紀元前より約2500年にわたり世界の観客を惹きつけてやまないギリシア悲劇の最高峰『オイディプス王』。パルテノン多摩リニューアルオープン1周年記念として昨年7月に上演された本作が、早くも再演される。タイトルロールのオイディプスを演じるのは、三浦涼介。再演にあたり三浦が本作への想いを語ってくれた。
「初演から1年以上経っているけれど、自分にとって相当濃い時間だったからなのか、そんなに時間が経った感覚がなくて。お稽古前もお稽古中も、本番中も本番を終えてもずっと『オイディプス王』が頭にあって、つい昨日までやっていたかのような気持ちです」
演出の石丸さち子とは、度々タッグを組んできた。
「自分はいつもどこかで格好つけたり、ミステリアスな部分を残しておいたりする。だけど、初演時は石丸さんをはじめ、キャスト・スタッフの皆さんに、僕の全部を見せた。僕のダメなところ、足りないところ、寂しいところ、恥ずかしいところ……。そんな経験は、この業界に入ってからの20数年で初めてだったと思います」
初演の稽古時は、その役割の重さから心身ともに極限状態で、演出家が稽古場での最終通しを中断するほど追い込まれていたという。
「石丸さんは『涼介は大丈夫!』と信じてくれて、きっと周りにもそれが伝わっていたのでしょうね」
そうして全身全霊で臨んだ初演で、“揺るぎない表現力とカリスマ性”が絶賛された三浦。自身がかつて観た、平幹二朗の舞台での異常な美しさとオーラに圧倒されたように、「難解な芝居だとかセリフ量が多いとか、そういう次元を超えて、やっぱり芝居が好きだというところにいきたい。改めて自分としても芝居が楽しいと感じたいし、それをお客さまにもお届けしたい」と抱負を語る。
三浦にとって、2024年は“学びの年”だったそう。
「とことん芝居を知りたいと思って、自分がやりたいもの、やったことのないもの、立ったことのない劇場や朗読劇と詰め込んだ。ちょっと詰め込みすぎたんですけど(笑)、おかげさまでより芝居が好きになったし、段階を踏んで登っている感覚になれました」
経験を積み重ねた先で、どんな『オイディプス王』を見せてくれるのか。楽しみにしていよう。
(取材・文:五月女菜穂 撮影:永石 勝 舞台撮影:引地信彦)
プロフィール
三浦涼介(みうら・りょうすけ)
1987年2月16日生まれ、東京都出身。2002年に俳優デビュー。以降、ドラマ・映画・舞台・ライヴなど幅広く活躍。近年の主な出演作に、『リーディングシアター GOTT 神』、音楽朗読劇『手紙』、舞台『ブラックジャックによろしく』、地球ゴージャス三十周年記念公演 『儚き光のラプソディ』、舞台『SaGa THE STAGE〜再生の絆〜』、『銀河鉄道ノ夜』、『オイディプス王』、『桜姫東文章』、『呪術廻戦』シリーズ、ミュージカル『フィスト・オブ・
ノーススター〜北斗の拳〜』、『銀河鉄道999 THE MUSICAL』、ミュージカル『マタ・ハリ』、ドラマ『君とゆきて咲く〜新選組青春録〜』、『顔だけ先生』、『マイルノビ ッ チ 』な ど 。
公演情報
『オイディプス王』
日:2025年2月21日(金)~24日(月・振休) ※他、大阪公演あり
場:パルテノン多摩 大ホール
料:9,800円(全席指定・税込)
HP:https://www.oedipus.jp
問:パルテノン多摩 tel.042-376-8181(10:00~19:00/休館日除く)