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劇団わの人気シリーズ『バック・トゥ・ザ・君の笑顔』のシリーズ外伝にして始まりの物語となる『バック・トゥ・ザ・君の笑顔〜妖となれば思い出すこと多くなりぬ〜』の上演が決定。11月26日から中目黒キンケロ・シアターで上演される。本作で描かれるのはクロとアトロがまだ仲良く暮らしていた時代のお話。2人がいかにして神を目指したのか、そしていかにして憎しみ合うようになったのかが描かれる。
クロ役の山木透、アトロ役の綾切拓也、千早役の長月明日香、結役の高岡薫に公演への意気込みや役柄への思いを聞いた。
―――今回の出演が決まった時のお気持ちをお聞かせください。
山木「僕は劇団わの公演には2回目の出演となるのですが、前回はゴリラ役で今回は狸なんだと(笑)。ですが、こうして再びお声をかけていただきとてもうれしいですし、愛のあるファンタジーな世界観がすごく好きなので、とても光栄です。劇団わが作るこの世界で再び生きられることが今から楽しみです」
綾切「劇団わの公演は初めて出演させていただくので、ダブル主演ということもあり、まだ緊張しています。ただ、それ以上に劇団わとご一緒させていただく楽しみが勝っています。早い段階から物語の構想や今後のビジョン展開をいただいて、しっかりと作られた企画だと感じたので、それに恥じないように頑張ろうと思っています」
長月「私も劇団わは初めましてなのですが、1度、イベントではご一緒させていただいていて。そのときから、ずっと劇団のお名前を知っていたので、今回、出演することが決まりすごく嬉しかったです。特に今回はこの夏に3部作を上演したシリーズの外伝ということなので、3部作を楽しんだお客さまも来てくださると思います。なので、そうしたお客さまはもちろん、外伝からも楽しめるような作品にしたいと思っています」
高岡「私も劇団わは初めましてですが、以前、作品を観劇させていただいて、すごく面白い作品だと思っていたので、お話をいただいてうれしかったです。共演者の方には初めてご一緒する方も、これまでご一緒した方もいらっしゃるので、これからのお稽古がすごく楽しみです」
山木「皆さん、初めてなんですね。驚きました」
―――山木さんは劇団わには2回目の参加ということですが、前回のお稽古や公演の雰囲気はいかがでしたか?
山木「とても現場の空気がいいなと思いました。全員で作り上げている感覚があったんですよ。休むときはきちんと休んで、やるとなったらやるという切り替えがしっかりしていて、とてもやりやすかったですし、その切り替えが僕は好きでした。皆さん、お芝居が好きなんだなと思いましたし、楽しく稽古させていただきました」

―――今回、皆さんが演じる役柄について教えてください。
山木「僕はクロを演じます。無邪気で子どもらしい素直なところがあって、人への愛を敏感に感じとる役なのかなと思います。どちらかというとやんちゃなので、稽古をしながらいろいろと試していけたらいいなと。今回、殺陣もあるので、そこも頑張りたいです」
―――殺陣も楽しみですね。
山木「ほかの舞台でもやっていますが、これまではちょっと変わった武器を扱うことが多かったんですよ(笑)。今回は、日本刀で戦うのですが、刀を使った殺陣は最近はやっていないので、それもまた楽しみです」
―――綾切さんはいかがですか?
綾切「アトロは、脚本を読んだ印象はすごく真面目でいい子という一言に尽きると思いました。自分で言うのもなんですが、ちょっと自分に似ているところがあるんですよ(笑)。僕は子どもの頃から習い事ばかりしてきて、親に言われたことをしっかり守る子でした。正直者で、きちんとしていないといけないと思っていたんだと思います。なので、そうしたところはアトロに通じる部分があるのかなと思います。これから稽古でさらに深く掘り下げて作っていくと思うので楽しみだなと思っています」
―――アトロもまた殺陣がありますよね?
綾切「はい、足を引っ張らないように頑張ります(笑)」
―――長月さん、高岡さんの演じる役柄についても聞かせてください。
長月「私が演じる千早は、相方の結ちゃんとのセリフの掛け合いがすごく多いので、稽古を繰り返して息を合わせないといけないなと今から緊張しています。千早は結ちゃんに比べて元気いっぱいな明るいキャラクターです。結ちゃんが千早のストッパーになってくれているので、結ちゃんに助けてもらいつつ、ときには引っ張っていくお姉ちゃんらしいところも見せていけたらいいなと思っています」
高岡「私が演じる結という役は、千早の双子の妹です。千早に比べたらおとなしいところもありますが、思ったことをはっきりといったり、素敵なところもたくさんあります。神様を目指している妖怪たちを優しく見守ることができたらいいなと思っています」
―――脚本を読んで、この物語のどんなところに魅力を感じましたか?
山木「3部作の中では仲が悪かったクロとアトロが仲が良いところからお話が始まり、どうして仲が悪くなったのかも描かれます。2人は、根本的には考えていることは同じなのですが、少しのズレが亀裂になって、どんどんと違う道を進んでいってしまいます。そうした2人の物語は、この作品だけを観ても面白いと思いますし、シリーズを通して観てきた方にも楽しめる作品なのではないかなと思います」
綾切「まだ稽古も始まっていませんが、脚本を読んで引き返したい気持ちになっています(笑)。仲が良い2人は本当に楽しそうなのですが、その2人が最後はいよいよ引き返せないところまでいってしまうので、その姿に心が締め付けられました。ジェットコースターのような高低差があって、2人の楽しい姿を見ているが故に苦しさもあって。そんな物語になっていると思います」

長月「ファンタジーなお話ではありますが、そのファンタジーの中にも日常がきちんと描かれているので、リアルさも感じていただけると思います。狸や狐、妖怪が登場しますし、難しい言葉も出てくるので、一見すると入りにくい作品なのかなと思うかもしれませんが、台本を読んですぐに世界観に入り込んでしまいましたし、妖怪たちがすごく楽しそうにその世界を生き生きと生きているのを感じたので、お客さまもきっとすぐにその世界に入っていけるのではないかと思います」
高岡「クロとアトロは、会ったらすぐに戦い始めるくらい仲が悪いのですが、この作品ではそんな2人のすごくかわいい姿も観ていただけるので、そこは見どころだと思います」
―――では、物語の中で絡むことも多いクロとアトロのお2人、そして千早と結のお2人、それぞれお互いの印象を教えてください。まず、山木さんは綾切さんの印象は?
山木「ビジュアル撮影で初めてお会いしたのですが、見た瞬間からアトロだと思いました。台本を読んでイメージしたアトロそのままで。先ほど、(綾切本人が)似ているところがあるとおっしゃっていましたが、そうしたところも分かるなと思うくらいアトロでした」
綾切「僕も全く一緒です。ビジュアル撮影のときからクロだとスッと入ってきました。初対面ではありましたが、居心地の良さを感じたので、これからの稽古がすごく楽しみです」
―――千早と結のお2人はいかがですか?
長月「私は元々、高岡さんのお芝居を見たこともあって、知っていたので、『あ、本物だ!』って(笑)。山木さんと同じように、私も(高岡を見て)結そのままだなと思いました。結ちゃんはおとなしい子で、どこか妹感があるのですが、その空気感をすごく感じました」
高岡「私も会った瞬間に『お姉ちゃんだ!』って、すごく楽しみになりました。引っ張っていってくれるのかなと思うので、着いていきたいと思います!」
―――ちなみに、先ほど綾切さんはご自分でもアトロに似ているところがあると感じているとおっしゃっていましたが、他の皆さんはご自身の演じる役柄との共通点は感じていますか?
山木「僕はアトロではないので、どちらかといったらクロなのかなと。あまり細かいことを考えるのが苦手で、とりあえず1回やってみようというタイプなので。もちろん、全部が似ているわけでもないですが、どちらかといったらクロの方が気持ちが分かるし、近いのはクロなんだと思います。ただ、みんなから『かわいい姿』という言葉も出ていたので、かわいくしないといけないなと思っています(笑)」
長月「私もどちらかといったら千早の方が演じやすいですし、似ている部分もあります」
高岡「私は結とは反対の性格です(笑)」
長月「えぇ!?」
高岡「今は緊張しているからおとなしいんですよ(笑)。ただ、普段はあまりおとなしい役を演じさせていただくことがないので、そうした役を演じられるのは楽しみです」

―――綾切さんはアトロと似ているということですが、逆に違うというところはありますか?
綾切「真面目だというベクトルは一緒だと思うのですが、僕はアトロほどではないのかなと思います」
―――これからのお稽古に向けて準備していることや楽しみにしていることはありますか?
山木「関係性をしっかりと築いて、それをお客さんに観ていただけるよう全員でこの作品を作っていくということが楽しみです。それから、僕はやっぱり殺陣です。前回、劇団わの公演に出演したときは、1人だけ素手で戦ったので(笑)、今回は武器を持たせてもらって戦えることが楽しみですね」
綾切「始まりの物語で、ここからストーリーが広がっていくんだと思うと、それぞれの登場人物たちの関係性をしっかりと読み込んで、説得力があるものにしていきたいです。もちろん殺陣でも魅せられるように、動ける体づくりをしていきたいと思います」
長月「千早と結の関係性を作っていくことはもちろん、千早は子どもっぽいところもあれば大人っぽさもある役柄なので、そのコントラストをはっきりつけていきたいと思います。妖怪たちに可愛がってもらうみんなの妹という立場でもあるので、役の中での年齢層なども意識してキャラを作っていけたらと思っています」
高岡「この4人の絡みもそうですが、他にもたくさん妖怪が出てくるので、その方たちとのお芝居もすごく楽しみです。みんなでいい関係性を作れたらいいなと思っています」
―――ところで、「笑顔を取り戻す壮絶な物語」という本作。皆さんが「笑顔になるとき」を教えてください。
山木「僕はお酒を飲むのが好きなので、飲んでいるときは笑顔です(笑)。好きな人たちと一緒に飲む時間が最高に楽しいです」
綾切「僕はゲームが大好きで、四六時中プレイをしているのですが、昨日の夜中の3時くらいに、プレイしていたゲームのエンディングを見て号泣しながら笑顔でした(笑)。入り込んでしまうんですよ。ニコニコしながら笑顔になるという、怪しい状況だったと思います(笑)」
長月「私は基本的には終始笑顔ですが、やっぱり美味しいものを食べてるときが1番笑顔だと思います。食べることが好きなので、すぐ自分にご褒美しちゃうんですよ(笑)。『今日も頑張った』と何も頑張ってなくても自分にご褒美あげて、美味しいものを食べてます」

―――特に好きな食べ物は?
長月「甘いものと生牡蠣です!」
山木「僕も生牡蠣が大好きです。本番中は食べられないから、本番終わったら必ず食べています」
長月「そうですよね。やっぱり稽古期間中や本番が近いと食べられないんですが、生牡蠣が好きなんです」
―――では、今回の公演の打ち上げは生牡蠣で決まりですね(笑)! 高岡さんはいかがですか?
高岡「私も食べることが好きですが、それ以外ならばアニメです。友達とアニメの話で盛り上がっているときは笑顔になります。最近は、アニメにもなっているスマホアプリゲームの『あんさんぶるスターズ』に再びハマって友達と盛り上がっています!」
―――最後に改めて公演に向けた意気込みと読者へのメッセージをお願いします。
山木「この外伝からスタートする物語なので、より一層、気合いを入れて稽古をして、シリーズ3作品に恥じないように、そして『外伝もめちゃくちゃ良かったね』と言っていただけるように頑張ります。僕はお芝居は劇場で、肌で感じるのが好きなので、ぜひ皆さんも劇場に足を運んでいただき、空気感を肌で感じて、観て楽しんでいただけたら嬉しいです」
綾切「この取材を通して、すごくいい作品ができそうだなという空気を感じています。僕はシリーズ2作目の『お江戸でござる』を観劇させていただきましたが、前説から最後のカーテンコールまで、劇団わの空気感をたくさん浴びて、『やっぱり芝居っていいな、面白いな』と心から思いました。なので、それを超えていけるように、素敵な作品をお届けできたらと思います。今日の取材はいい決起集会になったと思うので、このエネルギーを爆発的にお客さまにお届けしたいと思います」
長月「始まりの物語ではありますが、この夏に上演した3部作のキャストの皆さまの思いも背負って、全力で取り組んでいきたいと思っています。初めてご覧になるという方にも楽しんでいただけるように精一杯頑張ろうと思いますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらと思います」
高岡「ありがたいことに、たくさんの方にチケットを購入していただいているそうなので、それだけ皆さまがこの公演を楽しみにしてくださっていることが伝わってきます。その期待を越えるものをお届けできるよう、座組の皆さんと一緒に頑張りますので、ぜひ劇場まで来てくださると嬉しいです」
(取材・文&撮影:嶋田真己)

プロフィール

山木 透(やまき・とおる)
1995年1月25日生まれ、東京都出身。ドラマや映画・舞台など幅広く活躍中。主な出演作に、ミュージカル『忍たま乱太郎』シリーズ、劇団バルスキッチン第33回公演『どぎまぎメモリアル~まぎまぎブルーver.~』など。

綾切拓也(あやぎり・たくや)
1991年7月11日生まれ、兵庫県出身。舞台・ドラマなど幅広く活躍。主な出演作に、舞台『アイ★チュウ』シリーズ、舞台『ヨルハ』、2.5次元ダンスライブ「VAZZROCK STAGE」シリーズなど。

長月明日香(ながつき・あすか)
1999年9月11日生まれ、東京都出身。2021年に劇団☆ディアステージに加入。2025年に退所。以降も、舞台を中心に活躍中。主な出演作に、舞台『ARCHIVE(アーカイヴ)』、『素晴ラシキ世界ノ片隅デ -Refrain-』、『七夕スターダスト』など。

高岡 薫(たかおか・かおる)
2000年11月29日生まれ、愛媛県出身。2014年「AKB48 Team8 全国一⻫オーディション」に愛媛県代表として合格し、Team8のメンバーとして活動。2023年に卒業してから、主に舞台を中心に活躍。舞台『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』菊乃井鳳蝶役(主演)、舞台『スパイ教室』サラ役、舞台『グリザイア:ファントムトリガーTHE STAGE』ウラハ役など、2.5次元舞台への出演も続いている。
公演情報

劇団わ 『バック・トゥ・ザ・君の笑顔 ~妖となれば思い出すこと多くなりぬ~』
日:2025年11月26日(水)~30日(日)
場:中目黒キンケロ・シアター
料:10,000円(全席指定・税込)
HP:https://site.gekidan-wa.tokyo/back-to-the-kiminoegao2025
問:劇団わ mail:cs@gekidan-wa.tokyo
