第24回 無料放送局『BS松竹東急』 2月後半~3月の演劇ラインナップをご紹介!
BS松竹東急は、映画・歌舞伎・一般演劇などのエンターテインメントを通じて人々に感動を届けてきた松竹グループと、渋谷をはじめとした街づくりによって、人々の豊かな暮らしの基盤を構築してきた東急グループがコラボレーションして、2022年3月26日に開局した放送局。編成コンセプトに、『誰もが楽しめて親しみやすい歌舞伎や劇場文化』を掲げている。
また演劇以外にも、映画・オリジナルドラマなど、あらゆるジャンルの番組を編成し放送する無料総合編成チャンネルとして、上質感やワクワク感をお届けするという……、なんとも謎に包まれた放送局である。
この企画では、かねてより親交のあったBS松竹東急の湯浅プロデューサーを迎え、カンフェティ編集長の吉田とともにBS松竹東急のラインナップを紹介しながら、ざっくばらんと各々が思う演劇について月いちペースで語っていく、そういう対談企画である。
※過去回はリンク先にて公開中!
(第1回~第23回)
(第1回)2022年4月のラインナップ
(第2回)2022年5月のラインナップ
(第3回)2022年6月のラインナップ
(第4回)2022年7月のラインナップ
(第5回)2022年8月のラインナップ
(第6回)2022年9月のラインナップ
(第7回)2022年10月のラインナップ
(第8回)2022年11月のラインナップ
(第9回)2022年12月のラインナップ
(第10回)2023年1月のラインナップ
(第11回)2023年2月のラインナップ
(第12回)2023年3月のラインナップ
(第13回)2023年4月のラインナップ
(第14回)2023年5月のラインナップ
(第15回)2023年6月のラインナップ
(第16回)2023年7月のラインナップ
(第17回)2023年8月のラインナップ
(第18回)2023年9月のラインナップ
(第19回)2023年10月のラインナップ
(第20回)2023年11月のラインナップ
(第21回)2023年12月のラインナップ
(第22回)2024年1月のラインナップ
(第23回)1月後半~2月前半のラインナップ
2月後半~3月のラインナップはこちら!
日曜ゴールデンシアター ほか
2月18日(日)夜6時35分~
歌舞伎『高坏』(平成22年2月・歌舞伎座)『梅ごよみ』(平成29年2月・歌舞伎座)
2月25日(日)夜7時~
LUNA SEAライブ The End of the Dream ZEPP TOUR 2012『降臨』
3月3日(日)夜6時30分~
熱海五郎一座 楽曲争奪ミュージカル『静かなるドンチャン騒ぎ』
3月10日(日)夜6時30分~
布袋寅泰ライブ 30th ANNIVERSARY ANTHOLOGY II “威風堂々”
3月17日(日)夜6時30分~
歌舞伎『村松風二人汐汲』(平成19年9月・歌舞伎座)
『本朝廿四孝 十種香・狐火』(平成20年10月・歌舞伎座)
湯浅「先日は新年会、お疲れ様でした!」
吉田「忘年会に続き、(弊社がある)神楽坂までありがとうございました!」
湯浅「いえいえ、楽しそうな吉田さんが拝見できてよかったです(笑)」
吉田「本当に楽しかったんです! 縦走部のこれからについての話がメインでしたが(笑)、ここ数年なかなか明るい話題の少なかった舞台業界で生きている皆さんと、年の初めにいろんな明るい未来の話ができて、パワーをもらえました」
湯浅「中でもマラソン課が新設されたのは大きなことですね。今年も楽しいことが多い1年になりますように! さて、そんななか、2月後半からのラインナップです」
吉田「よろしくお願いします!」
湯浅「まず、25日はLUNA SEAのライブをお届けします」
吉田「LUNA SEAといえば、1989年に結成されたRYUICHI・SUGIZO・INORAN・J・真矢の5人組のヴィジュアル系ロックバンドです。ちょうど私が思春期の頃に一世を風靡したバンドで、男女問わず熱狂的なファンが多かったですね。ボーカルの河村隆一さんは、ソロ活動で舞台出演もされており、個人的に、舞台『銀河英雄伝説』はまだ記憶に新しいです」
2月25日(日)夜7時~ LUNA SEAライブ The End of the Dream ZEPP TOUR 2012『降臨』
湯浅「河村さんの舞台は拝見したことがないので気になります! 先日、デビュー30周年を祝して、GLAYのライブをお届けしたのですが、LUNA SEAも今年が結成35周年という周年の年にあたります。先日周年のツアーも発表されたばかりで、全国、いや全世界の「SLAVE(スレイヴ)=LUNA SEAファンの総称」の皆様もライブを心待ちにしているのではないでしょうか? 」
吉田「劇団でもメンバーを入れ替えながら、30年・35年続く劇団はあって、心から尊敬しますが、LUNA SEAのように結成当時からメンバーが変わらずこれだけの年数を重ねて、しかも新たな魅力を発信しつづけるロックバンドは、もう“超かっこいい”のひと言に尽きますね」
湯浅「今回お届けするライブは2012年に行われたもので、ライブハウスでのライブでもありますので、LUNA SEAならではの激しいライブを楽しめるのではと思います」
湯浅「そして、3月に入りまして、3日は熱海五郎一座の公演をお届けします」
吉田「“伊東ならぬ熱海”、“四朗ならぬ五郎”で“熱海五郎一座”。というわけで、一度限りの予定で2004年に旗揚げした伊東四朗一座の“東京の喜劇”“東京の笑い”を継承すべく、三宅裕司さんを中心に旗揚げされた劇団です。去年は毎月連続で人気作を放送していた時期もありますよね」
湯浅「今年6月には、新橋演舞場シリーズ第10回記念公演を発表されましたよね。 伊東四朗さんのほか、ゲストに松下由樹さんが出演されるということで今から楽しみです」
吉田「今年のお正月ドラマで、伊東四朗さん出演の人気シリーズ『おかしな刑事』の最終回! 大千秋楽スペシャルというのがやっていて、実はずっと昔から観ている好きなサスペンスシリーズなのですが、その物語のカギを握る役として三宅裕司さんも出演されていて、伊東さんとの芝居合戦が見ものでした。舞台での共演も久々だと思うので、これは楽しみですね!」
3月3日(日)夜6時30分~ 熱海五郎一座 楽曲争奪ミュージカル『静かなるドンチャン騒ぎ』
湯浅「タイトルが、東京喜劇 熱海五郎一座『スマイル フォーエバー ~ちょいワル淑女と愛の魔法~』とのことで、タイトルからしてワクワクが伝わってきますよね」
吉田「楽しみですね! 放送される『静かなるドンチャン騒ぎ』も“楽曲争奪ミュージカル”という気になる冠がついていて、すでに笑えます!」
湯浅「ぜひ、BS松竹東急での放送をご覧になって&復習して、6月の公演も観劇してはどうでしょうか?」
湯浅「そして、10日は布袋寅泰さんのライブです」
吉田「布袋寅泰さんといえば、日本を代表するギタリストで、1981年にBOØWYのギタリストとしてデビューし、解散後もソロ活動やCOMPLEXなどを経て、多くの名曲を生み出しました。その他、映画やCMにも出演されたり、音楽プロデューサ
ーとしても活躍。2003年には楽曲が映画『キル・ビル』のメインテーマに採用され、世界的にも注目を集めましたね。
今も音楽界のカリスマ的存在です」
湯浅「このライブにはGLAYのTERUさんがゲストで登場するほか、誰しもが聴いたことがあるであろう名曲の数々をぜひお楽しみください」
3月10日(日)夜6時30分~ 布袋寅泰ライブ 30th ANNIVERSARY ANTHOLOGY II “威風堂々”
吉田「にしても、本当に幅広い音楽編成をされていますよね」
湯浅「一昨年12月から音楽編成を始めていますが、今年に入ってからはビリー・ジョエルやクイーンといった洋楽、そしてGLAYやLUNA SEAといったバンドライブ編成にも挑戦しました」
吉田「次にどんなアーティストのライブが登場するのだろうと楽しみです」
湯浅「やはり周年とかツアー中であるとか、そういったアーティストの方の作品を中心にお送りできたらなと思っています。無料放送の良さはきっとそこにあるはずで、昔大ファンだったけど、今はあまり聴かなくなったというアーティストは誰しもいると思うんです。ただ別にそれは日々の忙しさのなかで熱が多少なりとも薄れていっただけに過ぎないはずで。
だからかつてのライブをご覧になることで熱が再燃することもあると思っています。それでまた最新ライブをやっているんなら行ってみようか! なんてことになればいいなとも思います」
吉田「確かにそもそも火種がなかったところに火を付けるのは容易ではないですが、すでに小さくとも火が燃えているのであればそれを大きくするほうが簡単かもしれませんね」
湯浅「別に音楽に限ったことじゃなくて、これは演劇にも、ほかのことについても言えることのように思っています。あと逆に最新ライブ終わりとかで当社で放送がある=ファンたちがみんなで視聴して盛り上がることでの、ファン組織の醸成もあるのではとも思っています」
吉田「仕事や生活の忙しさに追われ、淡々と続く日常の中、ふと、若い頃好きだった曲やアーティストを思い出して久しぶりに聴いてみたり動画を見たり、そういう時間て地味に大切ですよね。BS松竹東急の番組を観て、ライブにも足を運んで、心の潤いと豊かさをキープする。最高ですね。私もこれを機に、昔好きだったアーティストを一度振り返ってみたいと思います!」
湯浅「ちなみに、今振り返ろうと思っているアーティストはどなたですか?」
吉田「前も言ったかもしれないですが、やっぱり高校のときにコピーしていたブルーハーツですね」
湯浅「前も言ったかもしれませんが、僕の場合は甲本ヒロトさんは出身地・岡山の星です! ドブネズミみたく美しく在りましょう!」
吉田「(笑)」
湯浅「そして毎月必ず1演目はお送りしています、歌舞伎ですね! 2月は歌舞伎『高坏』(平成22年2月・歌舞伎座)と『梅ごよみ』(平成29年2月・歌舞伎座)を放送します。
『高坏』は昭和初期に流行したタップ・ダンスの技法を取り入れ、高下駄をリズミカルに鳴らして踊る楽しい舞踊。そして、『梅ごよみ』は色男をめぐる女同士の恋の鞘當が見どころのひとつの演目です。
3月は『村松風二人汐汲』(平成19年9月・歌舞伎座)『本朝廿四孝 十種香・狐火』(平成20年10月・歌舞伎座)です。『村松風二人汐汲』は平安時代の歌人在原行平と海女(あま)の姉妹の恋ものがたりで、坂東玉三郎さんの松風、福助さんの村雨の二人が影のように寄り添う典雅な連れ舞で見せる”松風”ものの舞踊です。
『本朝廿四孝 十種香・狐火』は近松半二・三好松洛・竹田因幡らの合作で、明和3年(1766)に竹本座で初演された全五段の時代浄瑠璃で、主人公である八重垣姫は、雪姫(『祇園祭礼信仰記』)、時姫(『鎌倉三代記』)とともに“三姫”の1つに数えられる女方の大役。こちらも坂東玉三郎さんが八重垣姫を演じられています」
吉田「歌舞伎というと、正月に浅草新春歌舞伎を観劇しました。若手の歌舞伎俳優でイケメンの皆さんの演技を目の当たりにして、若い方の観客もたくさんいて、こうして歌舞伎は続いていくんだな、歌舞伎は挑戦をこれからも続けていくんだなということを感じました」
湯浅「そういう意味では、THEATER MILANO-Zaで『歌舞伎町大歌舞伎』が今年上演されることが発表されましたよね。どういった作品になるのか楽しみです。さて、以下フリートークです!」
吉田「最近、劇団のHPを見ていると、マスコットキャラクターを作っている団体をよく見かけます。たとえば、こちらのシタチノさん。HPの一番下にちょこっといます。カンフェティにも実は、「こんぺち」っていうキャラクターがいます」
湯浅「こんぺち! 見たことあります! こんぺち、って名前なんですね?」
吉田「一般公募で選ばれた名前です。いろんなタイプの“こんぺち”が日々誕生していて、フリーペーパーやHPだったりで活躍の場を広げています」
湯浅「Confettiって『カンフェティ』って読みますよね?」
吉田「カンフェティのCONを“こん”って間違えて読む人がいて、それもあって“こんぺち”に」
湯浅「それだと、『こんふぇてぃ』じゃないですか? あるいは『こんふぇち』……」
吉田「そうですね……!(笑) “こんぺち”についていうと、カンフェティのスペルから派生しているとはいえ、どちらかと言うと、響きの可愛さや耳ざわりのよさから採用になりました」
湯浅「そう言われたら何も言えません!(笑)」
吉田「そういえば、カンフェティって“金平糖”と同じ語源なんです! 知ってました?」
湯浅「金平糖って日本語じゃないんですか?」
吉田「金平糖はそもそもポルトガルの言葉で、意味は砂糖菓子」
湯浅「金平糖=Confetti ってことですか?」
吉田「いえ、違います。カンフェティというのは“紙吹雪”という意味なので、小さくてカラフルで粒粒したものという点で金平糖にも通じるところがある、というだけで、同じ意味ではないです。ただ“金平糖”みたいな可愛い名前というところも意識して“こんぺち”に寄っていったというところもあるかもしれません」
湯浅「なるほどですね……! なんとなくわかりました!(笑) グッズとか作ってないんですか?」
吉田「まさにこれからそういう展開もしていきたいと思っています!」
湯浅「LINEスタンプ販売したら買いますね!」
吉田「お願いします! カンフェティのチケットサイトの中で100匹の“こんぺち”を作って、毎日それぞれがどこかの劇場に観に行くという設定にして、こんぺちが集まっている公演=注目度が高い公演、といった遊び心ある企画も構想段階ですが考えていたりします」
湯浅「こんぺちの数え方は『匹』なんですね!」
吉田「わからないです。『人』かもしれないですね」
湯浅「キャラクターって面白いですね(笑)」
吉田「劇団がキャラクターを作るというのも新しい動きで、チケット以外の収益につながる可能性があるので、とても良いことだと思います」
湯浅「僕も昔、劇団で劇団マスコットを作ってLINEスタンプを販売していたのですが今でも思い出したように購入してくださる方がいるのでなかなか劇団は活動してなくとも、マスコットも劇団員ではあるので、彼女だけは活動しているんだなあとたまに感慨深くなります」
吉田「ちなみに名前は?」
湯浅「また今度お知らせしますね。(と言いつつ、LINEを送る)」
吉田「すごいですね、いいです! 可愛いです!」
湯浅「ありがとうございます。下地のデザインは自分でやりました。何かこの対談企画からも、キャラクターを生むプロジェクトしますか!」
吉田「いいっすよ!」
湯浅「軽い……!(笑) その前に……次は花見でも企画しようと思うので、ぜひお願いします」
吉田「ああ……また神田川沿いで今年もやりますかね」
湯浅「あらためて、今年もお世話になります!」
プロフィール
湯浅敦士(ゆあさ・あつし)
日本大学芸術学部演劇学科卒。他局を経て、2021年にBS松竹東急に入社。BS松竹東急の演劇編成、週末ミライシアターなどのプロデューサーを担当。プライベートでも舞台の脚本を手掛けるなど、演劇を愛する気持ちに満ちている。
吉田祥二(よしだしょうじ)
シアター情報誌[カンフェティ]編集長。早稲田大学第一文学部卒。在学中に劇団を旗揚げし、以来約10年に渡って同劇団の主宰・脚本家・演出家を務める。2004年に「エンタテインメントを、もっと身近なものに。」を理念に掲げ、ロングランプランニング株式会社を起業。趣味は登山(縦走)。
【放送局】 BS松竹東急(BS260ch/総合編成無料放送)
【局公式Twitter】 @BS260_official