
バレエ作品とは実に幅広く、よく知られている古典作品だけでなく、国内外のクリエイターが新たに制作し話題を呼んだ作品も数多い。そんな多彩な作品を各バレエ団は年間スケジュールの中でプログラムしていくが、NBAバレエ団の『GRACE & SPEED 2025 』では、話題の作品を一度に集め上演する。今回は3つの作品が用意され、1つ目は4組のカップルが魅せる『ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番』。2つ目は、ケルト音楽に乗せスピード感溢れる振付の『ケルツ』。3つ目は、NBAバレエ団 常任振付師・岩田雅女による新作だ。メインキャストから、勅使河原綾乃と北爪弘史が作品の魅力について語ってくれた。勅使河原「『ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番』は、なんと言っても曲が美しいんです。それに乗せて色鮮やかな衣裳を纏った4組のカップルが、クラシカルなバレエ表現の魅力いっぱいに踊ります。『ケルツ』は躍動感や家族愛が感じられる作品で、NBAらしさが満載の作品ですね」
そして岩田による新作。タイトルの『Licht 』はドイツ語で“光”を意味する言葉だという。
北爪「岩田さんは“心”を大切にして踊る方なので、それを作品に取り入れていると思います。また、動きがあまり日本人らしくないところもおもしろいです。僕は海外のバレエ団に長くいたせいか、むしろ自然と身体に入ってくる感じがします。なので海外向けなのかなと思いました」
勅使河原「すでに振付は始まっていますが、心の揺れ動きを繊細に、内側から出てくるものを大切に演じてほしいと、岩田さんはおっしゃっていました。ご本人もそういったことを敏感に感じる方ですからね」
バレエを見慣れていない人にこそおすすめの公演だと、北爪は締めくくる。
北爪「バレエを知らない人に、ぜひ観ていただきたい3作品です。例えば『白鳥の湖』や『海賊』のように、よく知られたストーリーがある作品は、どうしても先入観から入ってしまいがちですが、この3作品はストーリーがあるようでない。だからこそ、バレエを良く知らなくても自然と入り込みやすい部分があります。
NBAらしさいっぱいの3作品、お越しいただければ絶対にご満足いただけると思います」
(取材・文:渡部晋也 撮影:平賀正明)

プロフィール

勅使河原綾乃(てしがはら・あやの)
埼玉県出身。2年間のドイツ留学を経て、2015年にNBAバレエ団へ入団。2020年にソリスト、2023年4月にファーストソリストに昇格。同年12 月にプリンシパルに昇格。主な出演に、『くるみ割り人形』、『白鳥の湖』など。

北爪弘史(きたづめ・ひろふみ)
神奈川県出身。8歳からバレエを始め、イギリス留学を経て2009年にK-Ballet Company に入団。2012年に渡米し、以後10年にわたる海外活動を経て、2022年9月、NBAバレエ団にソリストとして入団。2024年4月、ファーストソリストに昇格。
公演情報
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GRACE & SPEED 2025
日:2025年9月27日(土)・28日(日)
場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
料:S席9,000円 A席7,000円
※他、U25席・車いす席あり。詳細は下記HPにて(全席指定・税込)
HP:https://nbaballet.org
問:NBAバレエ団
tel.04-2937-4931(平日9:00~17:00/土日祝休)