【公演レポート】和太鼓の音色と舞踊が交差するーNoism×鼓童『鬼』

【公演レポート】和太鼓の音色と舞踊が交差するーNoism×鼓童『鬼』

新潟を拠点とする舞踊団Noism Company Niigataと、新潟の佐渡ヶ島を拠点とする太鼓芸能集団 鼓童の初のコラボレーション公演が、Noism芸術監督の金森穣の演出振付によって実現した。
公演は新潟公演を経て全国5会場にて上演。今回は埼玉公演をレポートする。

 

撮影:村井勇(Isamu Murai) ※写真は新潟公演より

この混沌の時代にテーマが「鬼」とはなかなかに穏やかでないが、鬼は新潟の民間伝承にも数多く登場し、鬼=悪、という思い込みはもったいない。
演出の金森穣曰く、その概念にも“驚くほど多様なバリエーションがあります”(Noism×鼓童『鬼』公演パンフレットより)。
わかりやすいストーリーがあるわけではないぶん、舞台上で起きる人々と鬼の邂逅や和太鼓の音色と舞踊が交差して生まれるこの現象が一体なんであるのか、私たち自身で感じ取り、思い巡らせることができるのだ。

 

撮影:村井勇(Isamu Murai) ※写真は新潟公演より

舞台上ですれ違うのは、佐渡ヶ島の金鉱山の山師たち、遊女たち、そしてもちろん、鬼。
踊り手たちの制御された動きは官能的で、ステージ上部に設けられたから彼らを見下ろす叩き手たちは人ならざる者の視座を持つ。
静、抑圧、不安、緊張。徐々に張り詰めていく空気の中に突如、一打の破裂。踊り手の鼓動が客席へ、太鼓の響きを通じて爆風さながらに渡る。

またたく間に色彩が立ち現れ、体が芯から痺れた。
中性的で半人半妖、善とも悪ともつかない「鬼」が、縦横無尽にそれらの合間を行き来する姿は不安を誘うが、躍動する太鼓の音色と合わされば、不思議と解放的で清々しく、そしてどこか土着的で懐かしい。
西洋舞踊と和太鼓。この実験的なクロスオーバーから生まれたのは、驚くほどにプリミティブで根源的な身体表現だった。
(文:仲道 鮎)

 

撮影:村井勇(Isamu Murai) ※写真は新潟公演より

Noism×鼓童『鬼』

演出振付:金森穣
音楽:原田敬子
出演:Noism0、Noism1
演奏:太鼓芸能集団 鼓童

同時上演:ディアギレフ生誕150周年・ストラヴィンスキー『お菊の結婚』
演出振付:金森穣
音楽:I. ストラヴィンスキー(音楽は録音を使用)
出演:Noism0、Noism1

 

撮影:村井勇(Isamu Murai) ※写真は新潟公演より

公演期間・会場:
新潟公演 2022年7月1日(金)~3日(日)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈劇場〉
埼玉公演 2022年7月8日(金)~10日(日)彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉
京都公演 2022年7月17日(日)ロームシアター京都〈メインホール〉
愛知公演 2022年7月23日(土)愛知県芸術劇場〈大ホール〉
山形公演 2022年7月30日(土)荘銀タクト鶴岡〈大ホール〉

共同製作:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館、ロームシアター京都、愛知県芸術劇場、荘銀タクト鶴岡
協力:株式会社北前船

公演特設サイト:https://noism.jp/noismxkodo/

 

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