後悔さえも生きていく力に。愛と感動を描くハートフルストーリー 10周年!「純喫茶モンブラン」で繰り広げられる魂の交差点

後悔さえも生きていく力に。愛と感動を描くハートフルストーリー 10周年!「純喫茶モンブラン」で繰り広げられる魂の交差点

 ミュージカル『モンブラン~黄昏のROUTE69~』は、中野智行(PaniCrew)が原案・演出を手掛けるミュージカル作品。純喫茶モンブランを舞台に、ちょっと変わり者のマスターと、しっかり者のウェイトレス・アユミが、訪れる客たちに寄り添うハートフルストーリーだ。
2016年の初演以来、キャストや演出をアップデートしながら再演を重ね、2026年の今年は記念すべき10周年を迎える。作品を代表して、演出の中野氏と、主演・横木章弘、ヒロイン・武田智加に話を聞いた。


≪さらに加速する「モンブラン」≫
———初演から10周年を迎える本作ですが、どのような想いで企画されたのでしょうか?

中野「僕自身が元々アーティストですので、映像系やバラエティ番組、音楽番組等たくさん経験させてもらった中で、自分はやっぱりライブエンターテインメントが1番自分の中で命や人生に替わるものだなと思っていて。
 職業がダンスボーカルなので、体の動く間にライブエンターテインメントで何を返していけるのかって考えた時に、ライブとかコンサートだけじゃなく、こういう舞台もチャレンジしようと思ったうちの1つがこの作品です」

———再演するにあたり、改めて作品に向かう時に大切にしていること、譲れないことなどお聞かせください。

中野「再演する際、全く同じ作品内容にしていなくて、曲を新たに作り直したりとかもしていますね。役者が変わるとやっぱり作品も変わっていくので、そこに合うように台本も書き換えたりしています。
今年演じてくれる方々が、もちろん伝統とか受け継いでいくことも大事なんですけど、自分たちの作品なんだって思えるように作っていくことは意識してますね」

———横木さんは、24年版以来2回目のマスター役です。振り返って印象に残っていること、チャレンジや課題と思っていることは?

横木「24年版のマスターは、中野さんからチャンスという形で主役をいただきましたが、2026年版は、いろいろ経験を経てたくさんのファンの方もついてきてくださっている現在の僕を見てお声がけくださって、そういうところでまず気持ちの部分で全然違いますし、気合いが入ります。
 2回目ですが、先ほど中野さんが言われた通り、新しい共演者の方々になるので、まっさらなゼロの気持ちで新たな2026年版のマスターを作っていこうと思っています」

———前回のマスター役から何を受け取りましたか?

横木「人に対する優しさ、人に対する期待ですかね。人間とは不完全な生き物だと考えます。時には欲に溺れたり、時には傲慢になったり、それが原因で自分・他人を傷つける。そんな部分があります。けれど、反面には想像できないような優しさ、希望、思いやりの強さも持っています。
 マスターはそんな人間の良い部分に期待と尊敬を持っている方です。昨今、社会のルールが厳しくなり『ルールに従うだけ』で終わってしまう現代に寂しく感じる時があります。マスターが想っているように、僕は、一人の人間として根底の部分にある〝優しさ〟や〝らしさ〟に責任を持って生きていく人間でありたい。そんな想いをマスターから受け取りました」

中野「実は……横木くんと出会った頃は全然人気なかったんですよ(横木 爆笑)。僕は10年ぐらいの付き合いですけど、元々彼は役者ではなくシンガーで歌が大好きで、歌の活動をしながら看護師をやっていて。看護師の仕事の合間に歌の勉強しながら自分でライブを打ったりしている中で出会いました。
 最初は歌メインで入ってもらったんですけど、もちろんシンガーとしてずっとやり続けるのも大事なんですけど、よくバンドのボーカルとかでもミュージカルなどに出て、歌い方について1つヒントが閃いて、歌い方が変わって歌の世界が広がったとか、そういうのに気づいてほしいなと思って、彼にお芝居もやってみないかと。そうしているうちに気がついたら人気が出てきて、じゃあ1回主役やってみようかって。そうしたら、お芝居でも答えを出してくれて」

———では横木さんにとってこの作品が様々なきっかけになっているのですね。
そして初参加となる、ヒロイン・アユミ役の武田さん、作品の印象をお聞かせください。

武田「私が思った10倍歌って踊ってるなっていう印象です(一同笑)。お話をいただいた当初ミュージカルとはお聞きしていたんですけど、全貌を知らず過去の映像を拝見したら、私こんなに歌って踊って大丈夫かなと。でも前作に私のアイドル時代の先輩である熊沢世莉奈さんが出ていらっしゃったので、役は違いますが先輩のその次を引き継げるような、卒業した後もこうやってご縁があるのは嬉しいです。
ビジュアル撮影では、みなさんにアユミちゃんだ! アユミちゃんぽい!とすごく言っていただけたので、もっと役を作り上げていけたらと思います」

———アユミちゃんはどんな子ですか?

武田「真っすぐで純粋ですよね。全部にまっすぐ突き進むことは、なかなかできることじゃないと思います。アユミちゃんだからツッコめるセリフも多いですし、感情の起伏がある子だと思うので、それをうまく歌と踊り、そして芝居にのせていけたら。ズバズバ言うけど愛されキャラを深めていきたいです」

≪今このメンバーでしか作れない最高傑作≫

———毎回ブラッシュアップするとのことですが、2026年版としてのテーマや構想をお聞かせください。

中野「この作品の前にも別の案件でコンサートや演出など、いろんな仕掛けをやっていて様々な新しいインスピレーションは感じてるんで、そこを盛り込んでめちゃくちゃ無茶ぶりしたろうかなっていう(一同笑)。
 めっちゃ踊って、めっちゃ喋ってるけど、もういっちょ踊って歌おうかな、ぐらい思ってます。やはり小劇場の限界を超えていきたいですね。
いろんな小劇場の舞台作品を観に行くんですけど、僕にしかできない、このサイズでこんなことできるんだみたいなことに関しては、どんどんトライしていきたいと思ってますね」

———楽しみです! 改めて、お2人の魅力とは?

中野「横木くんは、誠実さですね。何に対しても、自分のアーティストとしてのプレイ、自分の人生観に関しても常に嘘をつかない。ちなみに僕はめっちゃ嘘つきます(笑)。
 大人になるととりあえず、できひんのにできる言うてみたりとかあるじゃないですか。でも彼(横木)はそこは全くなくて、できないけどやりますとか、はっきり自分の中の階段を見ながら確実に1歩ずつ歩くところが僕が彼に惚れているとこですね」

横木「いや~~照れますね。こんな直球で言っていただいたのが初めてだったので嬉しいです」

中野「武田さんはもうワクワクしかない。アユミというキャラクターは、正直で素直でムードメーカーで、1人の女の子として好きな人もいたりとか。さらに大事にしたい純喫茶モンブランの店員たちとの葛藤の中で、武田さんが何を見出してこのストーリーの真ん中を走るのか、もう楽しみでドキドキしています。どんどん無邪気に活発に遊んでほしいと思ってます」

———ちなみに武田さんからモンブラン経験者に聞きたいことは?

武田「稽古はどのように進みますか?」

中野「僕の稽古は、めちゃくちゃ早く仕上げるタイプです。演出家さんによってゆっくり丁寧にやっていく方もいるんですけど、僕は役者さんに早めにお渡しします。
 もう稽古始まって1週間ぐらいで通してるから、みんなめちゃくちゃパンパンな状態で最初の通しをやるんですけど、でもゴールがわかってる方がやるべきことも役者さん的には見やすいのかなと。
僕自身がプレイヤーだったから、逆に1週間前になっても通してない方が胸騒ぎがするというか。そういう意味でもなるべく早く通し稽古をやるといつも掲げているよね、そういう方が楽しいかなって」

横木「そうなんです。1週間で通すよって言われた時はゾワゾワしました(笑)。
ただその後は最後まで見せていただいているので、そこからは役者個人個人が自分の役で、どう自分の役を立たせていこうかっていう時間に使えるので、それを中野さんに見せて、中野さんのイメージと自分たちの役が合うのかの戦いを常に稽古でしていくような形ですね」

———作品を磨く時間が長いんですね。

武田「気合いを入れて頑張ります!」

横木「中野さんはド直球で変化球はないです。やりたいことをとにかくぶつける、ぶつかっていけばいくほど、僕たちが出したものに対して違うってことは言わず全部返してくれます。それがそのまま2026年版の”モンブラン”になっていくのかな」

武田「わかりました! ぶつけます! キャラクター的にもこのカンパニーの皆さんとちゃんとコミュニケーションをとって、もちろん人と人とのコミュニケーション自体がやっぱり作品にすごく出ると思うので、まずは皆さんと仲良くなる。
 バックヤードでもアユミだねって言われるように、ムードメーカーとしてみんなを引き上げられるポジションになれたら。アユミちゃんは現場の空気を明るくできる子だと思うので、私自身もそうなりたいと思います」

≪最後まで誰もが大事な役どころ≫

———そして他の共演者についてもお聞きします。今回、十六夜ルクスさん演じるオーナー役が、解禁時にイラストで情報が出ていていつものオーナーとは雰囲気が違いますね。

中野「ミステリアスなキャラクターがいたらとても面白いなと思っていて。
そういう意味でもイラストでのビジュアルの方がいらっしゃるのが、1つ僕からしたら演出冥利に尽きるというか、いかに彼をミステリアスに見せるかっていう。今の彼をどうこの作品に活かせるのかとても楽しみにしていて、そしてドキドキもしてます(笑)」

———最初はとても軽めのタッチでスタートし、徐々に物語がディープになっていくのが中野さんマジック。最後にメッセージをお願いいたします。

横木「舞台上にはたくさんのキャラクターがいますが、みんな生き生きとしています。最後の最後まで誰もが大事な役どころです。そこを楽しみに劇場へお越しいただきたいです」

中野「未練とか後悔って必ずあるじゃないですか。僕ももう50代なんですけど、何か後悔を持つのは当たり前で、その後どう向き合って生きていくのかを1つ提示するような作品になったらいいよね」

(取材・文&撮影:谷中理音)

プロフィール

横木章弘(よこぎ・あきひろ)
10月23日生まれ、兵庫県出身。看護師を経て「うた唄い」としての道を歩み、2020年9月『此処から』でソロ活動を開始。現在、オリジナル曲『きみとぼく』がSpotifyにて50万回再生を突破。俳優としても活動の幅を広げ、MUSICAL『追憶のアンブレラ ~VOICE 2025~』では初のシングル主演(ボス役)を務めたほか、MUSICAL『moderato〜刻を奏でるラジオ〜』、ミュージカル 『モンタージュ~届けたい一通のラブレター~』などに出演。

武田智加(たけだ・ともか)
2月25日生まれ、神奈川県出身。HKT48の元メンバーを経て、ドラマや映画、舞台に出演し活動の幅を広げている。主な出演作品に映画『賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』、舞台『雨の音が聞こえる』、『LALL HOSTEL』、『1リットルの涙』などがある。

中野智行(なかの・ともゆき)
3月14日生まれ、大阪府出身。日本屈指のダンスパフォーマンスグループPaniCrew(パニクルー)のサブリーダー。また、株式会社BIG UP代表取締役として、多くの舞台作品の演出やプロデュースなどを手掛けている。キッズダンスブームの仕掛人としても知られている。近年の作・演出に、ミュージカル『moderato~刻を奏でるラジオ~』などがある。

公演情報

ミュージカル『モンブラン~黄昏のROUTE69~』

日:2026年5月13日(水)~17日(日) 
場:シアターグリーン BIG TREE THEATER
料:一般6,500円 学割5,500円
  ※要学生証提示(全席指定・税込)
HP:https://musicalmontblanc2026.amebaownd.com/
問:BIG UP mail:bigupstage@gmail.com

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