作曲家 トム・キットの“ロックなのに心地良い”音楽が作品を彩る 上田一豪×上口耕平が作り上げるロック・ミュージカル

作曲家 トム・キットの“ロックなのに心地良い”音楽が作品を彩る 上田一豪×上口耕平が作り上げるロック・ミュージカル

 上田一豪による劇団TipTapが贈る『High Fidelity』。2006年、『Next to Normal』の作曲家 トム・キットが音楽を手掛け、ミュージカルとしてブロードウェイで上演され、2018年に日本で初演された。好評を博した本作を、上口耕平を主演に迎え、ブラッシュアップして上演する。

 上口が演じるのは、レコード店を経営する冴えない男・ロブ。クラブのDJをやっていてちょっとだけ人気者だった頃を懐かしみ、店の経営にも身が入らない日々を送っていた。しかしある日、恋人のローラから一方的に別れを告げられたことで、恋愛も人生もうまくいかない理由を探して過去の恋愛遍歴をたどる。

 「ロブは男性なら誰しもどこかで共感できる部分がある人物だと思います。情けないところも、人に言ったら恥ずかしいようなことも平気で吐露してしまう男ですが、そこが彼の魅力でもあります」

 そんなロブを演じることについて、上口は「すごく難しい」と苦笑いを浮かべる。

 「彼は誠実でも真面目でもなく……きっと女性には共感できるところが少ない。そんなロブを魅力的に見せなくてはいけない。これまで、誰からも共感されるような分かりやすい人物を演じることが多かった僕には、ロブを演じるのは挑戦でもあります。僕自身が、“好かれよう”という概念や役者としてのエゴを捨てて、まっすぐにロブを生きることで、彼の魅力やチャームポイントが見えてくるんじゃないかなと思っています」

 上演台本と演出を手掛ける上田とは意外にも舞台でのタッグは今回が初。映像作品では上田の演出を受けたことがあるそうで、「僕から細やかな表現や感情を引き出してキャッチしてくれる」と絶大な信頼を寄せる。

 「上田さんとの稽古は、きっとクリエイティブな時間になると思うので楽しみです。この作品は、2006年に作られたものですが、日本ではあまり知られていません。今、こうして改めて上演できることをとても嬉しく思っていますし、1人でも多くの方にこの作品のファンになっていただけるように稽古に挑んでいきたいと思います」

 本作の見どころの1つはロックな音楽。

 「ただ激しいだけでなく、キュートさも感じる楽曲で、心がピタッと寄り添うような、ずっと聞いていたい曲ばかり。ロックなのに心地良いんです。きっとお客さまも、音楽から感じる心地良さを味わっていただけると思います」

(取材・文:嶋田真己 撮影:平賀正明)

プロフィール

上口耕平(うえぐち・こうへい)
1985年4月6日生まれ、和歌山県出身。2002年、ドラマ『ごくせん』で俳優デビュー。高校時代から数々のダンス・コンテストに入賞し、キレのあるダンスに定評がある。近年はミュージカルを中心にジャンルを問わず活躍中。主な出演作に、舞台『BACKBEAT』、ミュージカル『ヘアスプレー』、『ドン・ジュアン』、『RE NT 』、『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2など。

公演情報

TipTap presents ブロードウェイミュージカル『High Fidelity』

日:2023年10月26日(木)~31日(火)
場:新宿村LIVE
料:9,500円(全席指定・税込)
HP:https://tiptap.jp/
問:劇団TipTap mail:tiptap0153@gmail.com

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