2015年から毎年クリスマスコンサートを開催しているテノール歌手のジョン・健・ヌッツォ。ウィーン国立歌劇場やメトロポリタン歌劇場など世界最高峰の舞台で活躍し、NHK「紅白歌合戦」に2度出場するなど日本を代表するテノール歌手として、主戦場のクラシックやオペラだけでなく、ジャズや日本歌曲など様々なジャンルのコンサートに出演している。今年で12回目を迎えるクリスマスコンサートに向けての意気込みを聞いた。
―――2015年に第1回を始められて、今年で12回目のクリスマスコンサートとなりますが、現在の心境を教えていただけますか。
「クリスマスは、家族・音楽・教会・祈り・優しさに関する愛が必然と湧き出る時期だと思っています。大学時代のクリスマスは、ずっと教会でアルバイトをしていて、一晩に8〜9箇所の教会をまわって歌っていました。しかも、カトリックやプロテスタントなど教派によって様々なやり方があるので、歌の選曲もレパートリーも変わってくるんですよ。ゴスペルもやりましたし、『Oh happy day!』みたいに踊りながら歌ったりとかもしました。
クリスマスコンサートをみなさんが楽しんでいただくためには、”お客さんがどういう想いで来ているのか”、”どのような選曲すればいいのか”というのを第1回から毎回探求しています」
―――クリスマスコンサートは、もともとお客さんから「クリスマスの時期に、素敵な場所で聴きたい」という要望から始まったそうで、お客さんから「この曲を歌って欲しい!」というリクエストが毎年多く寄せられると思いますが、どのような曲が多いですか。
「『ジョンさんだからオペラをもっと聴きたい』というリクエストはよくいただきます。具体的な曲で言うと『アヴェ・マリア』が特に多いかもしれませんね。例えば『カッチーニのアヴェ・マリア』は、オペラの歌い方をするイメージを持たれているかもしれませんが、実はソプラノが歌う流れるような柔らかい曲で、僕が歌うと『綺麗だね』と喜んでいただける方もいれば、『オペラっぽくない』と言う人もいて、意外と難しいんですよ。あとは『White Christmas』といった王道の曲もきますし、中には『EXILEのバラードを歌って』というリクエストもありました。正直どう見られているのかなって(笑)」
―――これまでのクリスマスコンサートを振り返っていただきたいのですが、ちなみに第1回クリスマスコンサートのことは今でも鮮明に覚えていますか。
「あまり覚えていませんね(苦笑)。ただ自分がアメリカでやってきたクリスマスコンサートとは違っていたこと、第1回が行われた2015年は、横浜みなとみらいホールや川崎ミューザでコンサートを続けてやっていて、『東京でもコンサートをやってほしい』という要望が多かったこと、第1回はゲストを呼ばなかったことは覚えています。
2回目か3回目からゲストを呼ぶようになったり、『アヴェ・マリア』を3曲続けて歌うことをよくやっていました。あと僕が毎回ウキウキしているのは、ゲストさんがどんな曲を用意してくれるのかという点で、これまでも予想しなかった意外な曲が出てきました。それとこのシリーズで恒例なのが、一番最後にお客さまを巻き込んだクリスマスソングを歌っていることで、毎年来られているお客さまは本当に楽しみにされていると伺っています」
―――今年はどの曲を歌ってくれるかを楽しみにされている方はすごく多いと思います。言える範囲で構いませんので、今回はどのような曲を歌う予定ですか。
「今年はジャコモ・プッチーニの歌曲集を披露します。イタリアっぽさがよく表現されているプッチーニの曲はとても聴きやすくて、僕も大好きです。それをクリスマスで披露するというのも面白いんだろうと思ってセレクトしてみました。あとはカンツォーネの曲も予定していますし、ゲストさんのソロ曲やコラボ曲もプログラムに含まれています」
―――それと、ピアニストの丸木かすみさんも出演が決定しています。ここ最近はジョンさんのコンサートには欠かせないほどの共演していますが、ジョンさんにとって丸木さんとはどのような存在ですか。
「ステージ上で、歌手とピアニストはパートナーとしての間柄になります。歌でもポップスだと基本的にリズムが変わりませんが、クラシックでは”ルバート”と言って、こちらの気持ちでリズムを伸ばしたり、ちょっと早めたりしたいというのを体で表現してるんですよ。なので息遣いや体の表現をちゃんと拾ってくれないといけないし、いくら巨匠のピアニストだとしても、合わない人は全然合いません。
丸木さんは最初からすぐに拾ってくれて、すごく楽しいですね。きっと僕の知らないところで、いろいろな音楽に携わることを真面目にやっているし、音楽に関しても一筋で、絶大な信頼を置いています。今年のクリスマスコンサートも2人で楽しもうという気持ちです」
―――今年の会場は銀座のヤマハホールということで、実は第1回クリスマスコンサート会場でもあり、ジョンさんにとっても久々のヤマハホールでのコンサートになりますが、この会場の印象を教えていただけますか。
「最初は小さいホールだなと思っていたんですけど、天井が高くて音がこだまするホールで。お客さんからしてみれば全体がよく見えると思いますし、それでいてステージとの距離感も近いので、MCで僕がジョークを言ってもみんな反応してくれます(笑)。今回6〜7年ぶりのヤマハホールになりますが、当時の担当者が今も在籍していて、意思疎通が速くてとてもやりやすいです」
―――クリスマスコンサートも今回が12回目ともなると、毎年来られている方も多いかと思いますが、今回初めてクリスマスコンサートに来られる方やまだジョンさんのコンサートに一度も行ったことがない方もいらっしゃると思います。そういったご新規の方向けに注目して欲しいところがありましたら教えていただけますか。
「オペラは難しいし、あまりよくわからないというイメージはあるかもしれませんが、僕のクリスマスコンサートは決して難しくないということをお伝えしたいですね。クリスマスコンサートは、みなさんとクリスマスを楽しみたいという意図があって、老若男女来ていただきたいし、音楽を勉強してる子供たちも多く来てくれるんですよ。ゲストの楽器を聴きたいからという理由で来られる方もいて、親子で楽しんでいただくのもありかなと。
それに会場は銀座のど真ん中にあって、アクセスもしやすいです。銀座にちょこっと行ってみようかなというお客さまにも、お食事の前後とかで来ていただけると楽しいかなと思いますし、クリスマスモード一色になるであろうコンサート当日の夜の銀座は僕も楽しみにしています」
―――最後にコンサートを楽しみにされている方に向けてメッセージをお願いします。
「クリスマスは本当に僕にとっても大事な時期で、音楽家がクリスマスにステージに立っていられるというのは本当に贅沢で素晴らしいことです。雰囲気がそのまま音楽を引き出してくれるので、みなさんは力を抜いて受け止めるという感じで聞いていただければと思います。心よりお待ちしております」
(取材・文&撮影:冨岡弘行)
プロフィール
ジョン・健・ヌッツォ(じょん・けん・ぬっつぉ)
東京都出身(アメリカ国籍)。テノール歌手。南カリフォルニア・チャップマン大学音楽部声楽科卒業。2000年、世界3大歌劇場の1つであるウィーン国立歌劇場でデビューし、翌年オーストリア芸術新人大賞を受賞。2003年にはニューヨークのメトロポリタン歌劇場でデビューを果たす。2002年・2004年にNHK「紅白歌合戦」に出演し、NHK大河ドラマ『新選組!』メインテーマの歌唱を務める。10月18日には、日本を代表するピアニスト横山幸雄との「昼下がりのコンサートシリーズVol.2」への出演を控えている。
公演情報
第12回 ジョン・健・ヌッツォ クリスマスコンサート
日:2026年12月23日(水)19:00開演(18:30開場)
場:ヤマハホール
料:6,800円(全席指定・税込)
HP:https://jkn-tenorissimo.com
問:東京アーティスト協会 tel.03-6261-4348
20名限定! 6,800円→3,900円+カンフェティポイント付き!