2017年のオフ・ブロードウェイで高評価を獲得したミュージカル『アーネスト・シャクルトンに愛されて』。現代のシングルマザーが、100年以上前に活躍した実在の冒険家 アーネスト・シャクルトンと出逢うという奇想天外なストーリーの二人芝居。そんな話題作の日本初演に紫吹淳と伊原剛志が挑む。
伊原「舞台の映像を観た時に、率直に面白いしやってみたい作品だと思いました。明るく楽しい前向きな話ですから」
紫吹「映像を観てすごい面白いなと思ったと同時に、でもちょっと大変だぞとも思いました。私が演じるキャットがシングルマザーでゲーム音楽の制作をしているという設定とか、まさに現代ですよね。ミュージカル界もどんどん変わっているのかなと思いました」
演出の岡﨑育之介は、監督作品もある注目の映像作家。
岡﨑「今回が初めての舞台演出になります。それがこのおふたりとで、本当にこんなことが?という贅沢すぎる機会をいただきました」
今作の楽曲について話を聞くと。
伊原「テンポが良くて楽しげな曲が多いですね。さらにバンジョーも弾くので特訓中です。ギターなら中学生の頃にかじったんですが(笑)。あとは紫吹さんについていきます」
紫吹「やめてください(笑)。曲がとても難しくて、ここにも時代を感じます。王道なミュージカル曲ではなく今まで出会ったことも見たこともない感じのナンバーですね」
時空も場所も越えて出逢う2人をどう演じるか。それぞれの意気込みを聞いてみた。
伊原「海外の脚本で、外国の方の役名を演じる作品は慣れないのですが……。でもこれを機に新たな扉が開けるよう、頑張ってやりたいなと思っています」
紫吹「私事ですが、今年で芸能生活40周年なんです。そんな年に、舞台から始めた私がまた舞台に戻っていく。それがこんなに素晴らしい作品であることを感慨深く感じています」
岡﨑「オフ・ブロードウェイ作品ですし、アーネストは100年前の人物だから日本人からは遠い存在に思われますが、作品は現代に通ずる価値観を描いています。サブスク配信などいくらでも巻き戻しできる便利な技術がある現代に対して、巻き戻しの効かない不可逆な世界で生死を賭けた冒険をしているアーネストから影響を受けて勇気をもらう。令和の今を生きる日本人に深く刺さるものがあると思います。是非ご覧ください」
(取材・文:渡部晋也 撮影:平賀正明)
伊原剛志さま
「かつらを着けないといけないのに慌ててそのまま出てしまい、お客様が『えっ』と言っているのを聞いて、気が付きました。その時は平然と芝居を続け、1回袖に入った時にかつらを着けて。何事もなかったように、お客さんの見間違いかのように続けました(笑)。平静を装うのが一番ですね」
紫吹 淳さま
「宝塚時代、退団後含めてそこまで多くは無いんですが、セリフを忘れてしまった時は、どうリカバリーするかですよね。何もなかったかのように、お客様の笑いを起こさないようにやりきります」
岡﨑育之介さま
「大変僭越ながら演劇の経験がないので、過去のエピソードに関しては無いのですが……今回、沢山ハプニングが起きるかもしれないので、ネタを仕入れて、数年後にまたご取材いただければと思います(笑)」
プロフィール
紫吹 淳(しぶき・じゅん)
宝塚歌劇団出身。初舞台当初から抜群の容姿とダンスで注目を集める。2001年、月組のトップスターに就任。2004年、『薔薇の封印』を最後に退団、女優デビュー。確かな実力と華やかな存在感で舞台・テレビ・CM・講演活動と幅広く活動。2026年4月から芸能生活40周年へと突入。ライブやファンミーティングなど多彩なイベントが控えている。
伊原剛志(いはら・つよし)
ジャパンアクションクラブ(現JAE)に入り、1983年、俳優デビュー。1996年、NHK 連続テレビ小説『ふたりっ子』で全国的に注目され、映画・ドラマ・舞台と幅広く活躍。近年の主な出演作に、主演映画『ら・かんぱねら』、舞台『フェイクスピア』、ミュージカル『ラ・マンチャの男』、『リア王の悲劇』、漫才ミュージカル『なにわシーサーʼs』『愛の乞食』など。
岡﨑育之介(おかざき・いくのすけ)
映画監督・脚本家。16歳から芝居の勉強を始め、18歳で俳優デビュー。その後、演出助手や脚本学校での学びを経て脚本家・演出家・監督を志し、25歳より作品制作活動を始める。初監督長編デビュー作映画『安楽死のススメ』で各国の映画祭にて最優秀新人監督賞を受賞。続いて、監督を務め昨年全国公開した映画『うぉっしゅ』では主演・研ナオコが認知症の祖母役を演じ話題を呼んだ。
公演情報
オフ・ブロードウェイ ミュージカル
『アーネスト・シャクルトンに愛されて』
日:2026年6月11日(木)~24日(水)
場:東京芸術劇場 シアターイースト
料:9,900円 U-25[25歳以下]6,600円
※要身分証明書提示(全席指定・税込)
HP:https://artistjapan.co.jp
問:アーティストジャパン
tel.03-6820-3500(平日11:00~18:00)