世界の歌劇場で活躍するバリトン歌手 大西宇宙。2015年にシカゴのリリック・オペラでデビューして以来、数多くのオペラに出演してきた。その大西がリサイタルを開催する。サブタイトルには、“大西宇宙、第二章。深淵の彼方へ。”とある。この“第二章”とは?
「30代から40代に入る時期ということもあって、歌い手としての経験値や精神的な成熟度という点でも、様々な変化がありました。28歳くらいにアメリカでオペラデビューをしたのですが、そこからの30代を第一章とすると、これからの40代は第二章。これまで磨いてきた音楽をさらに磨き上げ、より味わい深い声の世界へ入っていこうと。そんな想いです」
タクトを振るのは、イタリア出身のガエタノ・デスピノーサ。大西とはオペラで2022年に共演してからの付き合いであり、このリサイタルの曲目も2人で決めるなど、気心知れた仲だ。
「お互い海外にいる時でも、コミュニケーションアプリなどを通して頻繁に連絡を取り合っています。レパートリーやプログラムも同じ目線で相談することができて、仕事という関係を越えて、信頼のおける音楽仲間といった感じですね。年齢も近く、ちょっと上くらい」
おそらく同世代ということもあるだろう。歌手と指揮者という関係を越えた感覚があるようだ。オーケストラを従えて歌うリサイタルとオペラでは、感触が違うのではないか。
「普段のオペラと違い、オーケストラと歌の立体的な空間を創り上げないといけませんので、歌手としての技量がより試されると思います。また、オペラの場面をお客さんに想像させるような表現上の工夫も必要になってくると思いますし、今回はオーケストラの歌曲を含むことで、より深みのあるバリトンの声の魅力を味わっていただけたらと思っています」
大西の歌声を存分に味わうことができそうだ。
「リサイタルは僕のいろんな側面を知ってもらうための形でもありますが、一番大きいのはオーケストラとの舞台だということ。歌い手がオーケストラをバックに自分だけのプログラムをやるというのはなかなかないです。自分1人のリサイタルというのは、挑戦だし、業界的にも特殊なことなので注目してほしいですね。一世一代というと大げさかもしれませんが、ともかくクラシックの声楽界・オペラ界の中でもレアなので、そんな僕の挑戦をぜひその目で見届けてほしいです」
(取材・文:渡部晋也 撮影:平賀正明)
プロフィール
大西宇宙(おおにし・たかおき)
武蔵野音楽大学及び大学院、ジュリアード音楽院修了。シカゴ リリック・オペラにてデビュー。カーネギーホールにて「カルミナ・ブラーナ」、シベリウス「クレルヴォ」、「ドイツ・レクイエム」のソリストを務め、ベートーヴェン交響曲第9番のバリトン・ソロに定評がある。オペラでは、2019年にセイジ・オザワ松本フェスティバルにてルイージ指揮『エフゲニー・オネーギン』の題名役で日本デビュー以来、国内外で活躍。NHK ニューイヤーオペラコンサート、テレビ朝日「題名のない音楽会」等、メディア出演も多い。五島記念文化賞 オペラ新人賞、日本製鉄音楽賞 フレッシュアーティスト賞、ホテルオークラ音楽賞、令和5年度(第74回)芸術選奨 文部科学大臣新人賞を受賞。
公演情報
大西宇宙 バリトン・リサイタル with オーケストラ
日:2027年1月8日(金)19:00開演(18:20開場)
場:東京オペラシティ コンサートホール
料:S席8,500円
A席6,500円
B席5,000円
学生席3,000円 ※要学生証提示
(全席指定・税込)
HP:https://www.japanarts.co.jp
問:ジャパン・アーツぴあ
tel.0570-00-1212
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