身体と心に響く作品を届ける演劇集団、ライブと演劇の2作品公演! 命とは? 生きるとは? 全ての人に贈る衝撃の感動作

身体と心に響く作品を届ける演劇集団、ライブと演劇の2作品公演! 命とは? 生きるとは? 全ての人に贈る衝撃の感動作

 2000年に結成され、西東京市を拠点に「客席までその物語の世界が広がる作品づくり」を目指す「演劇集団プロジェクト動」が、音楽ライブと演劇の2作品を上演する。
 1つ目は2022年の初演後も様々な形で再演された、縄文時代を舞台にした冒険アドベンチャー『縄文のひびき』の世界観を音楽で表現するライブだ。作品の生みの親である門田学と龍秀雄に、開催の経緯を聞くと。

龍「西東京市の、私たちの活動拠点からほど近いところに下野谷遺跡という、1000年近く人々の営みがあったとされる南関東最大級の縄文時代の遺跡があります。『縄文のひびき』は、そこから発想を得ました。コロナ禍により、人の心の距離が離れてしまった中、改めて人と人のふれあいの大切さ、ぬくもりを思い出して欲しい、生きることへの希望を持って欲しいという思いが込められており、様々な形で再演をおこなってきました。そして、今回で区切りとなる10公演目を迎えます。
 その節目に合わせて、つながりのある、親日家でありイタリア人シンガーソングライターのマルコ・パストリーノさんが緊急来日して、ミニライブを開いてくださることになりました。元々、劇中の音楽が素晴らしいという評価を頂いていており、音楽に特化した公演にすることで、より身近に多くの方に本作を知って頂ける機会になればと思います」

門田「縄文時代には私たちが知る以上の豊かな文化と人々の営みがありました。コミュニティの繋がりが薄まりつつある現代を生きる私たちに、太古の時代にあった本当の意味での豊かさを感じてもらえる作品です。ライブでは世界観はそのままに、作品を観た方も観たことが無い方にも楽しんでもらえるはずです」

 2つ目は、大切な人の死と愛をテーマにした新作の現代劇『生死のはざまで君を待つ』。本作は、婚姻届を出したその日に不慮の事故に遭い亡くなった主人公の魂が現世に留まり、悲しみにくれるフィアンセに思いを伝えようとする物語。命とは? 生きることとは?を問う意欲作だ。生きること、日常の尊さを改めて投げかける内容に、出演する水沢有美、宮本弥生、三宅紀世、武西義敬をはじめ、キャスト陣も並々ならぬ思いをよせる。

水沢「私はヒロインの母親を演じます。脚本を読んで、結婚直前に恋人を亡くした娘に母親としてどう接するべきかという視点が、この役を演じる上で重要だと感じました。私も息子が2人いるのですが、子育ての過程で経験したことも膨らませつつ、本作では同性である娘の悲しみに寄り添い、一番良い接し方を模索しながら演じたいと思います」

宮本「主人公の母親を演じます。私にも娘と息子がいて、娘が今日、ちょうど20歳の誕生日を迎えました。また2日前が父の命日という、色々な節目が重なるタイミングで台本を読ませて頂き、非常に愛に溢れた作品だと感じました。
 亡くなった息子の魂が形となって再び現世に戻った時に、しっかりと正気を保ち、愛を持って接するこの母親の姿に、果たして自分は涙なしに演じることができるのかと自問自答しております。それが出来なければこの作品は台無しになってしまう。とても難しい役どころですが、自分にとってチャレンジになりそうで、このお話を頂けて良かったと実感しています。皆さんに共感して頂けるお芝居にできたらと思います」

三宅「市役所に勤務する主人公の同僚を演じます。年齢的にも身近な人が亡くなる経験をしていますので、台本を読んでその時の気持ちを思い出して胸が締め付けられる思いでした。主人公とヒロイン、その家族だけでなく、周囲の人物の感情までとても細かく描かれている作品だと感じました。そういう一人ひとりの気持ちや思いを届けられるように演じたいと思います。
 私の息子も役所に勤めていて、彼から『忙しい部署にいる同僚が残業続きでボロボロになっている。かわいそうだ』という話を聞いたことがあります。その中でも市民に寄り添って働いている人がいることに思いを馳せながら、今回の自分の役作りを試行錯誤しているところです。このぐらいでいいやと妥協して仕事をする人もいる中で、主人公はどうすれば市民の役に立てるかを第一に考える人。亡くなってからその主人公の人となりに改めて気づかされる場面が描かれているので、作品を観た方が、日常の中で当たり前だと思うことや大切な人をもう一度考えるきっかけになれば嬉しいです」

武西「同じく主人公の同僚役です。彼は三宅さんがおっしゃっていた任された仕事だけをするタイプの人間。良くも悪くも真っすぐで、ダメなことは駄目。ルールに厳格で、同僚に対してもづけづけ物を言ってしまう人です。私自身が福島県の会津出身で、『ならぬことはならぬ』という教えが色濃く残る地域で生きてきたので、そこは自分とつながるところがあるなと思いました。
 僕もこの数年で祖父祖母を亡くしていて、死に対しての悲しみの感情がまだ強くあって、台本を読んでいる途中で苦しくなってしまい、正直まだ全部読めていない状況です。死は生きている以上、避けられないことですし、死生観は一人ひとり違うと思いますが、自分が持っている実直さを生かして演じられたらなと思います。
 自分は武田鉄矢さんに憧れて役者になりました。その武田さんが『(亡くなった)母は生きている時よりも傍にいる』という言葉を強烈に覚えています。僕も高校生の時に父を亡くしていて、思い返せば生きている時はそんなに父と話した記憶がなく、亡くなった後、自分に何か問題が起きた時に今、父がいたらなんて言ってくれるんだろうとよく思うようになりました。なので、本作でも亡くなってから遺すものがあるよということが伝わればと思います」

 混迷を極める時代を生きる中で、生きる意義を見失い、苦しみ、悩む全ての人々に贈る作品にしたいと呼びかける。

龍「自分達が目指すのは、今を生きる人達の為に芝居を届けるということです。これまで沢山の方のお力を借りて、時にはぶつかり合いながらもこの20年作品を創って参りました。人間生きていれば、挫折や苦労はありますが、それらを乗り越えて生きてもらいたい。そういうメッセージを作品に込めて参りました。まだこの先も続きますが、10年の節目に集大成としての作品に出来ればと思っています」

門田「本来であれば主人公の父親役を任せようと思った方が1週間ほど前に亡くなってしまったんです。数ヶ月前までは本当にお元気でまた一緒に芝居をさせて頂くのを楽しみにしていただけに、ショックは大きかったです。身近な人の死を受け入れるのは本当に簡単ではないです。だからこそ、迎える日々は当たり前ではないんだよと。もう一度生きることについて考えるきっかけになれば幸いです」

武西「自分は役者として生きると決めたので、旅立った父や祖父祖母との思い出や命の重みも感じながら、この作品、役に全力を注ぎたいと思います。是非皆様に観て頂ければ嬉しいです」

宮本「とにかく愛に溢れた作品です。人を亡くす悲しみだけでなく、きちんと愛を伝えられるように演じたいと思います。その愛が世の中に広がっていけば、きっと争いも減っていくと信じているので、目標は大きく世界平和を願って演じたいと思います」

水沢「愛する人に先立たれて、残された人の悲しみも大きいですが、生きている一日に感謝しながら演じたいと思います。是非多くの方に観て頂きたい作品です」

三宅「目の前で繰り広げられる世界に心を動かされるというのは舞台ならではの魅力だと思います。親は、子は、こんな気持ちなんだと知ってもらうきっかけになる作品です。是非、色々な年代の方に観て頂きたいと思います。ご来場お待ちしております」

(取材・文:小笠原大介 撮影:平賀正明)

 

自分が日本で100位以内に入りそうなタイトルは?

水沢有美さん
「女優……最近はこの素敵な『女優』という言葉が使えなくなっているそうですが……私、水沢有美は半世紀も前に著名な作家・北条秀司先生が『昭和の女優100人』と書かれた本の中に入れてくださっています。それはちょっと自慢でもありますが精進、精進しなければ……とこのコメントを書きながら、改めて背筋に力が入る想いでございます」

宮本弥生さん
「100位以内にランキングすること。日本の人口、約1億2,000万人以上の中から100に入るのは、並大抵のことではない。でもこういうことは、自分で言ったもの勝ちかもしれない。自分の中でそう思ったら、そう、なんだから。私は小さい頃から、ただ好き!ということで、お芝居や映画や音楽に関わってきた(自分が演じるということも含めて)。子育てや様々なことで、もう自分が演じたり、お芝居の世界と関わっていくのは無理かな、と思った時期もあったけれど、やはりやりたい!という強い思いでいたら、今回のようにご縁を頂けた。人と比べず、自分の好き、を心から大切にしていきたい、と常に思っている。その気持ちが自分の中で、100位以内かな」

プロフィール

龍 秀雄(たつ・ひでお)
愛知県出身。2000年、演劇集団プロジェクト動を結成。以降、代表として演劇・ライブ公演を手掛ける。俳優としても活躍。

門田 学(かどた・まなぶ)
高知県出身。俳優としてドラマ・CM に出演する他、演劇集団プロジェクト動では『縄文のひびき~天の渦、地の渦、海の渦~』の脚本を担当。

水沢有美(みずさわ・ゆみ)
東京都出身。劇団四季『せむしの聖女』マリア役で初舞台。西郷輝彦とのデュエット「兄妹の星」で歌手デビュー。

宮本弥生(みやもと・やよい)
兵庫県出身。昭和音楽大学音楽学部声楽学科卒業。主な出演作に、地球ゴージャスプロデュース Vol.6『カルテ』、ドラマ『当番弁護士』シリーズなど。

三宅紀世(みやけ・のりよ)
京都府出身。1986年、東映俳優養成所へ入所。演劇集団プロジェクト動では『縄文のひびき~天の渦、地の渦、海の渦~』に出演。

武西義敬(たけにし・よしたか)
福島県出身。主な出演作に、TBSドラマ『ドラゴン桜2』、映画『おっさんずラブ』など。

公演情報

プロジェクト「動」プレゼンツ
『この世の果てまでも 生死のはざまで君を待つ』『縄文のひびきライブ』

日:2025年12月4日(木)~7日(日)
場:オメガ東京
料:一般5,000円 学生[18歳以下]2,000円
  (全席自由・税込)
HP:https://project-dou.com
問:演劇集団プロジェクト動
  mail:xuementian92@gmail.com

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