思います。2.5次元がブームになってからは、漫画・アニメ・ゲームなどがきっかけに舞台を初めて観る人もかなり増えました。コロナ禍を経て、舞台業界を取り巻く環境も様変わりし、劇場から離れていってしまった観客もいますが、これから新たに“演劇と出会う”人たちもいる。新しい“演劇との出会い方”のしくみ・大きく言えば文化をつくり出せないか? すみません! 長々とまだ解のない独り言を並べてしまって。職業病です(笑)」

湯浅「そういう意味では、放送や配信というのものひとつの“出会い方”ですよね。この企画でもゲストで登場していただいた七味まゆ味さんも、演劇をよくテレビで観ていたとおっしゃっていました」

吉田「「カンフェティ」はフリーペーパーやウェブサイトで広く多くの人に演劇を届けるサービスを展開していますが、一方で演劇ってすごくパーソナルというか……、個人的に楽しむ性質が強い。スポーツ観戦のように、みんなで観に行こうぜ!ってどうにもならない……。なので、そもそもの入り口の捉え方から見直さなきゃなと思っています。ずっと何周も考えてきたテーマではあるんですけどね……」

湯浅「確かに、どうしたらみんなで観に行こうぜになるんですかね……」

吉田「数人ってのはあると思うんですけど」

湯浅「そのためには、観客同士のコミュニティないし交流がやっぱり必要ですよね。よくありがちかもですが、カンフェティさんが主軸となったそういうファンコミュティサイトなのか、SNS関連なのかというのを作ってみる、というのはどうでしょうか?」

吉田「ありがとうございます! いいアイデアですね」

湯浅「でもマネタイズ、大変そうですね……」

吉田「チケットの売れ行きにつながればいいんですけどね」

湯浅「……いやあ、本当難しいテーマですね」

吉田「でも演劇好きな人ってすごく熱量のある方が多いのも事実で。この前知り合った30歳くらいの女性が、とても演劇愛を持っている方で、これまで観た演劇・観たかった演劇含め、約7,000枚近い演劇のチラシをコレクターされているそうで、この熱量はなかなか他のジャンルの観客にはないんじゃないかと思います」

湯浅「確かにそこの熱量をうまく活かせたらすごいものが生まれそうですね。ただそもそものところで、他の芸術に比べると、演じている側と観客側の距離も近く、密な体験をしているという面はあると思うので、まあそこが演劇の特徴でもあるんですけどね……」

吉田「まぁ、そんなことを年の初めにあれこれと考えながら過ごしています」

湯浅「話は若干戻りますが、観劇人口や出会いを増やすにはもちろん劇団や創作者の広報宣伝は欠かせないと思いつつも、演劇を支える企業であるカンフェティさんとか、そのほか国や行政が本当に計画的に、現場を理解して、機会の提供につながる企画や補助金などを設けることが大事なような気がします」

吉田「そのとおりですね」

湯浅「そして創作者側も、十分頑張ってらっしゃるとは思うのですが、もう少し背伸びしてみて国や行政、ならびに企業の取り組みに興味を持ってみるというのも……そうですね。お互いに情報共有して、演劇というジャンルを大きくしていこうとすることも大事だと思います」

吉田「確かに主催者側って“公演”って言いますけど、行政側は“事業”と呼びますもんね」

湯浅「おっしゃるとおりですね。常々に劇団の方と話すたびに言うのですが、優れた作家、演出家は本当にすごいことだと思うのですが、一方でプロデューサー脳を持っている人や“事業”として公演を捉えられる制作がいると本当に事業としての劇団が育つように思いますし、もちろん人の考え方はそれぞれなんですが、そういうことを意識するというのはやっぱり演劇が続いてく、劇団が続いていくためには、この日本においては必要なことのように思います」

吉田「私はさらに“営業”というポジションがあるといいなって思います」

湯浅「さすがカンフェティさん!」

吉田「大手の興行元さんて、チケット営業の方がいるじゃないですか? でも中小規模の団体だと制作さんやプロデューサーが、どうチケットを売ろうかって考える。割り切ってチケットを売ることに専念するポジション=営業がいたら、たとえ小さい劇団でも収益を出す体制づくりが進むのではと、カンフェティを始めてから思うようになりましたね」

湯浅「入り口を作るのがテーマとおっしゃっていましたけど、答えが出たような気がします」

吉田「なんですか?」

湯浅「カンフェティ主催のチケット営業を育てるセミナーとかじゃないでしょうか?」

吉田「ああ……なるほどね!」

湯浅「チケット販売に関して、やっぱりカンフェティさんはすごいノウハウがお持ちだと思うので、その知識を若い劇団や制作に伝えていくという活動などは、収益を出すことに重きを置ける演劇公演の増加=つまりは、観劇人口の増加&入口創出につながるとも言えるかもしれませんね。それに吉田さんだから出来ることのように思います!」

吉田「ありがとうございます!企画書にまとめてみようかな……」

湯浅「年内にトライアルセミナーをやってみましょう! 僕も参加します!」

吉田「是非、よろしくお願いします!」

プロフィール

湯浅敦士(ゆあさ・あつし)
日本大学芸術学部演劇学科卒。他局を経て、2021年にBS松竹東急に入社。BS松竹東急の演劇編成、週末ミライシアターなどのプロデューサーを担当。プライベートでも舞台の脚本を手掛けるなど、演劇を愛する気持ちに満ちている。

吉田祥二(よしだしょうじ)
シアター情報誌[カンフェティ]編集長。早稲田大学第一文学部卒。在学中に劇団を旗揚げし、以来約10年に渡って同劇団の主宰・脚本家・演出家を務める。2004年に「エンタテインメントを、もっと身近なものに。」を理念に掲げ、ロングランプランニング株式会社を起業。趣味は登山(縦走)。

【放送局】 BS松竹東急(BS260ch/総合編成無料放送)
【局公式Twitter】 @BS260_official

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