大東亜戦争時、多くの特攻隊員の面倒を見たことから“特攻の母”と呼ばれた鳥濱トメの半生を描く舞台『Mother』。2009年の初演以来、再演を重ねてきた名作が、今年も10月より上演。新キャストとなる鳥濱トメ役の酒井美紀と特攻隊員の母・堀川むつ役の松本明子は、同作品を何度も観劇したとのこと。
酒井「涙が止まりませんでした。温かい交流があったからこそ別れが際立ちます。教科書には載っていない人間同士の交わりを通して、戦争や国家について深く考えさせられました」
松本「重いテーマですが、観劇後は空を見上げたくなるような清々しさがありました。『感動の涙あり、笑顔あり』で、温かい余韻が心に残る作品です」
2013年から出演しているワッキーは、昨年からプロデューサーも兼務している。
ワッキー「プロデューサーを名乗ることで責任感も増しています。制作業務やスケジュール管理は全て自分で行うため大変ですが、確実に自分のスキルアップに繋がっています」
脚本・演出の藤森一朗に、キャスティングについて伺った。
藤森「ワッキーは初めて警察署長役を演じますが、年齢的にもキャラクター的にも順当なので心配はしていません。酒井さんには、トメさんの優しさだけでなく、戦後に米兵をも受け入れた“圧倒的な胆力”を表現していただけると期待しています。松本さんは本読みの段階から役にピッタリで、3人とも適任だと思っています」
本作への意気込み、役へのアプローチにも触れてみた。
酒井「トメさんは強い芯と深い愛を持つ方で、敵国だった米兵をも、ひとりの人間として受け入れた心の広さを表現したいです。以前、国際協力活動で訪れたシリア難民キャンプで、誰一人幸せになれない戦争の不条理を目の当たりにしました。そしてアメリカ兵も日本兵も、みんな誰かの子供です。家族の愛と、戦争への問いを心に受け取っていただけたら嬉しいです」
松本「特攻隊員の母として、胸をえぐられるような葛藤を演じます。当時は戦争への怒りを口にすることすら許されなかった時代。いろんな人たちの気持ちが、この舞台に溢れ出ていると思うので、様々な世代の方に観て感じ取っていただきたいです」
ワッキー「戦時中の話ですけれども、特攻を美化するのではなく、愚直に命を描いた作品です。悩みを抱えている方こそ、観劇後に『前を向いて頑張ろう』と思えるはずです。ぜひ劇場で生の舞台を体感してください!」
藤森「戦争が身近に迫っている今だからこそ、観客の受け止め方もこれまでとは大きく変わっているはずだと思います。国や軍に“死に時”を決められた人たちがいた歴史を踏まえて、今を生きる私たちが時代と向き合うための材料にしていただければ幸いです」
(取材・文:冨岡弘行 撮影:間野真由美)
プロフィール
酒井美紀(さかい・みき)
1995年、俳優デビュー。映画『Love L etter』『ひめゆりの塔』、ドラマ『白線流し』など数々の名作に出演。その他情報番組・ラジオ・ナレーションなど幅広く活躍。現在、ロングラン上映舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演中。
松本明子(まつもと・あきこ)
1982年、日本テレビ「スター誕生!」チャンピオン大会に合格し、翌年アイドル歌手としてデビュー。バラエティ番組をはじめ、情報番組・映画・ドラマと幅広く活躍中。
ワッキー(ペナルティ)
1994年2月に、ヒデとお笑いコンビ「ペナルティ」を結成。ギャグを武器に多くのバラエティ番組に出演。本作には2013年から出演し、2025年からはプロデューサーも兼務する。
藤森一朗(ふじもり・いちろう)
演出家・脚本家。近年の主な作品に、舞台『廣島物語』、『霧の中の異邦人』、『シラギリソウ~軽井沢山荘殺人事件~』など。
公演情報
エアースタジオ アース製薬Presents
『Mother~特攻の母 鳥濱トメ物語~』
日:2026年10月21日(水)~25日(日)
場:シアターH
料:SS席[特典付]12,000円 S席9,000円 A席7,500円(全席指定・税込)
HP:https://mother2026-officialsite.vercel.app
問:エアースタジオ tel.03-6659-2830
34名限定! A席7,500円→5,800円+カンフェティポイント付き!