せんがわ劇場演劇コンクールで選ばれた2団体による、新作連続公演 選ばれた新たな感性が劇場と格闘する。演劇界の最前線がここに!

せんがわ劇場演劇コンクールで選ばれた2団体による、新作連続公演 選ばれた新たな感性が劇場と格闘する。演劇界の最前線がここに!

 東京都調布市にあるせんがわ劇場で毎年開催される「せんがわ劇場演劇コンクール」は、次世代を担う芸術家と鑑賞者の育成を目指し、2010年にスタート。その審査方法や審査員の顔ぶれがユニークなことで知られている。さらに専門審査員が選ぶ“グランプリ”と、公募審査員と観客からの投票で選ばれる“オーディエンス賞”の2団体には翌年の劇場使用権が与えられるというのだ。
 今回、昨年の第13回でグランプリ・劇作家賞・演出家賞の3冠に輝いた、長野県松本市を拠点とする「劇団野らぼう」と、オーディエンス賞・俳優賞を獲得した「終のすみか」が続けて公演を行う。劇団野らぼう主宰・脚本・演出の前田斜めと、終のすみか主宰・作・演出の坂本奈央に、受賞したときの気持ちを聞いた。

前田「僕たちが獲るとは思っていなかったです。脚本については終のすみかさんが凄く良かったですし、もしも僕が獲れるとしたら演出家賞があるかどうか。だからグランプリは意外でした」

坂本「観客のみなさんに選んでいただけたのは凄く嬉しいです。どんな方に観てもらえるかを想像して書いていたので、それが目に見える形になったのは嬉しいですね。それと私は、野らぼうさんの作品から凄く元気をもらえたんです。仲間のみんなが野らぼうさんを観て、こんな風に楽しんでやればいいんだと励まされました。きっとそういったことがみなさんに伝わったのだと思います」

 先に上演する終のすみかの『Deep in thewoods』は、高橋あずさ・武田知久・串尾一輝による三人芝居だ。きっと濃密な会話劇になると予想するが、実は劇場での本公演は初めてとなる。

坂本「コンクールは短編だったので、割と希望的な結末でしたが、普段はもう少ししんどい作品をやっているんです。そういった“しんどさ”を共有できればと思っています」

 坂本いわく「コンクリート造りで堅牢で強固な場所」であるせんがわ劇場でどう振る舞うのか非常に楽しみだ。

 続く劇団野らぼう『内側の時間』は、なんと劇場内にテントを建て、テント芝居を実現するという。さらに太陽光発電で充電したモバイルバッテリーを上演用の電力に使う“ゼロカーボン演劇”も興味深い。

前田「僕たちの舞台は見栄えも派手にしますので、それも楽しんでもらえると思います。作品をクリエイションするのが難しい時代ですが、そんな中でも作ることを許されている。そんな作品をお届けしたいと思います」

 今後の演劇界を掻き回す“目”になり得る2団体の公演。今からチェックするべきだろう。

五月病を乗り切れる!?かもしれない、生活の時短術を教えてください!

前田斜めさん
「んーと、申し訳ありません! しばらく考えましたが五月病のことも時短術のことも身に覚えがなさすぎて、気の利いた答えを書くことができませんでした。なにしろ普段芝居創りなんてものをしていると、初期衝動に対して一つひとつ丁寧に遠回りをしているので“時短”とは縁がなく……。むしろたまにはぷらっと外を出歩いて、何もかも忘れてぼーっと空を眺める時間などがあるとよい。そういう意味では、5月は時短も忘れて気長にやりましょう!?」

坂本奈央さん
「晴れたおやすみの日に、昼からお酒を飲みながら部屋の掃除をすることです。窓を開け放ち、室内を通るさわやかな風を感じながらお酒を飲むと、あっという間にいい気分になり、気づかぬうちに部屋がぴかぴかになっています。迷惑にならない程度に音楽を流し、歌いながら行うのもおすすめです」

プロフィール

前田斜め(まえだ・ななめ)
大学在学中に映画監督を目指すが、“旅するテント芝居” を標榜する「劇団どぐんご」に衝撃を受け、そのまま劇団員として参加。その後、松本を拠点に「劇団野らぼう」を結成。野外劇を主体に活動を展開。第13回せんがわ劇場演劇コンクールにて『ロレンスの雲』がグランプリ・劇作家賞・演出家賞をトリプル受賞。

坂本奈央(さかもと・なお)
大学在学中に演劇サークルに参加。ENBUゼミナールの俳優演劇コースで演劇を学ぶ。2019年、サークルで出会った高橋あずさと「終のすみか」の活動を開始。カフェやギャラリーといった劇場でない場所での公演を重ねる。第13回せんがわ劇場演劇コンクールにて『SUNRISE』がオーディエンス賞を受賞。

せんがわ劇場演劇コンクール
次世代を担う芸術家と鑑賞者の育成を目指し、2010年にスタート。「出会い」を「理解」に深めるコミュニケーションを大切にし、批評の言葉・観客・アーティスト同士、そして地域社会といった様々な出会いの機会を提供。専門審査員全員による全ファイナリスト団体への直接講評や、公募審査員と参加団体も交えたアフター・ディスカッションを行うのも特徴の1つ。

公演情報

第13回せんがわ劇場演劇コンクール 受賞団体公演

劇団野らぼう 『内側の時間』
日:2024年5月31日(金)・6月1日(土)
料:一般3,000円
  ※他、各種割引あり(全席自由・税込)
HP:https://norabou.net/ 
問:劇団野らぼう 
  mail:gekidannorabou@gmail.com

終のすみか 『Deep in the woods』
日:2024年5月24日(金)~26日(日)
料:一般3,000円
  ※他、各種割引あり(全席自由・税込)
HP:https://tsui-no-sumika.com/ 
問:終のすみか 
  mail:sumika.tsui10@gmail.com


各団体10名限定! 一般・U25・ハンディキャップチケット 各500円引

共催:(公財)調布市文化・コミュニティ振興財団
HP:https://www.chofu-culture-community.org/
場:調布市せんがわ劇場

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