全世界に大きな衝撃をもたらした話題作、日本初上陸! 責任と課題を受け止め、心と体と頭をフルに使って挑む

全世界に大きな衝撃をもたらした話題作、日本初上陸! 責任と課題を受け止め、心と体と頭をフルに使って挑む

  野心的に勝利を追い求めてきた女性法廷弁護士が、ある日を境に“被害者”となる。自分が信じてきた法制度が被害者を追い詰め、傷つけるものだと突き付けられた彼女は、どんな道を選ぶのか――。全世界を席巻したスージー・ミラーの衝撃作『プライマ・フェイシィ―私の声を聞いて―』が、日本に初上陸。栗山民也演出のもと、三浦透子が初めての一人舞台に挑む。

 「お話をいただいたとき、『この作品をやる資格のある自分でいたい』と背筋が伸びました。そういう作品に出会えるというのは、とてもありがたいことです。自分一人で物語を伝えるということ、こういった題材を扱うこと。その責任と課題の大きさに、自分史上最も覚悟が必要だと感じています。私が本作を観る側ならば、役者としてはもちろん、人間として信頼できる人に演じてもらいたいだろうと思ったので、この作品を私に託そうと思ってくださった方々の想いに応えたい。作品を作る側の方にも、そして観に来てくださる方にも『この人に演じてもらえてよかった』と思ってもらわなければ、というのが率直な気持ちです」

 関西公演の上演劇場は、近鉄アート館と神戸朝日ホール。凝縮された空間で、三浦は作品を届けることになる。

 「性暴力の問題が描かれていることもあり、最初に本を読んだときは、正直、とても苦しかったです。これを演劇にするということは、物語を“生”でお客様に実感し、考えてもらうということ。自分がお客様の立場だったら、舞台と近い距離感でこの作品を体感するのは、ある種の覚悟が必要だと思います。ただ人の肉体を通して本作のセリフを口にする、その人間を目の当たりにしなければ、この問題を本質的に捉えることはできないのではないかと感じています。劇場で見ていただく意義が大いにあると思いますし、私も伝える役目を担った者として、覚悟をもって臨みます」

 性暴力の問題は日本だけでなく、各国で起こり続けている世界的な問題だ。本作を引き受けるにあたり、三浦も改めて思索を深めた。

 「ニュースなどを見て、話を聞き、頭では“理解したつもり”になっている。けれど、心は頭にちゃんと追いつけているのか。そう自分に問いかけ続けています。当事者でない人は『苦しんでいる人の気持ちがわかります』『これが私の思う正しさです』なんて、安易に言うことはできない。言えないということをきちんとわかっていなければいけないと、強く感じました。それも、この作品を読んだからこそ得られたものです」

 これまでに二度、栗山演出の経験がある三浦に、彼の演出を受ける醍醐味を尋ねた。

 「栗山さんは最初に、セリフの細かな言い回しとそれに伴う体の動かし方すべてを提示してくださいます。全部決められていて不自由なように聞こえるかもしれませんが、その体験が私にはとても新鮮でしたし、決められたことをやった先で自由のようなものに触れられた瞬間がありました。もう一度、あそこまで行きたい。そのために栗山さんの元でもう一度学びたいという気持ちです。まだ二回しかご一緒していないので、栗山さんの意図を完全に理解できているわけではもちろんないですし、一生できないのかもしれませんが(笑)、栗山さんの演出を通じて見えてくるものがとても興味深くて、『知りたい』という気持ちになるんです。まして今回のように、一人で栗山さんの演出を受けるというのは、とても贅沢なことだと思います」

 栗山氏の演出を受けるにあたり、どのようなことを意識しているのだろうか。

 「どの現場でも意識していることではありますが、とくに栗山さんの現場では素直でいること、そしてまずやってみるということを大切にしています。栗山さんは博識でいらっしゃるので、演出の意図には必ずバックボーンがあります。その演出意図を汲むためにも、自分の知らないことは素直に質問し、教えていただく。機会を逃さず曖昧にせず、きちんと聞くよう心がけています。そして、その場で言われたことをやってみる。目の前のことをクリアしなければ次には行けないわけで、次の課題をいただけないのは、とても悔しいですから」

 本作が、三浦にとっては20代ラストの舞台となる。彼女にとってきっと、ひとつの大きな節目となることだろう。

「20歳のときに初めて舞台に立ち、この作品で20代を終えるというのは感慨深いものがあります。取材などで『30歳をどんな年にしたいですか?』と訊かれることも多いのですが、この舞台を終えてみないと、ちょっとわからないという心境で(笑)。私の中では、それくらい大きな位置を占めている作品です」

 コンスタントに舞台に立ち続けている三浦。舞台に立つ魅力をどのように考えているのか。

 「舞台はコツコツと積み上げて準備をし、本番に向けて自分を整えていく。そういう作品の作り方が身体に合っていて好きです。また“繰り返す”ことのプロフェッショナル性に憧れる部分もあります。1回きりではなく、焼き回しでもない。その瞬間に生まれた、心のこもったものを何度もできるというのはすごいことだなと思うんです。そして今はできないことが、どうしたらできるようになるか。どうしたら楽しくなるか。都度の自分の課題に取り組む時間も、とても充実しています。一方で映画という文化も大好きなので、舞台と映像、両方がより豊かになっていくようなバランスでお仕事をやっていけたらと思っています。今回もきっと稽古から本番まで、身体も心も頭もフルに動かしてとても忙しくなるはず。その時間をめいっぱい楽しみたいと思っています」

 心身共にハードな夏となりそうだが、コンディションをととのえる秘訣というと?

 「特別なことはしていなくて、ちゃんと寝ることと、ちゃんと食べること。でも、これが意外と大変なんですよね。この仕事をしながら普通の生活をちゃんと送るというのが、私にとっては大事で、人間として安定していなければ、演じる仕事はできないと思いますし、とくに今回のような作品は、心身の健康を意識しながら取り組むことが大切かなと思っています。自分自身を守ったうえで、責任をもって役を演じるという視点を忘れないようにしたいです」

(取材・文:木下千寿 撮影:友澤綾乃
 スタイリスト:佐々木 翔 ヘアメイク:山口恵理子)

ステージでのハプニングはありますか?(その時のエピソードや、どうリカバリーしたか教えてください)

「実は忘れ物が多い人間なので、芝居の際はいつも身につけるものや舞台に持って出るものを、スタッフさんに一緒に確認してもらったり、置き場所や手に取る流れをルーティンにしたりと対策をしています。小道具では、とくに紙類を忘れがち。紙類は誰かに渡すことが多いので、私が忘れると相手の方にエアで渡すことになり、相手の方にもエアの芝居を強いることになるので、本当に申し訳ないなと思っています。以前、わりと厚みのある紙の束を持ち忘れて舞台に出てしまいました。かなり存在感がある小道具なのに気づけず、反省しています」

プロフィール

三浦透子(みうら・とうこ)
1996年10月20日生まれ。北海道出身。映画『ドライブ・マイ・カー』で第45回日本アカデミー賞 新人俳優賞など数々の賞を受賞。栗山民也演出の舞台『ロスメルスホルム』で第58回紀伊國屋演劇賞 個人賞、第31回読売演劇大賞 優秀女優賞を受賞。主な出演作に、主演映画『そばかす』(2022年)、Netflixシリーズ『地獄に堕ちるわよ』(2026年)、ドラマ『銀河の一票』(2026年)など。歌手としても活躍しており、映画『天気の子』(2019年)では主題歌を歌唱し、同年、第70回NHK 紅白歌合戦にも出演。2026年10月24日(土)に「三浦透子at Billboard Live TOKYO 2026」を開催。

公演情報

プライマ・フェイシィ ―私の声を聞いて―

【東京公演】
日:2026年7月1日(水)~26日(日)
  ※他、地方公演あり
場:下北沢 ザ・スズナリ
料:昼公演6,500円 夜公演5,500円
  (全席指定・税込)

【関西公演】
日:【大阪】2026年8月9日(日)~11日(火・祝)
  【兵庫】2026年8月14日(金)・15日(土)
場:【大阪】近鉄アート館 【兵庫】神戸朝日ホール
料:6,000円(全席指定・税込)

HP:https://www.siscompany.com/prima/
問:シス・カンパニー
  tel.03-5423-5906(平日11:00~19:00)

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