川本成が主宰する「時速246億」の次回作は、フルキャストオーディションというチャレンジからスタートした『さよう、ならば、また、』。制作過程をYouTube や川本のnoteでも発信し、エンターテインメントとしてみせていく。
「きちんと作品を評価してほしいし、作品をきっかけにファンになってくれたらという思いでオーディションを実施しました。ありがたいことに応募書類が350通程集まり、そこから200名程と面接。最後に100名のワークショップを行いました。普通は脚本があって、そこに合う人を選ぶけど、今回はそれがない。みんな人生をかけて、応募した理由や人生を語ってくれる。落とす理由がない中で絞らないといけないのは大変でしたが、沢山の方々と出会えて本当にやってよかったと思っています」
オーディションを経て、“出会いと別れ”をテーマにした物語が完成した。最終的に選ばれた24名が、全役Wキャストで上演する。
「当初は『コーラスライン』みたいな作品にしようと思っていました。でも、オーディションをやって、それじゃみんなと出会った意味がないと感じ、最短の出会いと別れの中で思ったことを作品にしました。普通、Wキャストは似たタイプですが、今回は全然違う2人を対にしたりしています」
完成したのは、開校50年で廃校する高校にいる地縛霊の物語。
「地縛霊は場所に憑くので、場所がなくなると終わりですよね。出会いと別れの間にいる人たちが、廃校をきっかけに次に行く話にしました。辞書で“さようなら”を調べた時に、元は接続詞だったと知り、面白いと思ったのがタイトルの由来です。次に繋がる為に“さようなら”をする。今回のオーディションと合っていると感じました。映像は使わず、生だからこその熱量を追求したいと思っています。あとは、台本は同じだけど方言でやって味わいの違いをみせようかなとか。2本新作を作るような意気込みでやります」
目指すのは、観た方の心に残り、人生に寄り添うような作品。
「エンタメって、その時の自分に寄り添ってくれるものだと思います。同じ作品でも観る年齢や状況で受け取るものは変わる。オーディションで『みんなが主役』と伝えましたが、それはお客さんのことでもあります。今回断言しますが、間違いなく自分史上最高傑作になります。後悔はさせないので、全力で観に来てくださいという感じです。公演を観て劇場を出たら違う自分になっているような作品にします！」
（取材・文：吉田沙奈 撮影：間野真由美）
川本 成さん
「電車の中で、知らない人の着ている服や持ってるバッグなどを見ると、それを買った時のその人の様子をついつい想像してしまいます。いつ、どんな店で、何故それを気に入ったのか、何かと迷って決断したのかを。そんな事をボーッと考えていると、まじまじとその人を見つめている状態になるので怪しまれる事もあります。気をつけます！」
プロフィール
川本 成（かわもと・なる）
鳥取県出身。「時速246億」主宰。1991年、萩本欽一主宰「欽ちゃん劇団」1期生として在籍。1994年、堀口文宏と「あさりど」を結成。同年、「笑っていいとも！」の9代目「いいとも青年隊」として注目を集める。2001年、アニメ『テニスの王子様』河村隆役での出演以降は、『義風堂々!! 兼続と慶次』茂助役など声優としての出演も多く、テレビ・ラジオ・声優・舞台など幅広い分野で活躍。自身が主宰する演劇ユニット「時速246億」では、様々な作品を精力的にプロデュースする他、近年では脚本家・演出家としても多くの舞台を手掛ける。近年の主な脚本・演出作品に、舞台 NORD第1回演劇公『Error』、『よんでますよ、アザゼルさん。』、ライブストリーミング演劇『バックステージ オン ファイア』、『Oh My Diner～踊るぶんぶん狂想曲～』、劇団EXILE 公演『JAM -ザ・リサイタル- 』など。
公演情報
時速246億『さよう、ならば、また、』
日：2024年4月13日（土）～21日（日）
場：シアターグリーン BIG TREE THEATER
料：S席8,800円 A席6,300円
U-20席［20歳以下］3,800円（全席指定・税込）
HP：https://jisoku246oku.com/info/sayou_naraba_mata/
問：萩本企画 欽劇事務局 tel.03-3795-5259（平日11:00～19:00／土12:00～18:00）
