【稽古場レポート】クリスマスのホテルが舞台の『A Brilliant Christmas』予想外の展開と、ラブ要素にも注目！ │ シアターウェブマガジン［カンフェティ］

　一年でホテルが最も華やぐ季節、クリスマス。このクリスマスのホテルを舞台に、ホテルマン達が繰り広げるコメディ『A Brilliant Christmas（ブリリアントクリスマス）』が11月2日から東京ヒューリックホールで開幕する。

　本田康祐（OWV）と百名ヒロキがWキャストで主演を務め、温水洋一や川田広樹など個性溢れる俳優が脇を固めて盛り上げる。ホテルのベルボーイ役には白間太陽と白金倫太郎(7m!n)がWキャストを務める。

最速でクリスマス気分を味わって

　コメディはもちろん、歌ありダンスあり、劇中ではショーも繰り広げられる。一足先にクリスマス気分を満喫できる、肩の力を抜いて楽しめるステージになっている。公演スケジュールは11月2日（木）〜12日（日）がヒューリックホール東京、11月17日（金）〜19日（日）は大阪のCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホール。

　開演まであと半月に迫った10月中旬の稽古場にお邪魔した。この日はスケジュールが合わなかった川田広樹以外の15人が参加。スタジオの中にはクリスマスツリーがあり、ホテルマンの衣装はすでにハンガーラックに掛かっていた。

　フライヤーに書かれたストーリーには、物語の主人公はホテルのオーナーである東条彩子（栗山絵美）の一人息子、東条一輝（本田康祐・百名ヒロキ）。これといった夢もなく職も無くフラフラしていたが、母の命令によってホテルのベルボーイとして働くことに。　

　実は、このホテルは5年に一度、ホテルマン達がクリスマスショーをしないといけない決まりになっていた。それをすっかり忘れていた支配人の虫島昆之助（温水洋一）は、マネージャーの二葉あたる（川田広樹）や清掃員の大熊妙子（安田カナ）も巻き込んでショーを成功させようと奮闘するが・・と、これだけ読んでコメディ要素100%と思いきや、稽古後半の10場からは、まさかの切ないラブストーリーが繰り広げられていた。当初の設定が覆されるような、予想外の展開にも驚かされる。

どこまでが演出なのか、アドリブなのか？本田康祐の演技

　さて、この日の稽古は1場のオープニングから。主人公の東条一輝（本田康祐）が母の東条彩子からの電話で、気ままな生活をしていることを咎められることから始まる。
「ねぇ、俺まだ若いんだし、このままでもいいじゃん」的な主張を客席にも投げかける。筆者がカメラを構える（撮影も担当しています）机の近くまで迫って、私に向かって「どう思う？」と問いかけて来るので驚いた。どこまでがアドリブなのだろう? 実際に、どこまで客席に迫って問いかけるのかは、まだ分からない。

　ちなみにこのシーン、2回目は私がその位置から離れていたので、本田は机に置きっぱなしになっていたサブカメラに話しかけることに。「あ、カメラでした。キャノンの（笑）」の落ちまでついていた。

夢を持つホテルマンたちの群像劇　

　一方、ホテルには気ままに仕事をさぼっていた支配人の虫島昆之助の元に東条彩子が現れる。東条は、ショーの準備は進んでいるのか探りを入れるが、すっかり忘れていた様子の虫島。その場を取り繕う傍らでは、宿泊客が着いたばかりのロビーで、今日もマネージャーの二葉あたるや、ベルボーイの阿久津翔平、大熊妙子がバタバタと対応に追われていた。いつものホテルの光景。ホテルで働くことに、まだ不満げな東条。その隣にいて話しかける謎の青年は、どうやらホテルマンではないらしい。

**^{ベテラン清掃員役の安田カナとベルボーイ役の大友至恩。大友は東京・大阪全てのステージに立つ}**

ドタバタコメディに切ないラブストーリーがカットイン！

　休憩を入れて、後半は10場から。コメディタッチの1場から一転、切ないラブストーリーモードになっていた。それに合わせて、ダンスや歌のリハーサルが続く。振付家の大澤えりなの言葉に耳を傾ける本田と、ベルガールの乾友美役の三田麻央。アンサンブルの小林祐貴と山﨑和香、富山真有、久保田優香のダンスも加わって盛り上げるが、当初の設定と、まるで立場が逆転しているかのような展開に驚く。

　10場までの間にどんなドラマが繰り広げられたのか、想像を膨らませてしまう。ネタバレとなるので、これ以上は書けないが、この華やかなダンスとミュージカルのシーンは、ぜひ楽しみにして欲しい。あとは、このシーンがまさかの劇中劇で実はショーの一部だったという展開も否めない・・・。
　気になるストーリーの結末は、ぜひ劇場で確かめて。そして本田康祐は、この『A Brilliant Christmas』が初舞台となる。果たして赤髪と金髪のホテルマンが誕生するのか？楽しみにして欲しい。

（取材・文・撮影／新井鏡子）