30年の熟成を経て再集結したメンバーが贈る“攻撃的なクラシック” 響きに定評があるアプリコで挑む、完全生音のコンサート

 知らず知らずのうちに僕たちは、アコーディオニスト・作曲家cobaの音楽を耳にしている。オリジナル作品を耳にした覚えがなくても、彼がCMやドラマ、映画などで手がけた音楽は数多いからだ。それほどの活動をしながら、まだcobaは新たな試みを世に問い続けている。その1つが大田区民ホール・アプリコ 大ホールでの『cobaアコースティック・アンサンブルRenaissance(ルネッサンス)』だ。出演するメンバーに、クラリネットの十亀正司をはじめ、クラシック界で活躍する面々。そして、邦楽囃子方でありながらジャズ・フュージョンシーンで活躍する仙波清彦、ポップスやロックで引っ張りだこのバカボン鈴木などが顔を揃え、実にユニークだ。話を聞くと、過去にこの編成で活動をしていたという。

 「最初に出逢ったのは十亀さんで、芝居の現場でした。一緒に面白いことをやろうとユニットを組んで、7人編成に落ち着き、最終的にニューアーティストオーディションでグランプリを取ったんです。仙波さんやバカボンさんも昔からお世話になっていますね」

 そんなメンバーが、30年という年月を経て再集結する。

 「クラシックのみなさんは忙しくて、スケジュールがすごく詰まっているんです。十亀さんやフルートの甲藤さんは東京交響楽団だし、ファゴットの福井さんは東京佼成ウインドオーケストラ。ヴァイオリンの高橋さんも色々な企画に参加してましたから。でもみんなそろそろ落ち着いてきたこともあって、再集結できたというのがあります」

 そんな彼らが目指すのは“攻撃的なクラシック”。cobaらしい攻めたキャッチフレーズだ。

 「クラシックと言っても、曲目は僕のオリジナル作品が中心です。クラシックの演奏家が磨いてきたテクニックを存分に活かして、ビートや即興性を持ち込んだ音楽を創りたいですね」

 そしてもう1つ注目したいのが、このコンサートは音響装置(PA)を使わず、生音だということ。 

「そもそもアプリコというホールは響きがいいことで定評のあるホールですから、そこはあまり心配していません。この編成で、楽器本来の魅力を十分に味わってもらうためにもそうしました。でも仙波さんには今までで一番小さい音で演奏してもらうことになるかもしれませんが(笑)」

 新たなcobaの音楽を、また1つ体験できそうだ。

(取材・文:渡部晋也 撮影:大川直人)

プロフィール

coba(こば)
長野県生まれ、新潟県育ち。3歳から音感教育で音楽に接し、9歳でアコーディオンを手にする。18歳でイタリアへ留学。ヴェネツィアにある名門、ルチアーノ・ファンチェルリ音楽院アコーディオン科を首席で卒業し、ウィーンでの世界アコーディオンコンクールをはじめ、数々の国際コンクールで優勝。帰国後、1991年にデビューアルバム「シチリアの月の下で」を発表し、日本レコード大賞特別賞を受賞。さらにヨーロッパ各国でのCDリリースやチャート1位を獲得。アイスランド出身の歌姫 ビョークのオファーによりワールドツアーに参加し世界60カ国以上で公演するなど、その名を国際的に広めている。一方でCM・ドラマ・映画・舞台などの音楽を手がけており、その数は500作品を超え、近作では2026年5月8日封切りの映画『幕末ヒポクラテスたち』(緒方明監督)の音楽を手掛けている。今年はデビュー35周年を迎え、通算48作目となるオリジナルアルバムをリリースする予定。

公演情報

cobaアコースティック・アンサンブル Renaissance(ルネッサンス)

日:2026年9月12日(土)
  15:00開演(14:15開場)
場:大田区民ホール・アプリコ 大ホール
料:5,000円(全席指定・税込)
HP:https://www.ota-bunka.or.jp
問:大田区文化振興協会チケットセンター
  tel.03-3750-1555(12:00~17:00)

インタビューカテゴリの最新記事