第11回 無料放送局『BS松竹東急』 2月の演劇ラインナップをご紹介!
BS松竹東急は、映画・歌舞伎・一般演劇などのエンターテインメントを通じて人々に感動を届けてきた松竹グループと、渋谷をはじめとした街づくりによって、人々の豊かな暮らしの基盤を構築してきた東急グループがコラボレーションして、昨年3月26日開局した放送局。編成コンセプトに、『誰もが楽しめて親しみやすい歌舞伎や劇場文化』を掲げている。
また演劇以外にも、映画、オリジナルドラマなど、あらゆるジャンルの番組を編成し放送する無料総合編成チャンネルとして、上質感やワクワク感をお届けするという……、なんとも謎に包まれた放送局である。
この企画では、かねてより親交のあったBS松竹東急の湯浅プロデューサーを迎え、カンフェティ編集長の吉田とともにBS松竹東急のラインナップを紹介しながら、ざっくばらんと各々が思う演劇について月いちペースで語っていく、そういう対談企画である。
※過去回は下記リンク先にて公開中!
(第1回)4月のラインナップ
(第2回)5月のラインナップ
(第3回)6月のラインナップ
(第4回)7月のラインナップ
(第5回)8月のラインナップ
(第6回)9月のラインナップ
(第7回)10月のラインナップ
(第8回)11月のラインナップ
(第9回)12月のラインナップ
(第10回)1月のラインナップ
2月のラインナップはこちら!
土曜ゴールデンシアタ
2月4日(土) 夜7時~ 『酒と涙とジキルとハイド』
2月11日(土) 夜6時45分~ 東京ヴォードヴィルショー『竜馬の妻とその夫と愛人~と、歌使いの唄~』
2月18日(土) 夜6時30分~ ブロードウェイミュージカル『42ndストリート』
2月25日(土) 夜7時~ 歌舞伎『つばくろは帰る』
特別企画「推しが今夜も寝かさない!推し活強化月間」
2月4日(土) 深夜0時30分~ 音楽朗読劇READING HIGH『El Galleon ~エルガレオン~』
2月11日(土) 深夜0時30分~ モーニング娘。’ 19コンサートツアー秋 ~KOKORO&KARADA〜 FINAL
2月18日(土) 深夜0時30分~ 11th GAONCHART MUSIC AWARDS 2021
2月25日(土) 深夜0時30分~ ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣 2020 ~SOGA~
2月26日(日) 深夜0時30分~ 舞台版『心霊探偵八雲 裁きの塔』
吉田「もう気づいたら2月ですか(笑)」
湯浅「早いもんですね。こうして今年も対談企画が継続していて嬉しい限りです」
吉田「私も昨年春からスタートしたこの連続対談で新たな発見や勉強になることも多くて、すでにライフワークの1つになっていると言っても過言じゃないです。今年も1年、よろしくお願いします!」
湯浅「ありがとうございます。お願いします! それでは早速、土曜ゴールデンシアターからご紹介します。2月には「2週連続!全6作品 三谷幸喜ナイト」と題して、三谷幸喜さんの作品を2週連続で、お届けします!」
吉田「すべて舞台作品ですか?」
湯浅「いえ、映画作品もあわせて6作品となりまして、2月2日~4日と2月9日~11日で全6作品をお届けします!」
吉田「この2週間の週末は笑いが耐えませんね!」
湯浅「そして演劇は、2月4日に『酒と涙とジキルとハイド』、2月11日には東京ヴォードヴィルショー『竜馬の妻とその夫と愛人~と、歌使いの唄~』を放送します」
吉田「三谷さんと言えば、映画・ドラマでも数多くの作品を世に送り出すヒットメーカーで、またCMやニュース番組出演などで見ない日はないくらいですが、もともとは大学時代に旗揚げした劇団が原点で、今でも舞台を精力的にやられていて、同じ劇団出身者としては憧れの存在です。今月からは『笑の大学』が、東京のパルコ劇場を皮切りに日本各地でスタートしますね、楽しみです!」
湯浅「『笑の大学』は映画化もされた、いわずもがなの名作ですよね! 4日に放送する『酒と涙とジキルとハイド』はタイトルにもあるように、ロバート・ルイス・スティーヴンソン作の『ジキル博士とハイド氏』を基に、三谷さんが描くシチュエーションコメディです」
吉田「やっぱり三谷さんはシチュエーションコメディですよね!」
湯浅「土曜ゴールデンシアターで過去に放送した『アパッチ砦の攻防』もそうでしたよね。
あと個人的には『バッド・ニュース☆グッド・タイミング』が大好きです。DVDを何度見返したかわかりません」
吉田「『バッド・ニュース☆グッド・タイミング』、分かります! もうタイトルの時点で秀逸ですよね! 確実に面白い事が起きるというのがイメージできる。また、生瀬勝久さんが私の演劇を志す原点なので、このキャスティングは堪らないです。あとは『12人の優しい日本人』ですね、50回は見ました(笑)」
湯浅「『12人の優しい日本人』も面白い作品!『12人の怒れる男たち』のオマージュ作品で……。三谷さんだけでなく、多くの作家がいろんな12人を書いていますよね。
ちなみに(今はどうかわかりませんが……)日芸の1年生の授業は
『12人の怒れる男たち』の登場人物のいずれかを選んで、そのサブストーリーを書くというものでした。それだけ、12人の劇性格がうまく使い分けて描かれているんだと思います。続いて、11日に放送する『竜馬の妻とその夫と愛人~と、歌使いの唄~』ですが、前日10日の夜には映画版の『竜馬の妻とその夫と愛人』を放送します」
吉田「もともとは舞台作品として上演された本作が、舞台を鑑賞した市川準監督の希望で映画化。今で言うメディアミックスとは違う、当時でも珍しい展開だったでしょうし、それくらい魅了する力を持った作品だってことですよね。映画と演劇、同じストーリーでも表現方法が違えば、例えば、映画は視点が可変だけど演劇は視点が固定されるとか、映画は編集可能だけど演劇は編集できないとか、味わい方によっては全く別物とも言えますが、言い換えると、映画でしか表現できないもの演劇でしか表現できないものが必ずあると思うので、両方とも映像ではありますが、ぜひ2日連続でこの作品を見ていろんな角度から堪能してほしいですね」
湯浅「何がどう違うのかぜひ観ていただきたいです。また本作の劇場ですがスズナリってのいうのもいい感じです。信じられますか! ゴールデン帯にスズナリの舞台ですよ、本当良い意味で!」
吉田「はい。スズナリは演劇を愛する人すべての聖地です。あえて言い切ります。正式にはザ・スズナリ、ですからね。下北沢は“演劇の街”として知られていますが、スズナリはその起源となった本多劇場グループ系列の最初の劇場です。多くの演劇を愛する人たちの愛が宿っていて、他の劇場とは一線を画す存在です」
湯浅「僕もスズナリは芝居を観によく行くのですが、なぜか行くたびに柄本明さんがいるイメージがあります(笑)」
吉田「そうですね、私も昔下北沢へ行くと、自転車で疾走する柄本さんをよく見かけました。以前お話したかもしれませんが、カンフェティの取材で柄本明さんにお話を伺った時、『スズナリは日本一の劇場』とおっしゃっていました。この歴史的な小劇場スズナリの臨場感はきっと映像でも味わえると思うので、そこも見どころですね」
湯浅「下北沢は再開発されていますが、何か良い意味で古きものと新しきものが共存しているような気がします。続いて、18日にはブロードウェイミュージカルです!」
吉田「ミュージカルの最高峰と言えばやっぱりブロードウェイですよね。ニューヨークのタイムズスクエアを中心に広がる劇場街で、ニューヨークを訪れる観光客は必ずと言っていいほど訪れる一大観光地です。『ライオン・キング』、『ウエスト・サイド・ストーリー』など、数々の人気ミュージカルを生み出したミュージカルの聖地、その作品をテレビで見れるのは貴重ですね」
湯浅「今回は42ndストリートを放送しますが、本作は1933年公開の伝説のミュージカル映画『四十二番街』を舞台化した作品です。約50人はいるであろう大人数のダンサーのダンスシーンは圧巻です」
吉田「クラシカルな作品ではありますが、ダンスシーンはきっと若い方たちが見ても、その躍動感に圧倒されるでしょうね。なかなかライブで観ることは叶わないですが、ぜひテレビで体感してほしいです」
湯浅「そして、25日には、歌舞伎『つばくろは帰る』です」
吉田「珍しい演目名ですね、歌舞伎らしくないというか……」
湯浅「人情の機微を描いた川口松太郎氏の秀作です。二世尾上松緑さんの懇望により昭和46年11月明治座で初演した演目で、歌舞伎として上演された初めての公演をお届けします。2008年の作品ですが、本当に出演者が豪華! 歌舞伎が好きだという方でも観逃している方もいるのではないでしょうか? おすすめの作品です!」
吉田「私も存じ上げなかった演目ですが、三津五郎さん、勘太郎(現・勘九郎)さん、七之助さんなど、誰もが知る歌舞伎俳優さんや若手の方も多く出ているので、注目ですね」
吉田「そして2月ですが……週末ミライシアターはお休みなんですね?」
湯浅「はい、2月はお休みをいただきまして、代わりに「週末、推しが今夜も寝かさない!推し活強化月間」なる特別企画をお送りします」
吉田「“推しが今夜も寝かさない!”っていいフレーズですね」
湯浅「我ながら、スッと降りてきました」
吉田「さすがです(笑) これはどういう企画なんですか?」
湯浅「BS松竹東急では2月を推し活強化月間と勝手に決めまして……(笑)各ジャンルの推し活を応援したいと考えています。第1週は『声優』、第2週は『アイドル』、第3週は『K-POPアーティスト』、第4週は『2.5次元』のジャンルから厳選した作品をお届けします!
吉田「『推し活』は、以前は一部の人達を指す言葉というイメージでしたが、一昨年に流行語大賞にもノミネートされて、今や国民語ですもんね。目の付け所がさすがです!
ちなみに、カンフェティでも推し活川柳『推しヨミ!~わたしの推し、たまりませんりゅう発表会~』というのを毎月連載しているので、ぜひチェックしてみてください。普通に宣伝してしまいました(笑)」
湯浅「たまりませんりゅう、っていいフレーズですね!(笑) さて、まず、第1週ですが音楽朗読劇 READING HIGH『El Galleon ~エルガレオン~』です。豪華声優たちによる大迫力の朗読劇です」
吉田「大迫力なんですか?」
湯浅「見どころはなんといっても、水柱です!」
吉田「朗読劇なんですよね?」
湯浅「はい!(笑) さらに出演は大塚明夫さん、中村悠一さん、梅原裕一郎さん、鳥海浩輔さん、蒼井翔太さん、高垣彩陽さん、諏訪部順一さんです!」
吉田「豪華過ぎます!」
湯浅「出演者の総フォロワー数を合計すると、500万以上!」
吉田「まさに推し活ですね!」
湯浅「よく小劇場とかでこれって朗読でやる意味ってあるのだろうか?という朗読劇に出会うことがあります。そのたびに朗読劇って何だろうと思うのですが、この演劇を観たときに、ああこれが朗読劇なんだ!とストンと落ちるものがありました。あと何より終盤の大塚明夫さんの演技に泣きそうになりました」
吉田「聞いているだけで楽しみになってきました!」
湯浅「そして第2週はモーニング娘。のライブをお届けします!」
吉田「モーニング娘。のライブ映像がノーカットで観られるのは単純にすごいです。結成の頃からもちろん知っていますが、その後グループ内ユニットなどもできて、それもミリオンセラーになって、本当に一時代を築いて今なお大活躍ですよね。音楽活動以外にも、舞台公演もコンスタントにやっていて、カンフェティでもよくインタビューさせていただきました。今も「演劇女子部」というハロー!プロジェクトの舞台作品シリーズは続いていて、BEYOOOOONDS・アンジュルム・ハロプロ研修生の公演など、大人気です」
湯浅「まさか、アイドルにも詳しいとは!」
吉田「いえ、詳しくないです。舞台に関連した事以外は、引き出しにほぼ何も入っていないです(笑)」
湯浅「今回は15期メンバーとして加入した3人が初めて参加したライブをお届けしますが、最近のモーニング娘。を知らない方でも懐かしい名曲の数々も登場しますので、楽しめると思いますし、本当にパフォーマンスのレベルが高いので、あっという間の2時間だと思います!さらには放送の最初に……15期メンバー3人からのコメントもあります!」
吉田「それはますます見逃せないですね!」
湯浅「そして、その翌週には 11th GAONCHART MUSIC
AWARDS 2021 をお送りします」
吉田「これはきっと私の家族が録画して何度も観ると思います。K-POPにハマりまくっているので」
湯浅「韓国の大衆音楽チャート<ガオンチャート>のデータを通し、ミュージシャン、作曲家・振付師などスタッフ含め、音楽に関わる全ての人が表彰される歌謡授賞式を日本初放送でお送りします。NCT DREAM、NCT 127、Red Velvet、STAYCほか、豪華アーティストが出演します!」
吉田「昨年末の紅白歌合戦でも、LE SSERAFIM、IVE、TWICEなどのK-POPグループが出演していて、またJO1やNiziUなど日本アイドルのK-POP化も進んでいて、このブームは今後さらに盛り上がりそうですよね。さすがBS松竹東急の推し活強化月間、アンテナ高いです! そして広い!」
湯浅「ありがとうございます! そして第4週は「2.5次元」ということで、ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣 2020 ~SOGA~と舞台版 『心霊探偵八雲 裁きの塔』を放送します。どちらの作品もテレビ初放送となります!」
吉田「2.5次元舞台は大人気ですよね!」
湯浅「最近、僕はヒプノシスマイクを観ました! 知っていますか、リンライ」
吉田「なんですか?」
湯浅「リングライトの略だと思うんですが、両手の指にたくさんリングライトをはめて、それで応援するんです。もちろん芝居自体も面白いのですが、さらに観客の一体感もあいまって盛り上がる。演劇はやっぱり「生」で観ることの良さを実感しました」
吉田「リンライは初めて聞きましたが、推しのキャラクターのイメージカラーを身に付けて応援するというのは推し活をしている知人から聞きました。その人によると、“オープン推し活タイプ”と“クローズこっそり推し活タイプ”があって、こっそりタイプは“概念系推しカラー”による推し活という、人知れず推し活を楽しむというスタイルもあるようです。奥が深すぎますね。勉強します」
湯浅「概念系って……すごい表現ですね。そういうところでは最近“後方彼氏面”という言葉を学びました」
吉田「なんですか、それ(笑)」
湯浅「アイドルのライブとかでみんなとは盛り上がらず、最後列でリズム踏みながら楽しんでいるファンのことを指すそうです」
吉田「深い世界ですね!」
湯浅「以上が、週末、推しが今夜も寝かさない!企画のラインナップとなります」
吉田「これは本当に眠れない日々が続きますね(笑) 今回、本当いつにも増して充実したラインナップでしたね」
湯浅「歌舞伎から、2.5次元、そしてライブなど、ここまで幅広い演劇や音楽ラインナップを無料で観られるというのは(きっと……)弊社だけです! ぜひ、ご覧ください!
さて……ここからフリートークです。いかがですか? 最近」
吉田「ようやく年末年始の慌ただしさから解放されて、時間もできたので今年はもっと演劇をたくさん観る年にしたいと思います!」
湯浅「今年の観劇初めは『宝飾時計』でした! やっぱり根本宗子さんの脚本力もさることながら、高畑充希さんの演技には圧倒されるばかりでした」
吉田「高畑さんは去年の帝国劇場でミュージカル『ミス・サイゴン』で観ましたが、華奢な外見に反して、すごく力強い演技、存在感がとても大きい方だなと思いました。ミュージカルもストレートプレイもできる、本当に素晴らしい俳優さんだと思います」
湯浅「あと今週末はご縁があって、小劇場の公演を観に行きます」
吉田「これからのミライシアターで放送できるといいですね!」
湯浅「本当、日々のご縁に感謝です!」
吉田「私もこの前、王子小劇場の新春祭に行ったら知っている劇団もありましたが、やっぱり若手で活きの良い劇団ともたくさん出会えたので、さらにコロナ禍に劇団を結成して、これから大きくなってやろうという意志を感じて、すごく頼もしかったです。まだまだ演劇界の将来は明るいなと思いました」
湯浅「そんな一方で、AFFが今年はきっとないと思いますので、コロナ禍を経た演劇界がどう変わっていくのか、本当に転換期となる1年になるのではないかと感じています」
吉田「あらためて、本年もよろしくお願いします」
湯浅「こちらこそ、よろしくお願いします!」
プロフィール
湯浅敦士(ゆあさ・あつし)
日本大学芸術学部演劇学科卒。他局を経て、2021年にBS松竹東急に入社。BS松竹東急の演劇編成、週末ミライシアターなどのプロデューサーを担当。プライベートでも舞台の脚本を手掛けるなど、演劇を愛する気持ちに満ちている。
吉田祥二(よしだ・しょうじ)
シアター情報誌[カンフェティ]編集長。早稲田大学第一文学部卒。在学中に劇団を旗揚げし、以来約10年に渡って同劇団の主宰・脚本家・演出家を務める。2004年に「エンタテインメントを、もっと身近なものに。」を理念に掲げ、ロングランプランニング株式会社を起業。趣味は登山(縦走)。
【放送局】 BS松竹東急(BS260ch/総合編成無料放送)
【局公式Twitter】 @BS260_official