ハートは熱く、背筋は凍る……新感覚のスリラーバレエ、再演 斬新な振付と豪華な音楽で綴られる、吸血鬼ドラキュラの物語

ハートは熱く、背筋は凍る……新感覚のスリラーバレエ、再演 斬新な振付と豪華な音楽で綴られる、吸血鬼ドラキュラの物語

 『吸血鬼ドラキュラ』といえば、世界中で知られるホラー小説の古典だが、それをバレエ作品にしたのが本作『ドラキュラ』だ。日本では2014年にNBAバレエ団が初演。2021年に再演を果たしたこの作品が、2年振りに再演されるのだが、ドラキュラ役にはゲストとして前作もこの役を踊った英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルの平野亮一と、元英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパルの厚地康雄を迎える。そして今回は第3のドラキュラとして、バレエ団ファーストソリストである刑部星矢が登用された。

刑部「前回の『ドラキュラ』でアンダースタディをやらせて貰ったのですが、それまでガチガチのクラシックばかり踊ってきた自分にとって、こんな素敵な作品があるのかと思わせてくれました。いつか自分も、とは思っていたので、今回お声を掛けていただきすごく気合いが入ってます」

 そしてヒロインのミーナ役には、バレエ団プリンシパルの野久保奈央とファーストソリストの山田佳歩が選ばれている。

野久保「とても演劇要素が多いこの作品は、クラシックバレエというよりもミュージカルや演劇に近い感覚。まるで映画を観ているようで面白いですよ。私が踊るミーナも演技の部分が多くて、大人っぽい。私が今までやってきた役には無い要素が多いです。それをどこまで突き詰められるかが楽しみであり、ちょっと不安な部分もあります(笑)」

 そしてマイケル・ピンク(ミルウォーキー・バレエ団芸術監督)による振付は斬新な部分も多く、それがまた作品の魅力でもあると2人は語る。

野久保「パ・ド・ドゥではこんなリフトある?と思わせるような斬新な振付が沢山あって、初めて見たときはハラハラしていました」

刑部「ドラキュラは都合3人の人間を襲うのですが、最初は男性を襲います。つまり男性同士のパ・ド・ドゥが出てくるので、男性をリフトしたり、アクロバティックな動きがあったりと、なかなか見所ですね」

 時に「魅惑のスリラーバレエ」とも称される『ドラキュラ』。バレエの公演に敷居の高さを感じている人でも、これなら入りやすそうだ。

野久保「ええ、この作品は気楽に観て楽しめると思いますし、バレエの違う一面が見られるでしょう」

刑部「今回は素敵な先輩2人と一緒に『ドラキュラ』を踊りますが、僕は僕なりの『ドラキュラ』を披露できるように頑張ります。想定外のリフトのために鍛えている最中です(笑)」

(取材・文:渡部晋也 撮影:山本一人(平賀スクエア))

梅雨を楽しく乗り越えるあなたなりの工夫はありますか?

刑部星矢さん
「今まで雨の日に外に出かけるのが億劫で、家で過ごすことが多かったのですが、最近車を購入し気軽に出かけられるようになりました。梅雨の時期でも家族や友人と色々なところへ出かけて、気晴らししたいと思います」

野久保奈央さん
「梅雨は私自身とても苦手な季節で、毎年湿気と戦っています。足の古傷が疼いて気分も落ちてしまいがちなので、雨具を新調したり、好きなアーティストの明るい曲を聴いて気分を上げるようにしています。あとは、雨が酷い時は無理をして外出せず、家で趣味に没頭する時間にして自分の機嫌を自分で取るようにしています。
季節の変わり目で体調も崩れやすいので皆様もお身体には気をつけて、楽しく梅雨を乗り越えましょう」

プロフィール

刑部星矢(ぎょうぶ・せいや)
東京都出身。清水哲太郎に師事して、2007年に松山バレエ団入団。全ての演目に出演。2015年、ルドルフ・ヌレエフ版『眠れる森の美女』で森下洋子のパートナーを務め、以来、4年間にわたり森下洋子の相手役を務めた。2019年、同バレエ団を退団し、NBAバレエ団にソリストとして入団。『白鳥の湖』(王子)、『ドン・キホーテ』(エスパーダ)、『ブルッフ』(レッド)、『ドラキュラ』(ヴァン・ヘルシング/ アーサー)などを務める。2020年には刑部・小林バレエスタジオを開校した。

野久保奈央(のくぼ・なお)
山口県出身。5歳より黒田節子バレエスタジオにてバレエを始め、黒田節子、橋口彩子に師事。2016年にNBAバレエ団公演『Director’s Selection』に出演し、『ブルッフヴァイオリン協奏曲』のピンクカップルを踊る。2018年、アーティストとしてNBAバレエ団に入団。以降『くるみ割り人形』(クララ)、『白鳥の湖』(パ・ド・トロワ)、『海賊』(オダリスク)、『ドン・キホーテ』(キトリ)などを務める。2019年ソリスト、2021年ファーストソリスト、2022年にプリンシパル昇格を果たす。

公演情報

NBAバレエ団 ドラキュラ

日:2023年8月5日(土)・6日(日) 
場:新国立劇場 中劇場
料:
【8/5】S席12,000円 A席10,000円 B席8,000円 学生席4,000円
【8/6】S席10,000円 A席8,000円 B席6,000円 学生席4,000円
※他、各種セット券あり。詳細は団体HPにて(全席指定・税込)
HP:https://nbaballet.org/
問:NBAバレエ団 tel.04-2937-4931(平日9:00~17:00)

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