歌舞伎役者・尾上松緑が現代劇に約18年ぶりに出演 早稲田の街から演劇の垣根を超えた作品を発信

歌舞伎役者・尾上松緑が現代劇に約18年ぶりに出演 早稲田の街から演劇の垣根を超えた作品を発信

 脚本・演出家であり劇団InnocentSphereの旗揚げメンバーである西森英行が脚本・演出を務める『フェイス』が、早稲田の街を代表する劇場・早稲田小劇場どらま館で上演される。歌舞伎役者の4代目・尾上松緑を迎え、演劇とリーディングの2つの形式での上演となる。西森と、公演のプロデューサーである溝口敦士はともに早稲田大学で演劇の研鑽を積んでいたという。

西森「溝口さんとは格闘するような熱量をもって、ともに演劇を作り上げていきました。そのなかで今回の会場となるどらま館に育ててもらったという想いが強く、この場所を“文化発信地”としてさらに活性化させたい、と一緒に公演を作ることになったのです」

溝口「若い世代に、本当に良いものを観てもらうことでさらに成長してもらいたいと考えていたところ、今回西森さんとご一緒させていただけることになり、プロによる公演を学生の場で行い、未来につながる刺激を届けたいと思いました」

 そこで選ばれたのが『フェイス』であった。

西森「どらま館というお客様との距離が非常に近い空間を最大限に活かせる作品を検討した結果、体験型の濃密な二人芝居である『フェイス』が選ばれました。普段なかなか交わらない俳優さんたちに組んでいただくことで、演劇界の垣根を越える試みも実現できるというのも大きな理由です」

松緑「西森さんは公私ともに信頼できる方ですし、彼の劇団の公演を1人のファンとしてずっと観てきました。彼が携わっていない公演でもアドバイスを求めるなど、彼からの言葉をとても大切にしてきました。久しぶりに歌舞伎ではないところで一緒に仕事ができるというのはとても嬉しいし、刺激的なことだと思っています」

西森「松緑さんは非常に読解力が高く、演出的視点もお持ちで、作品にどうフィットするかという本質を最適な形で選びながら舞台で演じられています。繊細な部分まで演技を構築し、ため息1つでもちゃんと届けることができる方であり、この変幻自在な魅力は現代劇でも光るはずです」

松緑「和央ようかさんのように女性でありながら男性を演じられる経験のある方、2つの役柄を演じられる矢柴俊博さんをはじめ、平野良さんに川本裕之さんといった多彩な演技者4名とご一緒することで、どんなものが作り出せるのか、私自身とても楽しみにしています。すばらしい共演者のみなさまの演技にどう応え、物語を構築していくか、というところにこだわりながら作品に向き合っていきたいです」

(取材・文:長井進之介 撮影:間野真由美)

プラス
自分がプロデュースするならば、“かき氷”はどんなトッピングにしますか?

尾上松緑さん
「エナジードリンク味ですかね。最近は電子煙草もエナジードリンク味一択で吸っていますので、自分的に慣れた味はそれなのかと」

西森英行さん
「かき氷のトッピングを考えたとき、何を足すかより、何を残すかを考えてしまう。 色とりどりのシロップ、フルーツ、練乳——重ねれば重ねるほど、氷本来の冷たさが遠くなる。 今は、あんこだけでいいと思っている。 甘さより、冷たさをちゃんと受け取りたい」

溝口敦士さん
「プロデュースするなら、トッピングは選びません。氷とシロップだけ出して、あとはお客さんが自由に足せるようにする。何が正解かより、その人がどう選ぶかが面白いので」

プロフィール

尾上松緑(おのえ・しょうろく)
荒事から世話物、舞踊まで幅広く演じる実力派で、『丸橋忠弥』丸橋忠弥や『三人吉三巴白浪』和尚吉三などの当たり役を持つ。六世藤間勘右衞門として藤間流家元も務め、作品ごとに身体表現を自在に変える柔軟さと高い読解力で共演者から厚い信頼を集める。伝統と革新を横断し続ける、現代歌舞伎を牽引する俳優。

西森英行(にしもり・ひでゆき)
演出家・脚本家。1997年に劇団InnocentSphere を創立。アニメやゲーム原作の舞台化に伴う脚本・演出・脚色、TVドラマやアニメの脚本、ラジオの構成、歌舞伎作品の演出なども手掛ける。2022年の歌舞伎座 十月大歌舞伎で演出を務めた『荒川十太夫』が、令和4年度(第77回)文化庁芸術祭 演劇部門 優秀賞受賞。

溝口敦士(みぞぐち・あつし)
舞台美術を経て喫茶店を独立経営。その後様々な経験を積み、早稲田大学どらま館にて文化振興の視点を持ちながら施設管理に携わる。2021年、東京パラリンピック閉会式では、アカンパニスト・アクセスコーディネーターの現場統括を担当。本作『フェイス』ではプロデューサーとして企画から制作全般を統括する。

公演情報

フェイス FACE / FAITH

日:2026年7月31日(金)~8月9日(日) 
場:早稲田小劇場どらま館
料:本公演 一般9,800円 25歳以下5,800円
  オープンキャンパス期間 一般9,800円 高校生2,500円
  リーディング公演7,800円 ※25歳以下・高校生は要身分証明書提示
  (全席自由・整理番号付・税込)
HP:https://face-faith.jp 
問:フェイス実行委員会
  mail:facefaith2026@gmail.com

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