
Noism Company Niigata 2026冬公演Noism0+Noism1『Morimur』(モリムール)は、J.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」の終曲《シャコンヌ》の世界観を中心とした舞踊作品。演出振付を手掛ける金森穣は、19歳で《シャコンヌ》に心を鷲掴みにされて以来、いつか振付をしたいと“その時”が来るのを待ち続けていたという。
「Noismは、2027年の8月末でりゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館の専属舞踊団としての活動が終了します。何かが終わって何かが始まるという再生の時を、私自身が歩んでいる。そんな過程で作る作品はどんなものがいいかと考えた時に《シャコンヌ》に挑むのは今しかないなと。若い舞踊家が育っているNoismの中で、52歳になる私が、彼らと呼吸を合わせて踊れるギリギリの段階で何か受け渡せるものがあればいいな、という思いもあります」
本作で描かれる“死と再生”は、金森が繰り返し問い続けているテーマでもある。
「昔は“死”というなんともしがたいものをどうしたら受け入れられるか、みたいなところが自分の創作の源流でした。なので若い頃に挑んでいたら絶望の作品になっていたかもしれない。それこそ、“このまま死んでもいい”みたいな感じで踊っていたでしょうね。もちろん今回もそれぐらいハードな作品にはなるし、踊っている瞬間はそれぐらいの気持ちなんだけど。今の私は、死によって生が輝くという、ある種、死を肯定的に捉えるフェーズに入っていて。全霊を込めて踊りきった先にある希望に繋がる気配を感じるから。私は本当に《シャコンヌ》が大好きで。自分が踊るとしたら、“もうこれが最後”ぐらいの……その先に作品を作っている自分を想像できなくて、ずっと挑めなかったんです。やりたくなかったというか。でも今はその先が見えそうな気がしています」
本作での課題は「振付家としてだけでなく、舞踊家として伝えられることを創作過程でどう伝えるか」だと語る。
「通常は、“もうちょっとこういうシーンを作りたい”とか“楽曲から受けたイメージから、こういうシーンにしよう”と振付をしていくんだけど。今回は音楽をかけて、メンバーと一緒に踊ることで見えてくるものから作ろうかなと。振付家として客観的に構成するというよりは、中に入って、舞踊家としてクリエーションに挑む感じになるのかな。このAI社会で問われる“人間が人間である所以”や、生身の身体の可能性と向き合って。同じ時間と空間を共有しないと表現できないものをお届けしたいですね」
(取材・文:林 桃 撮影:立川賢一)


「批評家で哲学者の東浩紀さんが立ち上げた『ゲンロン』という会社が2020年に開発して、管理運営する配信プラットフォーム『シラス』が私の個人的流行です。
無料で誰でも配信できるYouTubeと違って課金性のプラットフォームですが、有料だからこそ配信側も視聴側も本気になれるし、流行に惑わされない。
これからの時代、AIによってさまざまな情報が無料で、より大量に消費されるようになる。その情報の荒波の中、有料という縛りを設けて、極めて属人的な情報のやり取りをすることは、より重要な意味を持つことになると思います。
その方向性は、生身の身体による、一期一会の、属人的表現を生業とする舞踊芸術家にとっても、示唆的なものだと思います」
プロフィール

金森 穣(かなもり・じょう)
演出振付家、舞踊家。Noism Company Niigata芸術総監督。17歳で渡欧、モーリス・ベジャール等に師事。ルードラ・ベジャール・ローザンヌ在学中から創作を始め、NDT2 在籍中20歳で演出振付家デビュー。10年間欧州の舞踊団で舞踊家、演出振付家として活躍し帰国。2004年、新潟市りゅーとぴあにて日本初の劇場専属舞踊団Noismを立ち上げる。その作品と革新的な創造性に満ちたカンパニー活動は高い評価を得ている。2021年、紫綬褒章受章。2026年3月、一般社団法人NEMUSPORTA設立。
公演情報

Noism0+Noism1 『Morimur』
日:2026年12月26日(土)・27日(日) ※他、新潟公演あり
場:東京芸術劇場 プレイハウス
料:一般6,000円
U25[25歳以下]3,500円
※要身分証明書提示
(全席指定・税込)
HP:https://noism.jp
問:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 tel.025-224-5521(10:00~17:00/休館日除く)
38名限定! 一般6,000円(全席指定・税込) → 4,500円 +カンフェティポイント付き!
