新進気鋭。注目すべき振付家3人の新作を集めたトリプルビル スタジオ公演とは違ったスケール感を持つ劇場での初開催

 長年にわたり、舞台制作やアーティストのプロデュースに携わってきた中沢恭子が主宰するCCJ(一般社団法人コレオグラフィックセンター)は、立ち上げ以来、才気溢れる振付家の作品を、拠点スタジオから発信してきた。今回はいよいよ場所を劇場に移して作品を披露するという。

 『TRIANGLE -First Stage-』と題された本公演は、岡本壮太、渡部義紀、石原一樹といった注目すべき3人の作品を集めたトリプルビルで構成される。作品について、3人に話を聞いた。

 まず岡本壮太の振付による『シェイクスピアスイート』。

岡本「以前もCCJにて、シェイクスピア原作『マクベス』の3人の魔女にフォーカスした作品を創りました。シェイクスピア作品は400年前の世界観ですが、現代にも通じることが多くあると思います。彼の作品に共通する裏切りや騙し合い、怒りや愛といった人間模様にフォーカスし、その中にシェイクスピア作品を題材にしたシーンを織り込みたいと考えています」

 渡部義紀による『精霊物語』は、バレエ『ジゼル』の元となった伝説が題材だ。

渡部「婚約前に亡くなった村娘たちの亡霊が、夜ごと墓から現れ、森に迷い込んだ男性を踊りの輪への引き込み、力尽きるまで踊らせてしまう物語です。僕は、バレエメソッドには揺るぎない“美”があると考えていますが、そこからわずかにはみ出し、香り立つような違和感を含んだネオクラシック作品を展開したいと思っています。生者と亡霊、2つの時間軸が静かに重なり、引き継がれていくような作品にしたいです」

 そして、タロットをモチーフにした『愚者の旅』は石原一樹の作品。

石原「タロットカードは占いのイメージが強いですが、元々は15世紀半ばのヨーロッパ貴族の間で、知的で優雅な遊びとして流行ったカードゲームなんです。だからバレエの歴史とリンクするところもあって面白いと思い、調べてみると1枚1枚に人間の普遍的な側面が描かれていることを知りました。今作は、“愚者”という青年が色々な世界を巡る中で成長していく冒険譚をイメージした作品です。タロットは見る人によって解釈が変化するので、それもまたコンテンポラリーダンスと相性が良いと思います」

 三者三様。どれもがこれからの舞踊シーンで話題となることが期待できる。だからこそ、今観ておきたい3人であり作品だ。

(取材・文:渡部晋也 撮影:間野真由美)

どこにでも繋がる扉、開けた先はどこに繋がっていましたか?

岡本壮太さん
「扉を開けた先は、さらに無数の扉が並ぶ部屋でした。どこか1つに進めば終わりというわけではなく、押したり引いたり、のぞいたり、開かなかったり――その都度、進むのか立ち止まるのか、鍵を探すのか諦めるのか、選択を重ねながら歩んでいるのだと感じています。創作も、人生も、その連続の中にあるのだと思います」

渡部義紀さん
「その扉を開く数分前を見ることができる部屋。僕は行動する前に頭で考えてしまうタイプですが時折、感覚や本能に身を任せてしまう傾向があります。“どこへでも行ける扉”という不確かなことに対してどう決断したのかを客観的に見てみたいです」

石原一樹さん
「扉の先は、見知らぬ異国でした。どの国かも分からず、言葉も通じない。ただ、人々の暮らしの気配だけが静かに感じられる場所です。そこに生きる人々と、どのように心を通わせていくのか――戸惑いながら模索している自分の姿が思い浮かびました。
普段の旅では下調べを重ねて行き先を選びますが、あえて何も知らない土地へ向かう旅もしてみたいと感じています。事前の知識を持たずにその土地の文化や価値観に触れることで、思いがけない発見や、時に小さな戸惑いの中から生まれるやり取りに、今の自分が求めている経験があるように思いました」

プロフィール

岡本壮太(おかもと・そうた)
神奈川県出身。2003年、文化庁新進芸術家国内研修生に選出。ドイツ国立ベルリンバレエ学校卒業。メクレンブルグ州立劇場シュベリンバレエ団、Noism1、東京バレエ団を経て、多くの作品に出演。現在はCCJを拠点にダンサー・振付家として、多方面で活躍。

渡部義紀(わたべ・よしき)
東京都出身。日本ジュニアバレエ、AMスチューデンツ28期生として入所。2012年、第15回NBAバレエコンクール シニア部門第2位、ミラノ・スカラ座バレエ学校 スカラシップ賞受賞。2015年、新国立劇場バレエ団に入団。2023年の退団後は、CCJを拠点にダンサー・振付家として、多方面で活躍。

石原一樹(いしはら・かずき)
東京都出身。東京バレエ学校Sクラスを経て、研究生として東京バレエ団公演に出演。学習院大学経済学部卒業後、CCJを拠点に『月と若者』、『ナルシス』、『ドリアン・グレイの肖像』など、クラシックとコンテンポラリーの境界を行き来する作品を発表。アーティゾン美術館『バレエへの誘い』、横浜みなとみらいホール『捧げし者』(CCJ主催)で振付・演出を手がける。

公演情報

『TRIANGLE -First Stage-

日:2026年4月18日(土)14:00/18:00開演
場:四谷区民ホール
料:SS席[ソワレ終演後レセプション付]15,000円
  S席8,000円 A席7,000円 
  U18席[18歳以下]5,000円
  ※SS席・U18席は団体のみ取扱
  (全席指定・税込)
HP:https://www.instagram.com/choreographiccenter_official/
問:CCJ mail:info@choreographic.jp

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