人気脚本家細川博司が綴るハードボイルド集 セミ朗読劇やガールズ演劇などの異なるスタイルで送る3作品

人気脚本家細川博司が綴るハードボイルド集 セミ朗読劇やガールズ演劇などの異なるスタイルで送る3作品

幻想的なストーリーや、日常に潜む恐怖を描き出す劇作家の細川博司が、得意分野だという洋画風ハードボイルドを3本まとめて上演。3人の俳優によるセミ朗読劇や、元アイドルや声優を集めたガールズ演劇の形式など、それぞれ違ったスタイルでの作品になる。今回は演出も手がける細川と、それぞれの作品に出演する、梅田悠、葉月智子に話を聞いた。


―――今回の作品『アンダーグラウンド・アンソロジー』は3作品によるオムニバス形式ですか?

細川「そう3本立てです。全て過去に何回かやったことがある作品ですけれど。1本目の『几帳面独白道化師』はもう10年以上前の作品で朗読劇です。もともと朗読劇でハードボイルドができないかと思って書きました。1人の縛られた男がいて、その目の前で別の男が縛られている男の日記を読む、という設定で、もう1人女性が出てきますが、そこから先は観てのお楽しみで。
他の2作品はハードボイルドだけどコメディ寄りの作品。ブラックコメディですね。2本目の『Stalemate』は登場人物が女性ばかりで比較的楽しい作品ですね。舞台はイースターの日で、5人全員がウサギの格好をしています。3作目の『THE JUGGERNAUT』は台詞の中に結構きつい表現が多いので、汚れ役もできてNGが少ない女優さんが良いなと思って。それに前回、上演したときは椎名亜音さんがやられたのですが、かなり難しい役なんです。それで梅田さんの名前が挙がりました」

―――梅田さん、葉月さんは細川さんと何度かご一緒されているんですか。

梅田「以前『みちこのみたせかい』の演出をされた時に初めてご一緒しまして、ついこの前の『サンサーラ式葬送入門』にも出演しました。稽古の時間も少なかったので、是非またご一緒したいと思っていたらすぐに巡ってきました(笑)。最初にご一緒した時は細川さんの演出で脚本は別の方でした。それで細川さんが脚本を書かれた別の作品を観たらすっごく面白かったんです。なんか細川作品って洋画の世界に近いものがありますが、今回はまさにその世界なので、もう待ってました、っていう気持ちですね」

葉月「私も『アリスインアリスinデッドリースクール』を演出されたときにご一緒しました」

細川「そうでしたね。もう台本は読んでみた?」

葉月「ええ、読みましたよ。なんだかヒューヒューとかイェーイとか、そんな台詞が多かったような(笑)。」

細川「アホな娘の役なんですが、うってつけでしょう(笑)。今まではちょっと大人っぽい役をお願いすることが多かったんですが、ようやく素に近い役を当てられました」

葉月「ちょも(葉月のニックネーム)はアホじゃないですよ(笑)。でもテンションは高めかも知れません。それは認めます」

細川「今まではちょものムニエルとか煮込みだったのが、今度の舞台はちょもの躍り食いです(笑)。“生ちょも”の良さを味わっていただきたい(笑)。」

―――葉月さんは2018年に3B Juniorを卒業されましたが、舞台への挑戦はそれからですか?

葉月「舞台に出るようになったのはアイドルを卒業してからです。舞台をやるようになって反復稽古というものを知りました。アイドル時代と違ってきっちりとお稽古して舞台に臨むことで、安心感も得られるのは嬉しいことでもあります。それと舞台は他の人格になれるのが面白いですね。例えば凄く真面目な人とか、超ハイテンションって普段は持っていない部分じゃないですか。でもお芝居では役柄でそういった人格になりきることができますから」

―――梅田さんはSDN48ご出身とはいえ、プロフィールによれば子供の頃から舞台に出ていて、ダンスも指導する側にまわられています。単なるアイドルの枠にはまらない気がするのですが。

梅田「以前からお芝居やミュージカルに出演したり、ダンスもオールジャンルやっていました。SDNは歌って踊れてトークができる実力派の大人のグループって募集要項で応募して入りました。秋元先生も『SDNはアイドルじゃない』って言ってたのに2ヶ月後には『アイドルだ』って言ってて(笑)。」

―――ではそんな作品を選んだ理由を聞かせてください。

細川「どうも世間では僕のことをガールズ演劇の人と思っている人が多い気がするんです(笑)。この3作品はお気に入りであり、自分の本質を見せられるものだと思います。」

―――洋画的ハードボイルド、と称しているのはどういうことですか。

細川「洋画の吹き替えみたいな雰囲気に書いているんです。日本の戯曲では使わない言い方とかをあえてやってみたりしています」

―――最後に皆さんへのメッセージを頂きましょう。

梅田「美味しいご飯が3食、皆さんを待っているといったところでしょうか。これぞ“細川ワールド”だという世界をお楽しみください」

葉月「今一番心配なのは1ページくらいの長い台詞があったことです(笑)。でも本番までに自分のものにして演じたいと思います」

細川「自分で言うのもなんですが、僕の傑作選です。いつもの作品に慣れている人にとっては違和感があるかも知れませんが、大人の芝居をご覧に入れますので、楽しみにしていてください」

―――ありがとうございました。

(取材・文&撮影:渡部晋也)

プロフィール

葉月智子(はづき・ともこ)
東京都出身。スターダストプロモーションのオーディションを経て、3B Juniorに参加。さらにアイドルユニット、リーフシトロンでも活動を展開。2018年の3B Junior解散以降は女優として舞台を中心に活躍。2019年、舞台『ZERO』、『013』、『アリスインアリスinデッドリースクール』、2021年、『サンサーラ式葬送入門-普賢篇-』、『ガールズトーク☆アパートメント』などに出演。

梅田 悠(うめだ・はるか)
三重県松坂市出身。3歳からダンスを始め12歳で上京。舞台、ダンサー、「SDN48」の選抜メンバーとして活動。SDN卒業後は振付師や舞台女優として活躍の場を広げる。2019年、舞台 進戯団 夢命クラシックス15周年記念公演#23『Lullaby』、『冒険者たちのホテル~ドラゴンクエストXに集いし仲間たち~』、2020年、DMF/ENG第7回提携公演『ハイドクナイフ』、2021年、『サンサーラ式葬送入門-普賢篇-』などに出演。7月7日〜13日で初プロデュースとなるpa-pi-produce第1回公演『アンソールド』@BASE THEATER(7月9日・11日にはカンフィティにて配信有 (confetti-web.com/aunsold)を公演中。

細川博司(ほそかわ・ひろし)
大阪芸術大学芸術学部映像学科中退。映画監督として映像の制作を手がけるほか劇団で演出を手がけるようになり、2000年に自らの作品を上演するためのプロデュース団体としてバンタムクラスステージを大阪で旗揚げし、全作品の作演出を手がけている。2013年に拠点を東京に移し、劇団として活動を開始、その後再びプロデュース団体として作品を作り続けている。

公演情報

イマシブpresents
『アンダーグラウンド・アンソロジー』

日:2021年7月22日(木)~25日(日) 
場:シアターKASSAI
料:S席[指定]6,800円
  A席[自由]4,800円(税込)
HP:https://imashibu.com/undanth/
問:イマシブ mail:info@imashibu.com

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