弓野航平によるYumino Project最新作 SNSを通して生まれた友情と家族愛の物語 「自分を見つめ直す機会になれば」

弓野航平によるYumino Project最新作 SNSを通して生まれた友情と家族愛の物語 「自分を見つめ直す機会になれば」

 俳優でプロデューサーでもある弓野航平が主宰するYumino Projectによる最新作『父が死んだ時、僕たちは何年かぶりに集まった。』が12月6日からCBGKシブゲキ!!で上演される。
 Yumino Project 4作目となる今回の作品は、作・演出を萩原成哉が担当。中原弘貴と正木郁がW主演を務める。萩原と中原、正木に公演への意気込みを聞いた。

―――非常に印象的なタイトルがついた作品ですが、どのような物語になるのでしょうか?

萩原「タイトルにもある通り、家族が亡くなった時にしか集まらなくなってしまった田舎の家族をテーマにしています。
 その中で、主人公となるのが、その家族の末っ子です。高校生の彼は、家族が集まらない寂しさを紛らわすためにSNSに投稿している。そこにもう1人の主人公であるサラリーマンが現れます。サラリーマンの彼は、仕事や人生の疲れやストレスを紛らわすために、ネット上では高校生として生きているという人物です。そんな2人が、SNSを通して友達になります。
 そうして、お父さんについて話をしていくうちに、2人でお父さんを殺そうと話し合うようになります。しかし、そんな矢先、お父さんが死んでしまう。お父さんのお葬式で初めて現実社会で会った2人に何が起きるのかというストーリーになる予定です。まだ書き途中なので、変わるかもしれませんが(笑)」

―――「家族」というテーマは、どのようにして生まれたものなのですか? 萩原さんの発案ですか?

萩原「前回、そして前々回のYumino Projectの作品は、僕を弓野さんに紹介してくれた田中彪が脚本を書いているのですが、彼が作るお話は暗くて重たい話が多いんですよ。それは彼の持ち味でもあり、きっとそこに魅力を感じて弓野さんは一緒にやってこられたと思うのですが、今回は弓野さんから『彪さんが脚本を書くのではないなら、せっかくなら暖かくてハートフルなお話を作っていただきたい』というお話があったので、僕からこんな物語はどうだろうと提案させていただいたのが今回の作品です」

―――なるほど。中原さんと正木さんは、最初に本作のオファーを受けたときはどんなお気持ちでしたか?

中原「僕自身も、この作品のタイトルと同じように父を亡くしていますので、僕のそうした経験も糧になる役なのかなと思い、ありがたかったです。役者をやる上で、いつかは自分の経験が生かせる役を演じたいと思っていたので、ここでできるんだと素直に思いました。
 それから、今回、初めて主演をやらせていただくので、正木さんや他のキャストの皆さんに助けていただきながら、全身全霊でこの作品をお届けできたらと思いました」

正木「僕個人としては久々のストレートプレイになるので、そうした作品に出演できる喜びが大きかったです。僕はストレートプレイから役者を始めたので、リアルな演劇をやれるというのがすごく楽しみです。
 今回演じる役柄は、実年齢とも近いので、よりリアルに演じられるのではないかと思います。人間らしい、等身大の表現で素敵な物語をお届けできたらと思います」

―――おふたりが演じる役柄についても教えてください。

中原「僕が演じるのは、ある家族の4人兄弟の末っ子という役柄です。姉が3人いるという設定ですが、僕自身、4人兄弟で兄と姉・妹がいるので、女兄弟との関係性などは理解できるところが多いのではないかなと思います。共感できるところもたくさんあると思うので、この作品のお話を聞いた時から、自分にすごく合った作品だと思いました」

萩原「兄弟の仲は良いの?」

中原「良いです。今は、みんな仕事であちこちに住んでいるのですが、やっぱり実家を離れてからの方がより仲良くなりました。今は頻繁に連絡を取ったりしています」

―――正木さんが演じる役柄についても教えてください。

正木「僕が演じるのは、SNS上で高校生だと偽っているサラリーマンという役柄です。自分とは違う人物を演じるという意味では、役者という仕事が活かせるのかなと思います。最近、自分とは違う年代の役を演じることが多かったので、今までの経験も今回の役にいい形で反映できるのかなと思います」

―――SNSで自分を偽るという行動を理解することはできますか?

萩原「でも、みんな偽っているところはあるんじゃないですか? ネットなんて嘘しかない(笑)」

正木「本音だけを書いている人は少ないと思いますし、気持ちは分かるところはあります。少し現実から離れたい時や、自分を知らない相手だからこそ本音が言えるということは誰にでもあると思うので、そういう時にSNSは最適な場所になると思いますし、そうした場所が必要な人も多いのではないかなとは思います。僕は、SNSで偽るという経験はないですが、気持ちは理解できます」

―――萩原さんは、この作品を通して、どんなことを伝えていきたいですか?

萩原「僕自身は、インターネットにそれほど強くないですし、SNSを上手く活用しているというわけでもないですが、見るのはすごく好きなんです。ただ、SNSから流行りが生まれたり、SNSでのやりとりが世の中に発信されてしまう世界というのは、すごく怖いとも感じています。
 僕は演出家という立場上、やっぱり年下の男性や女性に送る文面も慎重に考えなければいけないんですよね。それはとても窮屈な世界だなと思います。そんな時代だからこそ、僕はSNSを通して生まれたピュアな友情を描きたい。今日、初めておふたりとお会いしたんですが、2人とも毒がないんですよ。そこを上手く取り入れて、ほっこりした友情と家族愛を描いていけたらと思っています」

―――皆さんとは今日が初対面だったのですね。おふたりは、役のイメージと合いましたか?

萩原「僕は、もともとそれぞれの役に対してイメージを持って書かないので、逆に今日、お会いしたことでキャラクターがくっきりしてきた感覚があります。これで、執筆が進むぞと、今、自分に言い聞かせています(笑)」

―――中原さんと正木さんも初共演ですよね? お互いの第一印象はいかがですか?

中原「可愛らしいイケメンです」

正木「あはは(笑)。中原くんの方が年下なのでまさかそんなことを言ってもらえるとは思っていなかったですが、嬉しいです、ありがとうございます」

中原「僕は最近2.5次元舞台に出演しているので、そういった作品でも活躍されている正木さんは大先輩なので、ご一緒できるのが楽しみで、今からワクワクしています」

正木「僕はギャップの塊だなと思いました。見た目は男らしく、どちらかというとサバサバした人という印象があったのですが、実際に話してみると柔らかい好青年。中原くんが真っ直ぐに気持ちを届けてくれた時に、自分はどう受け取れるのか、今からすごく楽しみなので、早くお芝居をしたいと思います」

―――今作は、中原さんと正木さんのW主演です。座長として、どのようにこの座組みを引っ張っていきたいと考えていますか?

正木「物語としては中原くんが演じる高校生が主軸になっていくと思うので、自分が任せていただいているポジションをしっかりと全うしながらも、芝居的にも現場の居方という意味でも、中原くんをしっかりと支えていきながら、2人で歩んでいけたらと思います。
 今回は、キャストの方々もご経験の多い方ばかりだと思うので、現場作りも含めてみんなで作っていければいいなと思います」

中原「僕は、先ほども言った通り、初めて主演を務めさせていただくことになるので、本当に右も左も分からない状態で、皆さんの足も引っ張ってしまうこともあると思います。ですが、心の底からお芝居を楽しんで、みんなで1つの作品を作る時間を楽しんでいけたらと思っています。主演だからといって見栄を張らずに、コミュニケーションを大事にしながら作っていけば、きっと素晴らしい舞台になると思います。
 自然体でいるのが1番だと思うので、無理せず、ありのままの自分で芝居に臨みたいと思います。何よりも、素敵な正木さんがいらっしゃるので、安心しています」

―――この作品は、家族がテーマということですが、ぜひ皆さんの家族にまつわるエピソードも聞かせてください。

萩原「僕は今、35歳ですが、実家の鍵を持ってないんですよ。なぜかというと、兄が家を買って、そこに父と母が住んでいるので。兄夫婦が実家を支えてくれています。なので、どうしても兄夫婦に気を遣ってしまって、なかなか帰ることがなくなってしまいました。
 ただ、親も兄も、帰ってきて欲しいとはいまだに言ってくれるんですよ。親にしてみると、いくつになっても自分は子どもなんだなと最近、しみじみ感じています。そうした家族の絆や何かかけ違いがあったとしても親であるということを2つの家族を通じて描いていけたらいいなと思っています」

正木「僕は両親と4つ上の兄の4人家族なんですが、今、実家には両親だけで、兄は別の場所に奥様と住んでいます。僕も兄とはそれほど仲良くはなかったんですが、兄が家を出て、1人暮らしを始めてからは少しずつ会話をするようになりましたね。
 両親は、今の僕の活動をすごく楽しみにしてくれているので、毎作品、何公演も観にきてくれるんですよ。最近は、それがファンの皆さまにも浸透してきているようで、会場でも目立っているようです(笑)。きっと今回の作品も、楽しみにしてくれていると思うので、精一杯届けたいと思います」

中原「僕は父だけでなく、他にも家族や親族を亡くしているので、この年齢にしては、周りの人より死というものに直面して生きてきたと思っています。それは、自分にしかない経験だと思うので、そうした部分を活かしてお芝居ができたらと思いますし、悲しい経験もプラスに変えていけたらと思っています」

―――最後に読者に向けて、代表して中原さんからメッセージをいただけますか?

中原「身近な人の存在に向き合わせてくれる作品になっていると思います。今だからこそ、この時代だからこそ、観ている方に刺さる部分が必ずあると思うので、ぜひこの冬はこの作品で、心を暖めながら、身近な方をより大切にするきっかけになれば良いなと思います。皆さまのご来場を劇場でお待ちしております。よろしくお願いします」

(取材・文&撮影:嶋田真己)

プロフィール

中原弘貴(なかはら・ひろき)
2000年7月13日生まれ、大阪府出身。主な出演作に、劇団『ハイキュー!!』旗揚げ公演、舞台『マッシュル-MASHLE-』THE STAGE、ミラクル☆ステージ『サンリオ男子』など。

正木 郁(まさき・かおる)
1995年7月9日生まれ、埼玉県出身。2015年にゲーム&アニメ連動プロジェクト「青春!!!!!ユニットオーディション」に合格し、デビュー。声優としても活躍する。主な出演作に、ドラマ『ドゲンジャーズ』田中次郎役、ミュージカル『フィーダシュタント』など。

萩原成哉(はぎわら・なるや)
1989年1月8日生まれ、東京都出身。劇団「ToyLateLie」主宰で演出家・脚本家・役者などマルチに活躍中。脚本・演出の代表作として、舞台版『Wake Up, Girls! ~青葉の軌跡~』、『青春歌闘劇バトリズム』シリーズなどがある。

公演情報

Yumino Project 『父が死んだ時、僕たちは何年かぶりに集まった。』

日:2023年12月6日(水)~10日(日)
場:CBGKシブゲキ!!
料:S席[特典付]9,500円
  A席7,000円(全席指定・税込)
HP:https://yuminoproject.com
問:Yumino Project
 公式HP内(Contact)よりお問い合わせください

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