
野心的に勝利を追い求めてきた女性法廷弁護士が一転、ある日から被害者となる。自分が信じてきた法制度が被害者を追い詰め、傷つけるものだと突きつけられた彼女は、どんな道を選ぶのか――。全世界を席巻したスージー・ミラーの衝撃作『プライマ・フェイシィ ―私の声を聞いて―』が、日本に初上陸。栗山民也演出のもと、三浦透子が初めての一人芝居に挑む。
「自分1人で物語を伝えるということ、こういった題材を扱うこと、その責任と課題の大きさに、自分史上最も覚悟が必要だと感じています。この作品を私に託してくださった方々の想いに応えたい。この人に演じてもらえてよかったと思ってもらわなければ、というのが率直な気持ちです」
小劇場ならではの凝縮された空間で、三浦は作品を届けることになる。
「性暴力の問題が描かれていることもあり、最初に本を読んだ時は正直、苦しかったです。これを演劇にするということは、物語を“生”でお客様に実感し、考えてもらうということ。人の肉体を通して台詞を口にする、その人間を目の当たりにしなければ、この問題を本質的に捉えることはできないのではないかと感じています。伝える役目を担った者として、覚悟をもって臨みます」
これまでに2度、栗山演出の経験がある三浦に、彼の演出を受ける醍醐味を尋ねた。
「栗山さんは最初に、台詞の細かな言い回しとそれに伴う身体の動かし方を提示してくださいます。全部決められていて不自由なように聞こえるかもしれませんが、その体験が私には新鮮でしたし、決められたことをやった先で自由のようなものに触れられた瞬間がありました。もう一度、あそこまで行きたい。そのために栗山さんの元でもう一度学びたいという気持ちです。1人で栗山さんの演出を受けるということは、とても贅沢なことです」
舞台に立つ魅力とは。
「コツコツと積み上げて準備をし、本番に向けて自分を整えていく、そういう作り方が身体に合っていて好きです。また繰り返すことのプロフェッショナル性に憧れる部分もあります。できないことが、どうしたらできるようになるか。どうしたら楽しくなるか。課題に取り組んでいる時間が面白いんです。今回もきっと稽古から本番まで、身体も心も頭もフルに動かして忙しくなるはず。その時間をめいっぱい楽しみたいです」
(取材・文:木下千寿 撮影:友澤綾乃
スタイリスト:佐々木 翔 ヘアメイク:山口恵理子)


「実は忘れ物が多い人間なので、芝居の際はいつも身につけるものや舞台に持って出るものを、スタッフさんに一緒に確認してもらったり、置き場所や手に取る流れをルーティンにしたりと対策をしています。小道具では、とくに紙類を忘れがち。紙類は誰かに渡すことが多いので、私が忘れると相手の方にエアで渡すことになり、相手の方にもエアの芝居を強いることになるので、本当に申し訳ないなと思っています。以前、わりと厚みのある紙の束を持ち忘れて舞台に出てしまいました。かなり存在感がある小道具なのに気づけず、反省しています」
プロフィール

三浦透子(みうら・とうこ)
1996年10月20日生まれ。北海道出身。映画『ドライブ・マイ・カー』で第45回日本アカデミー賞 新人俳優賞など数々の賞を受賞。栗山民也演出の舞台『ロスメルスホルム』で第58回紀伊國屋演劇賞 個人賞、第31回読売演劇大賞 優秀女優賞を受賞。主な出演作に、主演映画『そばかす』(2022年)、Netflixシリーズ『地獄に堕ちるわよ』(2026年)、ドラマ『銀河の一票』(2026年)など。歌手としても活躍しており、映画『天気の子』(2019年)では主題歌を歌唱し、同年、第70回NHK 紅白歌合戦にも出演。5月には東京・大阪にて自身初のライブハウスツアーも開催予定。
公演情報

『プライマ・フェイシィ ―私の声を聞いて―』
日:2026年7月1日(水)~26日(日)
※他、地方公演あり
場:下北沢 ザ・スズナリ
料:昼公演6,500円 夜公演5,500円
(全席指定・税込)
HP:https://www.siscompany.com/prima/
問:シス・カンパニー
tel.03-5423-5906(平日11:00~19:00)
