「ウィルス」「事故」「ゾンビ」……皆さん、あらすじに「騙されないで!」

「ウィルス」「事故」「ゾンビ」……皆さん、あらすじに「騙されないで!」

 元劇団スーパーエキセントリックシアター出身の道上拓冬が脚本・演出を務める舞台、『Heartless/死人に心無し』。
 あらすじを読むと「密かに研究開発されていたウィルスが、ある事故によって漏洩。そのウィルスにより人々はゾンビへと変貌してしまった。政府は事故原因を隠蔽。ゾンビ達は全て駆除したと発表した。それから10年後……1人の探偵に依頼が入る。そこに事故の真相を握る少女が現れるのだが……」と、なんともおどろおどろしい内容だが……?
 どんな舞台になるのか。道上のほか、主演する今出舞、稲葉光に話を聞いた。

―――あらすじを読むと一体どんなお話になるのだろう……と思うのですが、ぜひ本作の構想を教えてください。

道上「はい。『ウィルスが…』とか『ゾンビへと変貌してしまった――』とか書いていますけど、内容はコメディです」

―――え! これ、コメディなんですか(笑)!

道上「はい(笑)。あらすじを読んで劇場に来て頂いた方に、いい意味で裏切られて欲しいという思いがあって。ただ、コメディとはいえ、ちゃんとストーリー性もあるコメディにしたいと思っています。ふざけているシーンで、要所要所に物事の核心をついたセリフがあると、ハッとしたり、逆にそれが心に残ったりする時ってあるじゃないですか?
 ……なので、こういうあらすじを出していますが、めちゃくちゃコメディです。コメディですが、ただのネタ見せショーで終わらない作品にしたいと思っています」

―――なるほど。それで今出さんが「事故の真相を握る少女」という役で、稲葉さんが「それに巻き込まれていく探偵」という役だそうですね。おふたりは脚本を読まれてどう思いましたか?

今出「いや、本当にあらすじに騙されました(笑)。実際、私のファンの方々もSNSで『怖い話なのかな?』、『ホラー苦手だから観るの迷う』などとコメントを下さったのですが、『全然怖くないです!』と声を大にして言っています。
 本当に難しいことを考えなくても観られる作品で、きっとどの世代にも刺さって面白いと思ってもらえるはず。なんていうのかな、凝った面白さではなくて、しょうもないというか、ぱっと見て笑えるというか……(笑)。気軽に観に来られる作品だと思います」

稲葉「脚本を読んで感じたのは、周りがとにかくボケまくるということ(笑)! 僕はそれらにツッコミながらも、振り回されているキャラクターを演じます」

今出「小ボケが多いんだよね」

稲葉「大袈裟かもしれないけど、3行セリフあったら、1回はその中で誰かボケている印象です(笑)。
 それからあらすじを読むと『ゾンビ』が出てくるわけですが……。ゾンビのイメージが変わりました。とにかくかわいいし、なんか愛着が湧いてくる。この本を読んで、キャラクターとしては1番ゾンビのことが好きになったかな」

―――道上さんは警備員A役。意外と鍵を握っているのでしょうか……?

道上「いや、握っていないです(笑)。例えば演出家と同じ舞台に立って、しかも何かお芝居で絡むとなると緊張する役者さんも多いかもしれないですけど……。僕はそこに上下関係みたいなものは持ち込みたくなくて、フラットでいたいんですよ。なので演出家が舞台上で蹴られようが弄られようが、それが面白ければ、僕は何をされてもいいんです。それを踏まえて、鍵は握っていません(笑)」

―――おふたりはコメディということに関してはいかがですか?

今出「私、稲葉くんがツッコミだというイメージがなさすぎて(笑)。稲葉くんはボケなんです、圧倒的にボケなんです」

稲葉「そうそう。前に今出さんと共演させてもらった作品がコントで、僕はボケでしたよね」

今出「私がツッコミでした。彼は天然なところがあるので、ツッコミのイメージが皆無。前回の舞台でも私は本当に恐ろしい思いをしました(笑)。めちゃめちゃ面白かったんですけどね」

稲葉「多分僕、これが人生初のツッコミ役です。仰る通りコメディをやると、ボケの役回りを振られるので……」

今出「今回の役は、人生初めてのツッコミ役でやるツッコミの量じゃないよね(笑)」

稲葉「鍛えられます(笑)」

道上「僕が稲葉くんと共演したときもボケの役回りでしたが、彼はできないことはできるようになるまで、ストイックに練習をする。その姿を僕は見ているので、今回のツッコミ役も頑張ってくれると思うんですよ。稲葉くんのファンの方々にも、彼の見たことない姿をぜひ観てほしいなと思っています」

稲葉「普通に生きてきてツッコミをしたことがないので、とてつもないプレッシャーですが、道上さんにツッコミの極意を教えていただきたいですね!」

―――ちなみに今出さんとしては、ご自身が「挑戦だな」と思われることはありますか?

今出「うーん……。めちゃくちゃ短いシーンの間に早着替えがあることですかね(笑)。でももしかしたら間に合わないことも見越した台本になっている気もしています。
 早着替えを失敗しても、それもネタにしてくれるはず! きっと稲葉さんがうまく料理してくれるはず!と思っています」

―――いやはやまだお稽古前ですが、すでに皆さんの仲の良さが伝わってきます!

稲葉「道上さんや今出さんとの共演させてもらったご縁で、今回出演させていただくことになりましたが、おふたりとも芝居に対しての姿勢が真摯なので、とてもリスペクトしています。
 関係性がすでにできている分、仲のいい座組みにはなると思いますし、変な気を使わなくていいのはありがたいですね。それに『仲がいい=ダラける』ということでなくて、何か違うなと思ったことははっきりと伝え合いたいし、どんどん作品を磨き上げていきたいなと思います」

今出「うんうん、雰囲気のいい稽古場になりそうですよね。道上さんはいつも穏やかでニコニコしていらっしゃる優しい方なので、すごく平和な稽古場になるんじゃないかな。誰も萎縮することなく、みんなで楽しくいい作品を作り上げられるのではと期待しています」

―――最後に観劇を楽しみにされている皆さまに一言お願いします!

稲葉「あらすじを読むとちょっと怖いイメージがあるかもしれないですけど、何も難しい話ではないですし、シンプルに気持ちよく最後まで楽しんでもらえるはずです。普段演劇や舞台に触れて来なかった方にもぜひ観て頂きたいなと思っています」

今出「左に同じく、です」

稲葉「いや、もう一言お願いします(笑)」

今出「はい(笑)。最初にも言いましたが、本当にあらすじに騙されないで来てください(笑)。全然怖くないですし、社会性がある小難しいものでもないです。どちらかというと、人と人との心の繋がりを感じるようなお話。笑いたかったり、ちょっと温かい気持ちになりたいなと思ったりしたら、ぜひ観に来ていただけたら嬉しいです」

道上「このコロナ禍であまり外に出ていない方も多いかもしれませんが、こういうご時世だからこそ、ぜひ生の舞台でしか感じられない臨場感を味わって欲しいなと思います。
 これは僕が勝手に思っている事なんですけど、笑う事って、多分人間にしか出来ないと思ってます。だって猫や犬が階段を踏み外して転んだときに、それを見て笑っている猫や犬を僕は見たことがないので。
 なので、人間だけに許された、この『笑い』をもっと楽しんで欲しいんです。笑うと免疫力が上がると言いますからね! 澱んだ雰囲気の今だからこそ、何も考えずに観て『何やねん、こいつら!』と笑ってもらって、皆さんにスッキリとした氣持ちで帰って頂きたい。それが僕の1番の目標です」

(取材・文&撮影:五月女菜穂)

プロフィール

今出 舞(いまで・まい)
1993年6月12日生まれ、大阪府出身。2009年、SKE48第3期オーディションに合格。研究生として活動後、2012年に卒業。近作に、imgAct5『明日の卒業生たち』、@emotion presents Expression Vol.9 銀『NEVER EVER NEVER』など。

稲葉 光(いなば・ひかる)
1990年10月17日生まれ。茨城県出身。近作に、ミュージカル『モンブラン ~黄昏のROUTE69~』、舞台『無人島に生きる十六人』、絶対青春合唱コメディ『SING!!!』 -空の青と海の青と僕らの学校-、KHET produce『ゆがんだめんめん』など。2023年3月30日には「NxT Treasure 2023 Spring Collection」SSH SHOWにゲストモデルとして出演予定。

道上拓冬(どうじょう・たくと)
1978年2月20日生まれ。兵庫県出身。SET研究生卒業公演の『我愛仙女』を見て俳優を志し、「どうじょう拓人」名義で劇団スーパー・エキセントリック・シアターに入団。退団後は、現在の「道上拓冬」に改名し、舞台・テレビ・映画で活動中。近作に、ROCK Entertainment Vol.1 舞台『ワスルカ』、NHK BS時代劇『善人長屋』、絶対青春合唱コメディ『SING!!!』 -空の青と海の青と僕らの学校-など。

公演情報

DREAM ORBITAL TROOP Vol.1
『Heartless 死人に心なし』

日:2023年3月22日(水)~26日(日)
場:シアター・アルファ東京
料:一般6,500円(全席指定・税込)
HP:https://www.dreamorbitaltroop.com/
問:合同会社DOT
  mail:dreamorbitaltroop@yahoo.co.jp

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