
原口勝が主宰・作・演出を務めるlove&rock☆starsの第17回公演、love&rock☆show『宇宙SORA』~SATURN~が2025年9月、六行会ホールで上演される。ビジュアル撮影のタイミングで、君沢ユウキ・大原万由子・村上幸平・萩野崇・原口勝にインタビューを行った。
―――まだ台本は渡っていないということなので、まずは原口さんに今回の作品についてお伺いしたいです。
原口「2017年に『宇宙SORA』というタイトルで上演しましたが、話は全く違っていて関連性はないです」
一同「(笑)」
原口「役名は同じ人たちがいて、舞台となる国の一部は同じ。
前回の公演を終えて、何故か行かなければいけない気がしてスペインのバルセロナの旧市街に行ったんです。その後、モンセラットという山に向かったら、大雨だったのに近づくにつれて晴れていき、頂上に着いた時に雲の隙間から、光が差したんです。それを見た時に、ここが劇中で描いたアルカディアなんだと感じました。それを分かった上で改めて描いた作品が『宇宙SORA』~SATURN~です。
今回の敵国 アルカディアはスペインを模して、ファンタジックに作っているのが大きな違いです。前作『果てしない海の向こうへ』でシンスケがアルカディアに拉致・投獄されていて、娘のレオンとともに戦っている青木聖名が助けにいく物語になっています。あとはシンスケの謎がどんどん明かされていく。シンスケの人生の旅の終焉のような感じです」
萩野「シンスケの青年期・壮年期・今回の物語があって、それぞれ別の俳優さんが演じてきて僕が務めるということですよね。面白そうだなと思っています」

原口「今年に入って、本来予定していた10月に六行会ホールが取れなかったんですが、9月1日から7日だけ奇跡的に空いているという連絡をもらった。さらに音楽を担当してくれている横山さんをはじめとするミュージシャンもちょうどここだけ空いていると。
さらに、紹介をいただいた君沢さんもここしか空いていないとわかり、君沢さんから萩野さんを紹介してもらって。大原さんは今年の1月に、僕が演出助手で入った川﨑麻世さんの舞台に出ていて、すごく真摯にお芝居をされるのでオファーしました。お話しして宝塚の男役だったことを知って配役がすぐ決まって。村上さんは以前出演してくれた賀集さんからお名前を聞いて気になっていて、企画書をお送りしました」
村上「この歳になると決まった方からのオファーが多いので、いきなり知らないところからオファーが届いて驚きました。でも、『love&rock☆stars』と書いてあるのを見て、僕もロック好きなのでロック好きに悪い人はいないんじゃないかと(笑)。賀集くんが2回連続で出ているし、大丈夫だろうと思ってオファーを受けました」
原口「ビジュアル撮影で初めてお会いしましたが、やっぱりロック好きに悪い人はいないですね! 川﨑麻世さんとは20年以上の付き合いですが、そこからいろいろなご縁が繋がっている。不思議なことが起きる経験が多いので、僕の作品には運命めいたものが多いです。スペイン旅行も不思議な縁で行ったし、常に運命的なものを感じています。勘で動いてよかったことが多くて、おかげでいい公演ができています」

村上「本当は今回の作品で一区切りと聞いていましたけど、いろいろな出会いがあったことで原口さんの中で変化があり、次回もやるかもとなったんですね」
原口「悩んでいた時とは全く違う作品になって、2024年に書き終えなくて良かったなと思っています。皆さんにまだ台本を見せていませんが、読んでもらうのをワクワクしています。
曲もどんどん進んでいるし、振付は山口賢人くんの推薦で、キャストでもある中西彩乃さんがやってくれます。新しい風が入ってきた座組が楽しみです」
―――現時点で、ご自身が演じる役についてどんな印象を持っていますか?
君沢「このタイミングですが、実は僕だけさっき台本読んじゃったんです」
一同「(笑)」
君沢「初稿の段階ですが、カタルシスを感じました。自分が演じる青木聖名に関して言うと、いろいろな因縁があって、(大原演じるレオンとは)ロミジュリみたいな関係性。自分の利益も考えるけど、レオンに共感して動ける人なのが良いところだなと思いました。僕ばかり話してもあれですから……」
萩野「いやいや、(内容を)知ってるのはあなただけだから(笑)」
君沢「台本を読んでいてレオンが大好きになりました。悪役に見えるキャラにもドラマがあるのがいいですね」

原口「どちらにも正義があって、見るポジションで変わるのを表現したい。戦争している国は、どちらも正義を掲げているんですよね」
君沢「ちょっと未来の話でもあって、現代で起きている世界の歪みが繋がってしまった世界。すごく面白いRPGみたいな印象を受けました。あと、真面目な話なのに結構笑いもある。アクションも歌もバンドもあって、全部盛りだと思います。さあ、次はみなさんの番ですよ」
萩野「自分のキャラクターについては台本を読んでみてから考えたいなと思います。ただ、自分なりに面白い役になるだろうとは思っています(笑)」
一同「(笑)」
君沢「萩さんは萩さんにしかできない役になりますよ。オーラと殺陣と、見せ場もたくさんありますから」
萩野「お話を聞いていて、シェイクスピアに近い普遍的な面白さがあるのかなって。人間の本質的なものも背景にあって、さらに笑いがあるのはエンターテインメントとしてすごくいいなと思っています」
大原「まずい。みなさん素晴らしいコメント……! レオンは本当にまっすぐで誠実な人だと思いますが、私は猪突猛進なのでそこが役にあっていると思ってくださったんだろうと予想しています。最近は年下の方が多い現場が続いていましたが、今回は先輩方に囲まれているので甘えます(笑)。たくさん学べるのが楽しみです。曲もオシャレで、私が歌いたいと思っていた曲だし、デュエットの経験も少ないので楽しみです」

原口「レオンと聖名のデュエットは、(大原・君沢の)2人に会ったから作れた曲。イメージを具体的に膨らませられたことで曲と歌詞が降ってきて、それをバンドに渡して返ってきたのがあの曲です」
大原「リズムがちょっと難しいところもあるので、練習しなきゃと思いつつ楽しみです」
君沢「僕らは日本を彷彿とさせる国の出身ですが、お互いに敬語で喋っている感じがいいなと。デリカシーのある2人の感じが美しくて愛せるなと思いました」
原口「書いていて自然とそうなった。聖名は元々国のトップの息子だし、レオンも王国を継いだばかりだし」
萩野「(嬉しそうな大原を見て)喜ぶねぇ(笑)」
原口「ここまでの話において、シンスケはただ1人愛した女性が亡くなったことをきっかけに憎しみに囚われ、聖名の先祖を皆殺しにしてしまった過去があるんです。復讐を達成して無になったシンスケが、彼女の生まれ変わりである女性と出会い、恋に落ちてレオンが生まれる」
萩野「パンフレットに相関図がほしいですね」
君沢「ほしいですね。歴史があるシリーズだから」
原口「いろいろな運命が集約してくる物語です」
一同「(笑)」
村上「ブックマンはこの世界の神様で、ブックマンが持っている本に書いていることが舞台上で起きている。舞台上とお客様を繋ぐ語り手のポジションです。そのためにまず僕が歌ってお客様を物語の世界に誘わないといけません。
この作品の一番の売りは生バンドに乗せて歌うことだと思いますが、すごく気持ちいいです。生音ならではの音圧もあって、音を体で感じながら歌うってこんなに楽しいんだと思いました。お客様も、ライブハウスやコンサートに行けば生バンドの音は聴けると思いますが、演劇の舞台上で生バンドを聴くのは結構新鮮だと思うのでぜひ楽しみにしてほしいですね」

萩野「ちなみに六行会(ホール)さんは聞きやすいですか?」
原口「そうですね。ステージの奥行きもあるので、バンドを置きやすいのがあります。打楽器がダメな会場も多いので、六行会じゃないとできない公演ですね」
―――ビジュアル撮影をした感想、お互いのビジュアルを見た感想も教えてください。
萩野「みんなハマってましたね。衣装もメイクも世界観がはっきりしている。ただ、5人並ぶと濃すぎるなと思いました(笑)」
君沢「かっこいいですよね。この人たちが共演者として一緒にいると思うといいなって。ビジュアルがいい舞台です」
原口「すごくワクワクした。今回はキャストが31人いますが、みんないいです。人数がいて質量でワクワクできるといいなと思って。なるべくみんなに出番とセリフを渡したい気持ちもありますが、喋らない役もすごく大事。僕自身アンサンブル経験もあるし、アンサンブルの質は作品の質に繋がるんです」
大原「ビジュアルは大人の皆さんの色気がすごかったです。あと、みなさんの声がすごく良くて耳福でした」
村上「僕は3回目の出演ですが、毎回同じだと飽きちゃいそうなのでビジュアルもブラッシュアップしました。ぜひグッズを買ってください!」
一同「(笑)」
(取材・文:吉田沙奈 撮影:友澤綾乃)
プロフィール

君沢ユウキ(きみさわ・ゆうき)
京都府出身。主な主演作に、『仮面ライダーW』、ライブ・スペクタクル『NARUTO -ナルト-』シリーズ、舞台『鋼の錬金術師』シリーズなど。

大原万由子(おおはら・まゆこ)
東京都出身。主な出演作に、舞台『鬼滅の刃』其ノ参・無限夢列車、『僕のヒーローアカデミア』 The“Ultra”Stageシリーズ、『Le Lien~ル・リヤン2025~』など。

村上幸平(むらかみ・こうへい)
東京都出身。主な出演作に、『仮面ライダー555』、ミュージカル『新テニスの王子様』シリーズ、舞台『COLOR CROW』シリーズなど。

萩野 崇(はぎの・たかし)
東京都出身。主な出演作に、『仮面ライダー龍騎』、配信映画『CONNECT 覇者への道』シリーズ(2024年から出演)など。舞台はDisGOONie作品に多数出演。

原口 勝(はらぐち・まさる)
鹿児島県出身。love&rock☆stars代表、公演主宰。数々の演劇作品で出演・演出。ニューヨークに行った経験から、恵比寿に参加型芝居のStars☆Tokyoを設立。オリジナル作品の創作の道を進んでいる。
公演情報

love&rock☆stars 第17回公演
love&rock☆show『宇宙SORA』〜SATURN〜
日:2025年9月3日(水)~7日(日)
場:六行会ホール
料:S席9,000円 A席8,000円
B席7,000円(全席指定・税込)
HP:https://x.com/stars__theater
問:love&rock☆stars
mail:loverockstars.neo@gmail.com