全員で手を取り合って、新たな物語を作りたい！　大人気を博す『HELI-X』シリーズ第4弾始動！

　異能力者たちが近未来で展開する壮大な物語『HELI-X』。そのシリーズ第4弾が上演される。新たな迷宮で主演を務める、オシリス役の平野良とサッドネス役の星元裕月に作品への想いを聞いた。

星元「初演からやらせていただいていますが、テーマが1つではなく、膨大な量の情報があるので、どうしたらお客さまにお伝えできるかという思いも当初はあったんです。でも実際にやってみると一人ひとりのキャストがプロフェッショナルで、作品を立ち上げていくことにみんなが真摯で労を惜しまない現場なので、自分としてもとても思い入れの強い作品です」

平野「どんな作品なのか？と一言で言えば、“近未来SFアクション”になると思うのですが、脚本の毛利亘宏さんと脚色・演出の西森英行さんが『今、世界で起こっていることの縮小版にしたい』とおっしゃっていて、ジェンダーや格差社会の問題が浮き彫りになっています。オリジナルなので最初から完璧に出来上がっているというよりは、人の心を描いていく作品ですから、キャスト同士が手を取り合って作り上げてきたし、これからもそうしていくという感覚ですね」

　現在発表されているストーリーでは、サッドネスの衝撃的な場面からスタートする。この新作に、2人はどう取り組もうとしているのか。

星元「これまで描かれていなかったことが初めて明かされるなど、新展開がたくさんあります。サッドネスについては自分が日常的に感じたり考えたりしていることを、かなり脚本に取り入れてくださったので、パラレルワールドの自分という気持ちもあって」

平野「そういうサッドネスを演じているから余計にという部分もあるんだろうけど、舞台上で対峙した時、ゆづ（星元）って命の匂いが香り立つ役者さんだなといつも思う」

星元「本当に？　平野さんこそ優しくてみんなが頼りにする役者さんですよ。サッドネスとしてはオシリスにそういう感情を持ってはいけないんだけど（笑）」

平野「オシリスはまだ正体が分からない人物なので、『こういう人です』と説明するのが難しい。新作の台本の言葉遣いひとつでも、何故この言葉を使うのか、針の穴に糸を通すように、これまでとの整合性を取りつつ新たな物語を作っています。今回初めてご覧になる方にも楽しんでいただけるものにしていきたいですね」

星元「伝えたいことはハッキリしているので、ぜひ劇場にいらしてください！」

（取材・文：橘 涼香　撮影：間野真由美）

平野 良さん
「今年39歳になるので、サンキュー（39）にちなんで2月にエッセイ本を出版させていただきました。39年間で積み重なった感謝にまつわるエピソードを39篇書いた中で、色濃く浮き彫りになったのが両親への感謝です。本に書かなかったことも含めて、生まれて今この時までを振り返ると、その真ん中、原点には常に家族がいました。気になる方はぜひ検索し、手に取っていただけたら嬉しいです。という宣伝になってしまいましたが、しっかりに見えて少しお調子者で野心家な父と、おしゃべりで世話好きで温かい心の母から受け継いだものをこれからも大切にしたいと思います」

星元裕月さん
「この仕事をさせてもらえている事です。将来を約束されたお仕事ではないし、ある意味では不安定な仕事ですが、否定することなく背中を押してくれた両親に本当に感謝しています。両親にとって誇れる存在になれているかはわかりませんが、喜んでもらえるようもっと頑張りたいです」

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