カムカムミニキーナvol.76『ゴールド饅頭』が、11月9日〜18日に座・高円寺1(東京)、11月28日・29日に近鉄アート館(大阪)にて上演される。作・演出を務める松村武と、八嶋智人らによって旗揚げされ、独自の演劇表現を追求してきた同劇団。劇団員の八嶋智人、山崎樹範、相原未来は、劇団の魅力を「アナログな劇団」、「全員野球」と言う風に、愛着をもって口にする。気になる本作のタイトル『ゴールド饅頭』や“カムカム”の魅力について、3人にたっぷり語ってもらった。
―――金ピカのチラシに『ゴールド饅頭』というタイトル。内容がとても気になりますが、本作についてお聞かせいただけますか?
八嶋「今回は南北朝時代の物語なんですよ。南北朝ってみんな字面では知っているけど、意外とどういう時代なのか分かっていなかったりすると思うんです。戦乱が続く中で、目先のことしか考えずに人を蹴落とそうとする人がいて、また戦が続いて……その終わりが見えない感じが、現代にも通じるんじゃないか?と、松村も話していたんです。未来はちょうど、プレ稽古に参加してたんだよね?」
相原「そうなんです。いつもの流れでオーディションを経て、今回が劇団公演初参加となる役者さんたちとも一緒にプレ稽古をして。今回も、松村さんがホワイトボードを使って、授業みたいな感じで、作品のテーマや、史実をもとにしている部分の時代背景などについて説明してくれました。その様子を踏まえて、松村さんがほぼ毎回、あて書きのように台本を書いてくれるんですよね。やっぱり、タイトルの『ゴールド饅頭』が気になるところではあると思うんですけど(笑)。単純に、饅頭やゴールドの話ではなくて……」
八嶋「そうなんだよね。やっぱり戦乱とか、ギリギリな状態のときに、甘いものって必要ないじゃない? 生きるか死ぬかの瀬戸際では、あまり優先順位は高くないけれど、豊かに生きるためには必要なものでもある。そういう意味で、饅頭やゴールドから、お金や経済が絡んできたりもする。それを、“どういう風に感じますか?”というね」
山崎「いま2人の話を聞いていたら、僕はタイトルからあえて逆算して考えていこうかと思いましたね。甘いものって、すごく幸せな気持ちになるけど、欲望の象徴でもある。本当に苦しいときに幸せな気持ちにさせてくれるものでもあれば、下手するとそればかり求めてしまうような……。もしかしたら、すごく怖いお話なのかなと」
八嶋「今回の舞台は吉野(奈良県)だしね。我々の劇団では昔から、なぜか吉野が舞台になることが多いですけど、歴史的に見ても負けた人とか、復活を望むような人たちが集まる場所なんですよね。あとは、この『ゴールド饅頭』に限らず、うちの劇団は、消し去られた側や負けた側にスポットを当てることが多い。社会を構成するいろんな人間の、さまざまな側面を描く物語性は、今回は特に色濃くでそうな気がします」
相原「プレ稽古では、今回客演してくださる大先輩の久保酎吉さんが、全力で稽古に挑まれていて、その姿が本当に素敵で。酎吉さんを中心に、笑いが起きていたんですよ」
八嶋「現役の頼もしい俳優さんが客演してくださるっていうのは、作品に説得力も出るし、すごく楽しみだよね。あとは、小日向文世さんの息子さんの小日向春平くんも、自らオーディションを受けてくれてね。うちの劇団の芝居って、誰か1人がメインというわけじゃない。今回も“全員野球”みたいな芝居になってくると思うから、そういう意味では多彩な顔ぶれで、ますます楽しみですね。それから、今回は吉野を舞台にしているということで、大阪公演をご覧になる関西のお客さんには、作品への解像度みたいなものが一段高くなるといいなと思います。僕の個人的な感想ですけど、やっぱり、損したくない関西人って多いというか(笑)。全力でチケット代のもとを取ろう、楽しもうとする姿勢が、こちらとしても嬉しいんですよね」
―――演出・作を務める松村さんは、皆さんから見てどんな方ですか?
山崎「普段の松村さんは、すごく口下手な方だと思いますね。もう少し言葉数を増やしてくれたら、いろいろ分かりやすいと思うんですけど(笑)」
八嶋「作品の中で喋りすぎてるんじゃない?(笑)。僕、昨日まで客演公演に出演していたんですけど、全部で何10ページかある台本でも、行間はあるし字も大きい。『カムカムの台本の何分の1かもしれないな』なんて考えてましたね」
山崎「本当に台本の文字数が異常ですからね、カムカムの台本って。1行のト書きにとんでもない情報を詰め込んじゃうし。あと松村さんは『息継ぎするな、一息で』ともよく言ってますよね」
八嶋「役者って、きちんと伝えたい思いから文節ごとで丁寧にやっちゃうけど、お客さんの立場になると、まとめて伝えた方が言葉のミスリードが避けられたりするんですよね。まとめて渡して、あとは自分たちで考えるっていう。特に演劇のお客さんはそれを好まれると思うし、“僕らはお客さんを信じてる”っていうところが大きいのかもしれない」
相原「私は松村さんのアナログな手法が好きです。去年上演した『くまむく~閻魔悪餓鬼温泉騒動記~』では、見たこともないような熊のお化けみたいなのが出てくるんですよね。“どうやってやるんだろう?”って思ったときに、松村さんがそういう表現をみんなで考えて、舞台で作るような流れを作ってくれて。やっていても、本当に楽しいんです。カムカムの作品って、言葉は難しいですけど、小さいお子さんでも見ているだけで楽しい演出が多いので。飛び出す絵本を読んでるみたいな感覚があると思うんですよね」
山崎「“飛び出す絵本”っていう表現、いいね。すごくいい! 確かに、もう少しだけ単語とかやさしくできたら(笑)」
八嶋「刹那的にも感覚的にも、小さいお子さんが多い日の方が、客席がすごく楽しそうだし、周りの大人の人も集中して観てくれているよね。歴史というと、難しく感じられがちだけど、先入観を取っ払ってもう少し自由に観ていただくと、楽しいサプライズになると思いますね」
―――最後に、観劇される方へメッセージをお願いします。
相原「劇団員としては、客演で素敵な役者さんを迎えながら、八嶋さんとシゲさん(山崎)が揃うことはやっぱり嬉しい。私自身、チラシやタイトルから『どんな作品になるんだろう?』と、ワクワクしてるんです。ぜひ、観に来てください」
山崎「八嶋さんが先ほど、全員野球とおっしゃっていたように、カムカムと言えばとにかく“総力戦”。全員が物語の中心であり、全員が縁の下の力持ちになって、みんなでスクラムを組んでアナログに作っていく集団。いつも新しい表現をずっと、探してるんですよね。他の方に失礼がないといいのですが、カムカムが一番新しい表現を追い求め続けている、という自負もあります。“演劇”を楽しみに、観に来ていただきたいです」
八嶋「僕らがやっていることはフィクションですが、その奥にある“リアル”を見つけに、宝探しのような感覚で来ていただきたい。お好みに合わせてチケットの種類もたくさんご用意がありますし、気軽に楽しんでいただければ。お土産として必ず、観てくださる方の知的好奇心を刺激するようなものはお渡しできると思います」
(取材・文:山田浩子 撮影:間野真由美)
八嶋智人さん
「そりゃもちろんゴールド饅頭でしょう。どうします? 金で作ります? 食べられます? 固くはないですか? 歯が折れたりしませんか? そもそも金属では作りませんか? 饅頭ですもんね? 金色の饅頭ってどうなんですかね? 金箔とかでは安易ですもんね? どんな料理も作れるんですもんね? 信じます! 信じて待ちます。信じてお芝居のお稽古頑張ります!」
山崎樹範さん
「苦手な食材だけを使った一品料理。私はレバーの食感、ピーマン(パプリカ)、ゴーヤの苦味。セロリ、パクチーの香りが苦手です。コーヒーはお腹が痛くなります。中華丼や牛丼の底の汁でひたひたになったご飯もダメです。子供が嫌いな物が大人になっても克服出来ずにいます。逆にお子様ランチにあるものは今も好きです。おそらく舌がまだ子供なのだと思います。もしそんなシェフがいるならば一気に解決していただけたらと思います」
相原未来さん
「私がお願いしたいのは、“世界のチーズ、全部盛り”です。
チーズが好きです。かなり好きです。たぶん、まだ出会っていないチーズが世界中に山ほどあると思うと、ちょっと悔しいです。クセが強すぎて『これは何だ?』となるようなチーズにも挑戦したいし、逆に『なんで今まで知らなかったんだ!』というチーズにも出会いたい。シェフには、私が知らないチーズを片っ端から集めてもらって、お酒を飲みながら1つずつ食べたいです。最終的にチーズでお腹いっぱいになるのが夢です」
プロフィール
八嶋智人(やしま・のりと)
1990 年、松村武、吉田普一らと共に「カムカムミニキーナ」を旗揚げ。舞台・テレビドラマ・CM で活躍しながら、「ココリコミラクルタイプ」、「トリビアの泉 ~素晴らしきムダ知識~」などバラエティ番組の出演で話題に。映像作品の代表作に、ドラマ『古畑任三郎』、『HERO』、NHK 連続テレビ小説『マッサン』など。
山崎樹範(やまざき・しげのり)
1995年より「カムカムミニキーナ」に参加。俳優・声優として活動。タレントとしてバラエティ「タモリ倶楽部」への出演も重ねる。映像作品の出演作に、ドラマ『Dr.コトー診療所』、『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』など。舞台作品に、『モダンボーイズ』など。
相原未来(あいはら・みく)
「カムカムミニキーナ」劇団員。2012年、『えびすしげなり~夷繁成~』出演オーディションに合格し、2013年、『熊の親切~閻魔悪餓鬼温泉騒動記~』より同劇団員として参加。劇団では中心的な役どころを数々経験し、存在感を発揮している。
公演情報
カムカムミニキーナ vol.76『ゴールド饅頭』
【東京公演】
日:2026年11月9日(月)~18日(水)
場:座・高円寺1
料:スペシャルチケット[特典付]9,000円 一般チケット6,000円 平日夜割5,600円 杉並区民割5,500円 障がい者割5,400円 学割[大学・専門]3,000円 小中高生割1,000円 ※杉並区民割・障がい者割・学割・小中高生割は要身分証明書提示(全席指定・税込)
HP:https://gold-manju.3297.jp
問:カムカムミニキーナ mail:ccm@3297.jp
34名限定! 一般チケット6,000円→4,700円+カンフェティポイント付き!
【大阪公演】
日:2026年11月28日(土)・29日(日)
場:近鉄アート館
料:スペシャルチケット[特典付]9,000円 一般チケット6,000円 ※他、各種割引あり。詳細は下記HPにて(全席指定・税込)
HP:https://gold-manju.3297.jp
問:カムカムミニキーナ mail:ccm@3297.jp
26名限定!一般チケット6,000円 →4,500円+カンフェティポイント付き!