連続対談企画⑯『“演劇”のある生活』[7月放送分] (BS松竹東急プロデューサー・湯浅敦士×カンフェティ編集長・吉田祥二)

連続対談企画⑯『“演劇”のある生活』[7月放送分] (BS松竹東急プロデューサー・湯浅敦士×カンフェティ編集長・吉田祥二)

第16回 無料放送局『BS松竹東急』 7月の演劇ラインナップをご紹介!

BS松竹東急は、映画・歌舞伎・一般演劇などのエンターテインメントを通じて人々に感動を届けてきた松竹グループと、渋谷をはじめとした街づくりによって、人々の豊かな暮らしの基盤を構築してきた東急グループがコラボレーションして、昨年3月26日開局した放送局。編成コンセプトに、『誰もが楽しめて親しみやすい歌舞伎や劇場文化』を掲げている。
 また演劇以外にも、映画、オリジナルドラマなど、あらゆるジャンルの番組を編成し放送する無料総合編成チャンネルとして、上質感やワクワク感をお届けするという……、なんとも謎に包まれた放送局である。
 この企画では、かねてより親交のあったBS松竹東急の湯浅プロデューサーを迎え、カンフェティ編集長の吉田とともにBS松竹東急のラインナップを紹介しながら、ざっくばらんと各々が思う演劇について月いちペースで語っていく、そういう対談企画である。

※過去回は下記リンク先にて公開中!

(第1回)4月のラインナップ
(第2回)5月のラインナップ
(第3回)6月のラインナップ
(第4回)7月のラインナップ
(第5回)8月のラインナップ
(第6回)9月のラインナップ
(第7回)10月のラインナップ
(第8回)11月のラインナップ
(第9回)12月のラインナップ
(第10回)1月のラインナップ
(第11回)2月のラインナップ
(第12回)3月のラインナップ
(第13回)4月のラインナップ
(第14回)5月のラインナップ
(第15回)6月のラインナップ

7月のラインナップはこちら!

日曜ゴールデンシアター
7月2日(日)夜6時30分~ 『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』
7月9日(日)夜7時~ ミュージカル『テニスの王子様』Absolute King 立海 feat. 六角 ~First Service
7月16日(日)夜6時30分~ ミュージカル『テニスの王子様』Absolute King 立海 feat. 六角 ~Second Service
7月23日(日)夜6時30分~ 熱海五郎一座 楽曲争奪ミュージカル『静かなるドンチャン騒ぎ』
7月30日(日)夜6時45分~ 歌舞伎『義経千本桜 渡海屋・大物浦』

週末ミライシアター
7月1日、15日(土)深夜0時30分~劇団時間制作『迷子』

湯浅「7月です。今年の半分が終わりましたがいかがお過ごしですか?」

吉田「前回の対談で、『残り半年はアグレッシブに行く』と言いましたが、早速シアターグリーンで関西の劇団を観てお気に入りを見つけたり、年末に湘南のフルマラソンに出場することを決めて週末はそのトレーニングで近所の川沿いを走ったり、わりと宣言通り活発な毎日を送っています」

湯浅「フルマラソンってすごいですね! ちなみに、お気に入りになった劇団はどの団体ですか?」

吉田「THE ROB CARLTONです!」

湯浅「初めて聞きました!」

湯浅「今度チェックしてみますね! それではラインナップ紹介に移ります。まず、2日に『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』です」

吉田「三谷幸喜さんの作品ですね! 三谷さんは、日本大学芸術学部在学中の1983年、劇団東京サンシャインボーイズを結成。舞台以外にも映画・ドラマで数多くの作品を世に送り出すヒットメーカーで、またCMやニュース番組出演などで見ない日はないですよね。三谷さん次回作は来年1月公演の『オデッサ』、本作出演の柿澤勇人さんも出演されます」

湯浅「本作では若かりし日のシャーロック・ホームズが描かれています。もちろん、笑いもふんだんに取り入れられていて楽しい作品です」

7月2日(日)夜6時30分~
『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』

吉田「柿澤勇人さん、佐藤二朗さん、広瀬アリスさんと出演者も豪華ですね! 柿澤さんは、この夏上演されるミュージカル『スクールオブロック』主演も務められて、今大人気の俳優さんです。佐藤二朗さんは個性派俳優で映画・ドラマの他、クイズ番組の司会でもお馴染みですが、演劇愛も強い方で『ちからわざ』という演劇ユニットの主宰でもあり以前はスズナリなどで公演されていました。広瀬アリスさんはあまり舞台のイメージはないかもしれないですが、初舞台が赤堀雅秋さん作・演出のシアターコクーン・オンレパートリー2017『世界』、そして本作が2作目ですね」

湯浅「三谷さんの作品は、実在の人物や既存のお話をベースにされることが多々ありますよね。『12人の優しい日本人』だったり、ニール・サイモン戯曲のオマージュであったり、そういった名作と呼ばれるものを別角度から捉え直す、もしもこうだったら、と可能性を模索する作風が、ただの喜劇に終わらない、ひとつの三谷さん作品の特徴とも言えるのかもしれませんね」

吉田「小劇場だと、オリジナルにこだわりたい、毎回書き下ろし新作じゃなきゃいけない、という思考が強い傾向にある気がしますが、時にそれって自分の首を締めているな、と思うこともあって、それと比較するわけじゃないですが、三谷さんの作り方や創作姿勢はとても見習うところがありますね」

湯浅「完全オリジナルではなく、オマージュ、というところにもそれはそれで作家力が求められると思いますが、たしかにゼロからイチにこだわる劇団は多い気がします。続いて、今年はテニミュ20周年ということもあり、9日から2週連続で過去の名作タイトルをお送りします!」

7月9日(日)夜7時~
ミュージカル『テニスの王子様』
Absolute King 立海 feat. 六角
~First Service
7月16日(日)夜6時30分~
ミュージカル『テニスの王子様』Absolute King 立海 feat. 六角
~Second Service

吉田「1999年7月から2008年3月まで「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で連載されていた漫画『テニスの王子様』(通称“テニプリ”)を舞台化した作品で、シリーズの通算公演数は2000回・累計動員数は300万人を突破。テニミュが誕生する前と後で、舞台を観る客層に大きな変化が起きたのは間違いないです。革命が起きましたね」

湯浅「桜田通さんや瀬戸康史さんら今なお活躍する俳優さんが多数出演されています。ちょうど学生時代に、『テニスの王子様』の連載が始まったこともあり、ジャンプっ子だったので、当然読破しています。テニミュを観たことないという方でも、そうそうこうだったとか、ああだったとか、原作を見たことがある人は懐かしく楽しめると思います。個人的な意見ですが、2.5次元ミュージカルはやっぱり原作を知っていると、その再現度とか、ああこのシーンをこう演出するんだとかという視点もできて、更に楽しめるんじゃないかと思います。ぜひ、これを機会にご覧ください!」

吉田「2.5次元ミュージカルというのは、漫画やアニメ、ゲーム(2次元)を原作とした作品を、舞台やミュージカル(3次元)で表現する舞台芸術の1つで、2次元と3次元の間という意味で“2.5次元ミュージカル”と呼ばれています。宝塚歌劇団の『ベルサイユのばら』なども当てはまりますが、2.5次元ミュージカルというワードが世の中に知れ渡ったのはやはりテニミュからで、テニミュは2.5次元ミュージカルの草分け的存在と言えますね」

湯浅「確かに実際観たことがないという人でも、“テニミュ”の名前は知っているという人はたくさんいるのではないでしょうか? そして、23日は……熱海五郎一座さんの作品です!」

吉田「“伊東ならぬ熱海”、“四朗ならぬ五郎”で“熱海五郎一座”。というわけで、一度限りの予定で2004年に旗揚げした伊東四朗一座の“東京の喜劇”“東京の笑い”を継承すべく、三宅裕司さんを中心に旗揚げされた劇団です。5月にも過去作品を放送されていましたよね?」

湯浅「5月の放送が好評だったこともありまして、7月にも熱海五郎一座の作品をお送りします。題して、楽曲争奪ミュージカル『静かなるドンチャン騒ぎ』です!」

吉田「相変わらず、ネーミングセンスが抜群ですね!」

吉田「毎回ゲストの方が豪華で、それも見ものだと思います。ちょうど今月まで新橋演舞場にて第9弾目の公演となる、『熱海五郎一座~クセ強オンナと時をかけない男たち~』が上演されていましたが、檀れいさんと玉井詩織さん〈ももいろクローバーZ〉がゲスト出演でした!」

7月23日(日)夜6時30分~
熱海五郎一座 楽曲争奪ミュージカル『静かなるドンチャン騒ぎ』

湯浅「そして30日は、歌舞伎『義経千本桜 渡海屋・大物浦』をお送りします」

吉田「毎月1回以上は歌舞伎をお届けしていますもんね」

湯浅「本作は、歌舞伎座の新開場杮落公演として平成25年10月に通し上演された演目で、中村吉右衛門さん主演で送る重厚な時代物となっています。死んだはずの平家の武将平知盛が実は生きていて、都を追われた義経を襲うという物語となっています」

7月30日(日)夜6時45分~
歌舞伎『義経千本桜 渡海屋・大物浦』

吉田「もし○○だったらという設定でおくる名舞台の1つですね! 楽しみです」

湯浅「そしてミライシアターは劇団時間制作です!」

7月1日、15日(土)深夜0時30分~ 劇団時間制作『迷子』

吉田「劇団時間制作は2013年に旗揚げ。『人間が見て見ぬふりをしている現実、感情と向き合う時間を制作する劇団』と銘打つ通り、人が人と生きた“時間”を描くことを重視し、物語はフィクションながらも、どこかで起こっているであろうリアルな現実や社会問題を題材に描く作風が特徴です。2021年には、「ヤングマガジン」にて連載され、2012年に映画化された『ヒミズ』を舞台化したことでも注目を集めました」

湯浅「本作はとある旅行先で火災が起きたあとの物語です。次女を失った家族、両親を失った家族。そして、全員無事だった三者三様の火災事故との、そして、被害者としての思いを、ある意味で、極限でそして細やかに、そしてまるでジェットコースターのような感情の機微が描かれている作品です。個人的には内に秘めたいつでも爆発してしまいそうなその危うくも、暴力的な人の感情が感じられ、単純にバイオレンスや狂気を描写として描くのとは違った怖さを感じずにはいられませんでした」

吉田「時間制作さんの過去の作品のあらすじを読むと、最後に圧倒的現代劇という言葉で締めくくられていることが多くて。この“圧倒的”という言葉が表していること、意味することをぜひ作品を通して感じてほしいですね」

湯浅「さて、以下、フリートークですが……夏休みを取らなきゃいけないんですよ!」

吉田「いいですね、何されるんですか?」

湯浅「今年こそは海外に行ってみたい気持ちがあります!!」

吉田「海外に行く目的はなんですか? 観劇ですか?」

湯浅「現実逃避です!(笑) 東南アジアを狙っています!」

吉田「いいですね、タイ料理と、ナンプラー系とか大好きです」

湯浅「わかります!!」

吉田「知り合いのプロデューサーが東南アジアのある都市でエンタメの街を作るみたいなプロジェクトに関わっていて実現に向けて進んでいるようです」

湯浅「ぜひ紹介してください! 旅行先、決まりそうですね!」

吉田「ズバリ、○○です!」

湯浅「なるほど、、、これは文字は伏せておきますね! 吉田さんはどこかに行かれるんですか?」

吉田「地元・大磯の花火大会があれば行こうと思います」

湯浅「花火大会、いいですね!! お祭りとか、今年は夏らしい夏が訪れる気配を感じています」

吉田「例のイベントで最近お忙しそうですもんね!」

湯浅「来月はきっとその話をここですると思います……!(笑)」

吉田「楽しみにしています!」

プロフィール

湯浅敦士(ゆあさ・あつし)
日本大学芸術学部演劇学科卒。他局を経て、2021年にBS松竹東急に入社。BS松竹東急の演劇編成、週末ミライシアターなどのプロデューサーを担当。プライベートでも舞台の脚本を手掛けるなど、演劇を愛する気持ちに満ちている。

吉田祥二(よしだ・しょうじ)
シアター情報誌[カンフェティ]編集長。早稲田大学第一文学部卒。在学中に劇団を旗揚げし、以来約10年に渡って同劇団の主宰・脚本家・演出家を務める。2004年に「エンタテインメントを、もっと身近なものに。」を理念に掲げ、ロングランプランニング株式会社を起業。趣味は登山(縦走)。

【放送局】 BS松竹東急(BS260ch/総合編成無料放送)
【局公式Twitter】 @BS260_official

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