演劇を仕事にしたい人・小劇場で芝居をしたい人が長く続けられる環境を 半世紀かけて、変えるべきことを変えていけたら

 大阪芸術大学で舞台芸術学科 演技演出コースに所属している井上岬。在学中に、製作会社wkworkを立ち上げた理由や、演劇に対する思いを伺った。

 「僕が役者としても活動していて、18歳の時にイベントを開催したのをきっかけに様々な公演を作っていたのが前身です。ワクワクする方向に進みたいという思いで昨年11月に屋号を掲げ、今年9月に法人化しました。自分が面白いと思うことを続けていたら会社になっていたという感じです」

 製作会社という形については「ジャンルにとらわれないエンターテインメントを制作したい気持ちがあった」と語る。

 「僕自身が演出や脚本をできるわけではない。自分が一番できるのはエンタメをゼロから作ることだと思って製作会社にしました。会社にすることで、より多くの人に話を聞いてもらいやすくなる。視野を広く持てるようになったし、続ける理由ができたとも感じています」

 会社を立ち上げた理由として、小劇場を取り巻く状況への課題意識もあるという。

 「僕は大学に入ってから演劇や小劇場を知ったので、関わってまだ2年くらい。小劇場や演劇の魅力にどんどん気付いて、それとともに慢性的な赤字構造といった課題もすごく身近に感じるようになりました。たくさんの人が赤字覚悟で芝居を作るだけの魅力が小劇場にはある。素晴らしい役者の皆さん、演出家、脚本家の方々が活動を継続する一助になりたいという気持ちがあります。僕がこの活動を70歳まで続けるとしたら、あと約半世紀ある。変えられることもあるんじゃないかと思っています」

 小劇場に出会って2年というスピードでの会社設立。人生を懸ける決意をした理由を聞くと「面白いから」というシンプルな答えが返ってきた。

 「僕の感性はすごく大衆寄りで、人気ドラマとかも大好きなんです。そんな中で、小劇場で評価されてる人や作品もむちゃくちゃ面白いと感じる。だから、公演自体は大成功なのに、収益が赤字なせいでアルバイトをしなきゃいけないことが多いのがもったいないなと思って。同世代の人、共感してくれる人に言いたいのは、もっとコミュニケーションを取りたいということです。今回の二大都市ツアー公演もほぼ全ての運営を僕1人で行っていますが、僕の考えはまだ浅いと思うので色々な方向からの話を聞きたいし面白い人たちにもっと出会いたいですね」

(取材・文:吉田沙奈 撮影:河西沙織 取材協力:YES T HEATER)

プロフィール

井上 岬(いのうえ・みさき)
京都府出身。大阪芸術大学在学中に株式会社wkwork(ワクワーク)を設立。現在は代表取締役として、舞台公演やイベントの企画・製作を中心に活動している。プロデューサーとして作品づくりに携わる一方、自身も俳優・画家として創作活動を展開。舞台芸術を軸に、企画・製作と表現の双方から活動領域を広げている。

公演情報

wkwork Inc.

関西を拠点とするエンターテインメント制作プロダクション。ライブダンスイベント「AwesomePoPStage」シリーズをはじめ、演劇作品のプロデュース・ファンイベント・外部制作など、幅広いジャンルの企画・製作・運営を手がける。
これまで「AwesomePoPStage」は全公演ソールドアウトを記録。演劇作品『いってしまえばマリッジブルー』では東京・大阪の二大都市ツアー公演を展開するなど、関西発の企画力を活かしながら首都圏へも活動の幅を広げている。


HP:https://wk-work.jimdosite.com
問:wkwork Inc. mail:wkwork.info@gmail.com

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