
東京バレエ団が、『はじめてのバレエ「白鳥の湖」 ~母のなみだ~』をこの夏初演。名作『白鳥の湖』の見所を凝縮し、家族揃って楽しめるよう新制作を行っている。
「キャストの1人がナビゲーターになり、お子さんやバレエを観たことのない人にもわかりやすく解説します。これを機に少しでもバレエに興味を持ってもらえたら嬉しいですね」と話すのは、オディール役の長谷川琴音。『白鳥の湖』ではこれまでコール・ド・バレエや花嫁候補を踊ってきたが、初めて主演に抜擢された。
「オディールは高校生の時にコンクールで一度ヴァリエーションを踊ったことがあるくらい。32回のフェッテだったり、華やかなテクニックを見せる役だけど、少し苦手意識もあって。頑張って乗り越えなければと、今目の前の課題に向かっています」
2017年、東京バレエ団に入団。2021年にファーストアーティスト、昨年ソリストに昇進し、キャリアを重ねてきた。なかでも転機になった舞台はというと?
「入団4年目に、〈ニューイヤー祝祭ガラ〉で『ドン・キホーテ』グラン・パ・ド・ドゥのヴァリエーション1を踊ったこと。本番直前に元々踊る予定だったダンサーが怪我をされて、私が急遽出演することになって。東京文化会館で1人で踊り、拍手を浴びて、凄く感動しました」
昨年は子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』~関内バージョン~の学校向け公演でキトリ役デビュー。さらに第36次海外公演イタリア・ツアーの『春の祭典』で主役の生贄役を踊るなど、大役を任されてきた。満を持しての『白鳥の湖』主演だが……。
「『白鳥の湖』はバレエダンサーにとって特別で、簡単に踊ってみたいと言えない作品です」
今回のキャストは日替わりで、計3組が主演。長谷川出演回は、オデット役を金子仁美、ジークフリート王子を南江祐生が踊る。
「金子さんは入団した時から憧れの方。南江さんは身体も綺麗で爽やかでザ・王子という感じ。彼とは何度か一緒に組んでいるので安心感がありますね」
記念すべきオディール・デビューに挑む彼女に、自身の想い描くオディール像を聞いた。
「オディールは悪魔の娘なので、とにかく悪い女性像。内面的に、心の目で王子を騙し、それで王子もコロッといってしまうような……。ただの悪ではなく、女性らしく、魅力的なオディールを目指せたらと思っています」
(取材・文:小野寺悦子 撮影:平賀正明)
プロフィール

長谷川琴音(はせがわ・ことね)
東京バレエ団ソリスト。北海道出身。6歳よりバレエを始める。第9回北海道バレエコンクール 児童の部 金賞受賞。2017年、東京バレエ団に入団。同年、『ラ・バヤデール』で初舞台。レパートリーに、『くるみ割り人形』アラビア、フランス、子どものためのバレエ『ドンキホーテの夢』キトリ、『眠れる森の美女』リラの精、フロリナ王女など。
公演情報
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東京バレエ団『はじめてのバレエ 「白鳥の湖」 ~母のなみだ~』
日:2025年8月22日(金)~24日(日)
場:めぐろパーシモンホール 大ホール
料:大人 S席7,000円 A席5,000円
中学生以下 S席3,500円 A席2,500円(全席指定・税込)
HP:https://www.nbs.or.jp
問:NBSチケットセンター
tel.03-3791-8888(月~金10:00~16:00/土日祝休)