
りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 専属舞踊団Noism Company Niigataによる2026年夏の公演は、金森穣演出振付の新作『私は海をだきしめていたい』と、改訂版『春の祭典』を上演。
『私は海をだきしめていたい』は、新潟市出身の作家・坂口安吾の生誕120年を記念した作品で、同タイトルの短編作品にインスピレーションを得て創作された。
「坂口安吾はフランス音楽に非常に精通していて、特にエリック・サティを好んでいたそうです。自分はこれまでサティの音楽で振付をしたことはありませんでしたが、改めて聴くとやはり素晴らしい。それならばサティの音楽でいこうというのが最初に決まりました。その後、安吾の小説を読み続けているうちに、この作品に出会い、小説の世界観とサティの音楽がマッチした感覚がありました」
同作は、ある男と女の屈折した関係性を描いた物語。金森はそうした物語を「安吾とサティに共通する圧倒的な虚無感と、その優しさを、舞踊詩として紡げないかと考えながら創作を始めた」と語る。
「男女のパ・ド・ドゥとして構成していますが、1人の人間の中にもさまざまな人格があること、単一ではあるけれども同時に複数でもあることを舞踊に落とし込みたいという思いから、ダンサーが途中で入れ替わりながら展開していく演目になってます」
一方、『春の祭典』は、コロナ禍で初演され、その後再演された作品の改訂版となる。
「一人ひとりに楽器を割り当て、まるでオーケストラが踊り出すような作品を作りたいという思いが創作動機となっています。それはコロナ禍を含めた集団のカオスを表していましたが、今回は人数を限定し、演出を削ぎ落とすことで、登場人物それぞれが抱える恐れや不安が互いに影響し合い生まれる集団ヒステリー、誰もが被害者であると同時に加害者でもあるという本作の主題を、より鮮烈に表現できると考えています」
主題となるテーマは、現代にも通じる問題でもある。ただ、こうした作品を通して「何か解決策を提示するためではなく、人間とは何かを問いたい」という思いで創作していると金森は話す。
「この『春の祭典』を通して、観客のみなさんと同じ痛みや問いを共有し、ここからどうしていけば良いのかを考えるきっかけになれば嬉しいです」
(取材・文:嶋田真己 撮影:遠藤 龍)
プロフィール

金森 穣(かなもり・じょう)
演出振付家・舞踊家。Noism Company Niigata芸術総監督。17歳で単身渡欧、モーリス・ベジャール等に師事。ルードラ・ベジャール・ローザンヌ在学中から創作を始め、NDT2在籍中に20歳で演出振付家デビュー。10年間欧州の舞踊団で舞踊家、演出振付家として活躍したのち帰国。2004年4月、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督に就任し、日本初の劇場専属舞踊団Noism を立ち上げる。サイトウ・キネン・フェスティバル松本での小澤征爾指揮によるオペラの演出振付を行う等、幅広く活動している。平成19年度芸術選奨文部科学大臣賞、平成20年度新潟日報文化賞、第60回毎日芸術賞、第42回橘秋子賞ほか受賞歴多数。令和3年紫綬褒章受賞。
公演情報

Noism0+Noism1『私は海をだきしめていたい 』/ 『改訂版 春の祭典』
日:2026年7月25日(土)・26日(日)
※他、新潟公演あり
場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
料:一般6,000円 U25[25歳以下]3,000円
(全席指定・税込)
HP:https://noism.jp
問:SAF チケットセンター tel.0570-064-939
(10:00~18:00/休館日除く)
