奇想天外な物語と、時に強烈な毒を含んだユーモアを盛り込んだ作品で人気の筒井康隆。その代表作の1つ、『ジャズ大名』が舞台化される。舞台は幕末、アメリカから3人の黒人奴隷がある小藩に流れ着いた。音楽好きの藩主は彼らが持参した楽器と、演奏する“音楽”に心奪われ、やがてお城はジャム・セッションの舞台になる……というストーリー。
今回新たに上演台本を書き起こし、物語の舞台を実際に神奈川県内に存在した荻野山中藩に置き換えるなど、演出の福原充則による独自のアレンジが加わる。主役の藩主・大久保教義に抜擢されたのは、千葉雄大。すでに台本には目を通したという。
「江戸時代から明治に変わる過渡期、世の中が激動している時代の話です。描かれているのは実にシンプルなことですから、お客さんも物語に入りやすいとは思いますが、どんな作品になるかはまだ想像の域を出ません。所々時代劇らしくない口調が混じったりしていますし。稽古で積み上げていくことになりますね」
雅楽で使う篳篥を(ひちりき)嗜む藩主は音楽好き。原作では、黒人たちのクラリネットに目が留まり、演奏にトライする。そうなれば当然、舞台でも演奏シーンがあるはずだ。
「あります。まだ練習はこれからですが。楽器は子供の頃に少しピアノを習っていたくらいで管楽器は初めてですね。まぁ僕は体育会系はどう頑張ってもできないので、文化系は頑張りたいと思っています(笑)」
そして藩主を支える家老を演じるのは、藤井隆。千葉にとって、憧れる人の1人だという。
「藤井さんがやっていたバラエティ番組が大好きで、ずっと観ていたんです。今までバラエティ番組でご一緒したことはありますが、作品では初めてですね。役柄が親しい設定なので凄く嬉しいですが、広報資料に“2人の軽妙な掛け合い”と、凄くハードルを上げて書かれているのを見ちゃいました(笑)。それができるように頑張りたいですね」
ダンスや歌もふんだんに盛り込まれるはずだが、まだ台本の段階ではどうなるかわからないという千葉。上演に向けての抱負を訊いた。
「コメディ作品って一見簡単そうに見えるけれど、やってみると凄く大変だったりするので、楽しみつつ、真面目に頑張りたいです。時代劇となると身構えちゃう人が多いかもしれませんが、全然そんなことはありません。肩の力を抜いて観てもらえればと思います。音楽もあるからお祭りみたいな気持ちでおいで下さい」
(取材・文:渡部晋也 撮影:立川賢一 ヘアメイク:堤 紗也香 スタイリスト:寒河江 健)
プロフィール
千葉雄大(ちば・ゆうだい)
1989年3月9日生まれ、宮城県出身。2010年、『天装戦隊ゴセイジャー』の主演に抜擢され、本格的に役者としての活動を開始。以降、CM・ドラマ・映画などに多数出演。ドラマ『いいね!光源氏くん』シリーズ、『アバランチ』、『星降る夜に』、映画『スマホを落としただけなのに』シリーズ、『ピーターラビット2 /バーナバスの誘惑』(吹替)、『もっと超越した所へ。』など。2022年、WOWOWで放送・配信された短編映画企画「アクターズ・ショート・フィルム2」に脚本・監督・主演として参加。WEB ラジオ「千葉雄大のラジオプレイ」がYouTube にて隔週金曜日配信中。
公演情報
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ジャズ大名』
日:2023年12月9日(土)~24日(日)
場:KAAT 神奈川芸術劇場〈ホール〉
料:S席8,800円 A席7,000円
※他、各種割引あり。詳細は団体HPにて(全席指定・税込)
HP:https://www.kaat.jp/d/jazz_daimyo
問:チケットかながわ tel.0570-015-415(10:00~18:00)