第20回 無料放送局『BS松竹東急』 11月の演劇ラインナップをご紹介!
BS松竹東急は、映画・歌舞伎・一般演劇などのエンターテインメントを通じて人々に感動を届けてきた松竹グループと、渋谷をはじめとした街づくりによって、人々の豊かな暮らしの基盤を構築してきた東急グループがコラボレーションして、昨年3月26日に開局した放送局。編成コンセプトに、『誰もが楽しめて親しみやすい歌舞伎や劇場文化』を掲げている。
また演劇以外にも、映画・オリジナルドラマなど、あらゆるジャンルの番組を編成し放送する無料総合編成チャンネルとして、上質感やワクワク感をお届けするという……、なんとも謎に包まれた放送局である。
この企画では、かねてより親交のあったBS松竹東急の湯浅プロデューサーを迎え、カンフェティ編集長の吉田とともにBS松竹東急のラインナップを紹介しながら、ざっくばらんと各々が思う演劇について月いちペースで語っていく、そういう対談企画である。
※過去回はリンク先にて公開中!
(第1回~第10回)
(第1回)2022年4月のラインナップ
(第2回)2022年5月のラインナップ
(第3回)2022年6月のラインナップ
(第4回)2022年7月のラインナップ
(第5回)2022年8月のラインナップ
(第6回)2022年9月のラインナップ
(第7回)2022年10月のラインナップ
(第8回)2022年11月のラインナップ
(第9回)2022年12月のラインナップ
(第10回)2023年1月のラインナップ
(第11回~第19回)
(第11回)2023年2月のラインナップ
(第12回)2023年3月のラインナップ
(第13回)2023年4月のラインナップ
(第14回)2023年5月のラインナップ
(第15回)2023年6月のラインナップ
(第16回)2023年7月のラインナップ
(第17回)2023年8月のラインナップ
(第18回)2023年9月のラインナップ
(第19回)2023年10月のラインナップ
11月のラインナップはこちら!
日曜ゴールデンシアター
11月5日(日)夜6時30分~ 布袋寅泰ライブ 30th ANNIVERSARY ANTHOLOGY Ⅱ“威風堂々”
11月12日(日)夜7時~ こまつ座『てんぷくトリオのコント~井上ひさしの笑いの原点~』
11月19日(日)夜6時30分~ 歌舞伎『義経千本桜 道行初音旅』(平成25年10月・歌舞伎座) 『恋飛脚大和往来 封印切』(平成27年1月・大阪松竹座)
11月26日(日)夜6時30分~ 熱海五郎一座『落語日本花吹雪〜出囃子は殺しのブルース〜』
湯浅「ついに……20回ですよ」
吉田「めでたいですね! 20回続いたってことは、50回! 100回!も行ける気がしますね(笑)。何事もそうだと思いますが、よしやろう!と決めて数回は続けられたとしても、そこから1年続けるのは難しいって思います。ビジネス的なことでも、プライベートなことでも」
湯浅「当たり前といえば当たり前ですか、20回続けても語ることが尽きないというのは、やはりステージの奥深さ、懐の深さみたいなものを感じます」
吉田「そういえば、最近、社内でも『対談読んでます』『面白いですね』っていう声を聞くようになりました。SNSでの反応もとても嬉しいですが、身近な社員からそういう声をもらうと、単純に励みになりますね」
湯浅「とてもありがたいですよね。そういえば、弊社も上司がたまたまこれまでの対談記事を読んでくれたみたいで、この放送局の立ち上がりに向けての苦心などが伺いしれてよかった、と言ってくれました」
吉田「ニーズがあるってことは、続く・続ける理由としても一番大きいので、より楽しんでもらえる、よりためになる対談にしていきたいです」
湯浅「そんななかで、11月のラインナップです。これまで舞台を中心にお届けしてきましたが今後は最低月に1本、というところで、音楽ライブやコンサートをお届けしていきたいと思っています」
吉田「先日、横浜みなとみらいに音楽特化型施設『Kアリーナ横浜』がオープンし、それ以外にも今後大規模なライブ会場建設の発表が続いていますよね。演劇よりも手軽に楽しめる音楽ジャンルも、やはりライブの重要性が今後も強まっていくその証拠だと思います。チケット争奪戦になるような人気ライブを無料放送で観られるのは、とても価値あることですよね」
11月5日(日) 夜6時30分~ 布袋寅泰ライブ『30th ANNIVERSARY ANTHOLOGY Ⅱ“威風堂々”』
湯浅「舞台もそうでしたが、音楽についても無料でお届けするというのはなかなかないのではと思います。そして11月5日は布袋寅泰さんのライブです」
吉田「布袋寅泰さんといえば、日本を代表するギタリストで、1981年にBOØWYのギタリストとしてデビューし、解散後もソロ活動やCOMPLEXなどを経て、多くの名曲を生み出しました。その他、映画やCMにも出演されたり、音楽プロデューサーとしても活躍。2003年には楽曲が映画『キル・ビル』のメインテーマに採用され、世界的にも注目を集めました。私世代だと、みんな高校生の時にコピーバンドとかで真似してましたね。私はブルーハーツ派でしたが。。ちなみに布袋寅泰はご本名とのことです。生まれた時からレジェンドですね」
湯浅「すごい本名ですね……! 知りませんでした。ブルーハーツ、わかります! 岡山出身なので、甲本ヒロトさんですよね! 甲本さんも岡山のレジェンドです!」
吉田「ちょうど私が高校の頃に、ブルーハーツのファーストアルバムが出て、みんなでカラオケに行ったときに、ちょうどボーカル探しているからやってとオファーされて文化祭で歌っていました」
湯浅「ボーカルですか!」
吉田「はい、青春でした!」
湯浅「私はBOØWY世代ではないので、布袋さんがソロで活動されている映像をよくテレビで拝見していた記憶があります。あと、めちゃイケ世代なので、江頭さんの登場曲のイメージも強いです。今回ライブ映像を全編観ましたが、本当どの楽曲もかっこいいです。またスペシャルゲストとして、GLAYのTERUさんも登場します」
吉田「中島みゆきさん、吉田拓郎さん、吉幾三さん、と来て布袋寅泰さん。共通点がまったくなさそうで、でも、なにか一貫性がある気がしてならないです。音楽ライブのラインナップを決める際に、なにかこだわっていることはありますか?」
湯浅「放送の時期にライブイベントがある、とか周年とかを考えて編成しています。吉田拓郎さんのときは、ちょうど芸能活動一時休止を発表されて最後のラジオ出演翌日にライブをお届けしましたし、中島みゆきさんについては、4月のBunkamuraシアターコクーン特番の流れで『夜会』を放送しました」
吉田「なるほど!」
湯浅「そして布袋さんについては、今まさにHOTEI the LIVE 2023 “GUITARHYTHM VII TOUR”でして、ちょうど11月5日はライブは休演となっています。布袋寅泰さんのファンの方もぜひお家でご覧いただけますと嬉しいです」
吉田「私は、普通のコンサートというよりは、ライブパフォーマンスが演劇的に感じられるアーティストを選んでいるのかなと勝手に思いました」
湯浅「吉田さんは本当すべてに演劇的に紐つけて捉えますね(笑)」
11月12日(日) 夜7時~ こまつ座『てんぷくトリオのコント~井上ひさしの笑いの原点~』
湯浅「そして13日は、こまつ座『てんぷくトリオのコント~井上ひさしの笑いの原点~』です」
吉田「こまつ座は、1983年に結成された井上ひさしさんのに関する作品のみを上演する演劇制作集団です。2010年に井上さんが亡くなられた後も、鵜山仁さん・栗山民也さんら、名だたる演出家の方々が井上戯曲の作品を上演しつづけています。最新作は、第148回公演『連鎖街のひとびと』です。カンフェティでも絶賛チケット発売中です!(こまつ座 第148回公演『連鎖街のひとびと』)本作のモデルとなっているてんぷくトリオは、1960年代から1970年代にかけて活躍した3人組のお笑いグループ。メンバーは、三波伸介さん・戸塚睦夫さん・伊東四朗さん。演芸ブームの1つである“トリオブーム”において、中心的存在を担いました。その役をお笑いトリオ我が家の3人が演じ、新たな“てんぷくトリオのコント”を現代によみがえらせます」
湯浅「こまつ座さんは1983年に結成。今年が40周年でもあります。長い時代、多くの演劇ファンに愛され続ける劇団もなかなか少ないのではないでしょうか」
湯浅「19日には歌舞伎『義経千本桜 道行初音旅』(平成25年10月・歌舞伎座)と『恋飛脚大和往来 封印切』(平成27年1月・大阪松竹座)をお送りします」
吉田「『義経千本桜』は源義経の物語を題材とした作品で、『菅原伝授手習鑑』、『仮名手本忠臣蔵』とともに3大名作と呼ばれていますね。『恋飛脚大和往来 封印切』は世話物で、一言で言えば恋する歌舞伎。相思相愛なのに一緒になれないそのワケは? 今の若い人たちもきっと興味のあるテーマですよね?」
11月19日(日)夜6時30分~ 歌舞伎『義経千本桜 道行初音旅』(平成25年10月・歌舞伎座)『恋飛脚大和往来 封印切』(平成27年1月・大阪松竹座)
湯浅「『義経千本桜 道行初音旅』は、桜満開の吉野を背景に、静御前と主従の道行を描いた華やかな舞踊作品となっておりまして、『恋飛脚大和往来 封印切』は初代の鴈治郎さんが得意とした作品を家の芸に定めた『玩辞楼十二曲』の内の1つで、上方歌舞伎の大名跡を四代目として襲名した鴈治郎さんが家の芸に挑んだことでも話題となった舞台です」
吉田「生まれも育ちも奈良の私としては、吉野の桜の美しい舞台で華麗に舞う『道行初音旅』が気になりますね」
湯浅「そして、毎月1本お送りしている伊東四朗一座・熱海五郎一座セレクションですが、11月は熱海五郎一座『落語日本花吹雪〜出囃子は殺しのブルース~』をお送りします」
吉田「毎回説明していますが“伊東ならぬ熱海”、“四朗ならぬ五郎”で“熱海五郎一座”。というわけで、一度限りの予定で2004年に旗揚げした伊東四朗一座の“東京の喜劇”“東京の笑い”を継承すべく、三宅裕司さんを中心に旗揚げされた劇団が熱海五郎一座です」
湯浅「今回から記事をご覧になっている人もいるかもしれませんし、繰り返しは大事ですね! 今回のテーマは“落語”です。春風亭昇太さんが出演するのに落語家の役ではない!というところも熱海五郎一座らしい気がします」
11月26日(日)夜6時30分~ 熱海五郎一座『落語日本花吹雪〜出囃子は殺しのブルース〜』
吉田「出演者はいつものメンバーで三宅裕司さん・渡辺正行さん・ラサール石井さん・小倉久寛さん・東貴博さんらですが、今回、出演者それぞれが落語を披露するというのが必見ポイントですね。また最近、『Z落語』という2000年代生まれの落語クリエイティブチームの方と会って、落語を主軸に起きつつも、落語を拡張・再解釈して伝統に縛られないプロジェクト(AI落語など)を次々と発表する取り組みについてお話を伺ったばかりなので、本作のストーリーがとても気になります。伝統や文化って、変化していくことが宿命ですよね」
湯浅「『ハンサム落語』なども最近流行っていますよね。あと小劇場の俳優たちがプライベートで落語をやることもありますよね。大阪の演劇人で焼酎亭一門というのがあるのですが、知り合いが参加されています(笑)」
吉田「演劇人だけの落語家一門なんですか?」
湯浅「こちらを御覧ください。(焼酎亭一門公式サイト)」
吉田「すごいたくさん、いますね!」
湯浅「ほとんど名前は拝見したことがある俳優さんばかりですが、すべてが演劇人かというとわかりません!」
吉田「関西演劇祭とコラボできたら面白そうですね」
湯浅「知り合いが何人かいるのでお繋ぎしますよ!」
吉田「ありがとうございます! ぜひ!」
湯浅「はい、ということでもう11月なんですね」
吉田「ここから12月までは早いですよ」
湯浅「心から嫌ですね(笑)」
吉田「私は12月4日に、フルマラソンに出るんでそれで今年は燃え尽きると思っています」
湯浅「日頃、そんなに走られているんですか?」
吉田「いえ。これから走らないといけないプレッシャーを自分にかけていて、通勤の行き帰りも走ろうかなと思っているんですが、それは心から嫌だという自分も一方でいて、……走る時間を作るのが難しいですね。湯浅さんは縦走以外は運動していますか?」
湯浅「走らなければいいのではないでしょうか(笑)一応、ジムの契約はしているのですが、露天風呂とサウナが付いている施設で、ついつい、風呂だけ入りに行っていますね……。大きいお風呂は気持ちが良いです。なぜ急にフルマラソンに挑戦しようと思ったんですか?」
吉田「若い頃から趣味にしたいと思っていて、でもきっかけがなくて。今年のGWにいとこが走るから一緒に走ろうと言われたのがきっかけですね。すごい小さなきっかけですが、それから毎日が大きく変わりました」
湯浅「なるほど……かといって、いきなりフルマラソンは中々大変だと思いますが……。頑張ってください。最近、僕は“酢”にハマっていまして、世界の酢料理なんかを探しています」
吉田「世界の酢料理ですか?」
湯浅「たとえば、フィッシュ&チップスですが……本場イギリスではタルタルじゃなくて、モルトビネガー、じゃぶじゃぶかけて食べるそうで、この前実際に試してみました」
吉田「どうでしたか?」
湯浅「絶品でした(笑)」
吉田「僕も酢料理大好きです。自宅でも出来る簡単料理ってありますか?」
湯浅「断然、酢納豆をおすすします」
吉田「酢納豆!?」
湯浅「納豆に酢を入れて、終わりです」
吉田「初めて聞きました。タレの代わりに酢を入れるんですか?」
湯浅「個人的には、お好みで、と言いますが本当にまろやかになるのと、糸の粘り気がちょうどいいぐらいになるんです」
吉田「粘り気が増すんですか?」
湯浅「……減ります。あとなんかまとまるんですよ」
吉田「まとまるのはいいですね!」
湯浅「あと納豆独自に臭みってあるんじゃないですか、あれがいいって人もいると思うですけど、例えるなら、大トロと脳天の違いですね」
吉田「脳天?」
湯浅「マグロの脳天です。これも最近ハマっています」
吉田「初めて聞きました」
湯浅「じゃあ、何も伝わらないですね(笑)大トロは数枚で結構お腹いっぱいになるじゃないですが、あのガツン感が、少し、脳天は控えめなんです。酢納豆もそんな感じで、香りが多少ほのかになります」
吉田「ふーん。健康に良さそうですね。今日早速試してみます」
湯浅「あと、カレーや味噌汁に酢を入れる方もいるそうですよ。餃子にこそ“酢コショウ”が当たり前になっていますが、そんな感じで思わぬ組み合わせで、酢を活用することで本当においしくなりますのでぜひお試しください!」
吉田「勉強になります!」
湯浅「季節も変わり、急に寒くなりますがどうぞご自愛ください」
吉田「湯浅さんも! お気をつけて!」
湯浅「今度、忘年会しましょうね」
吉田「そう考えると早いですね……」
湯浅「引き続きよろしくお願いします!!!」
プロフィール
湯浅敦士(ゆあさ・あつし)
日本大学芸術学部演劇学科卒。他局を経て、2021年にBS松竹東急に入社。BS松竹東急の演劇編成、週末ミライシアターなどのプロデューサーを担当。プライベートでも舞台の脚本を手掛けるなど、演劇を愛する気持ちに満ちている。
吉田祥二(よしだしょうじ)
シアター情報誌[カンフェティ]編集長。早稲田大学第一文学部卒。在学中に劇団を旗揚げし、以来約10年に渡って同劇団の主宰・脚本家・演出家を務める。2004年に「エンタテインメントを、もっと身近なものに。」を理念に掲げ、ロングランプランニング株式会社を起業。趣味は登山(縦走)。
【放送局】 BS松竹東急(BS260ch/総合編成無料放送)
【局公式Twitter】 @BS260_official