“STRAYDOG”の30周年記念公演第2弾として上演される『女の子ものがたり』。西原理恵子による同名タイトルの漫画を原作にした舞台で、山崎真実が主人公の菜都美を演じる。どのような想いで舞台に臨むのか、山崎に話を聞いた。
―――脚本を読まれた感想を教えてください。
山崎「2018年に“STRAYDOG”Produceの『ぼくんち』という舞台作品に出演していたのですが、その時に別チームが『女の子ものがたり』を同時上演していたんです。
『ぼくんち』は苦しくて切ないお話だったので、私自身苦しみながら舞台に立っていて……。そんな時に観た『女の子ものがたり』は、女の子が悩んでいる現状や、変わることを恐れていることを淡々と描き、最後にはちょっと前向きになれるような作品でした。私も気持ちがあがったというか、励まされたことを覚えています。すごく好感を持っている作品です」
―――ご自身の中でも共感する部分が多いのですね。
山崎「そうですね。実はちょうど今、私は“現状維持”の状態から、1歩踏み出して環境を変えようとしているんです。そんな時にこの『女の子ものがたり』のお話をいただいて、演じる主人公の菜都美の気持ちとリンクする部分がたくさんあります。2018年に私がこの作品を観た時とは、また違う捉え方ができる気がしています。
私は石橋を叩いて渡る性格なので、この1歩を踏み出すことに正直まだ不安はあるのですが、こういう状況の中で菜都美という役をやる意味がきっとあると思うんです。稽古や本番を経て、私自身も菜都美のようにちょっと前向きになれたらいいなと思っていますね。
―――原作は西原理恵子さんの漫画作品。西原さんの作品についてはどのような印象をお持ちですか?
山崎「西原さんの作品、好きです。でも読む側のコンディションやメンタルによっては苦しくなってしまうから、読むタイミングを考えないといけないですよね。西原さんはいろいろな作品を描かれていますが、苦しいけどくすっと笑える作品が多いと思います。同じく西原さんの原作を舞台化した『ぼくんち』の時も、ご本人にお会いするタイミングがなかったので、今回はお会いできたらいいなと思ってます」
―――原作者とお会いするのは緊張しませんか?
山崎「私、意外と誰とでも仲良くなれるので、お喋りなら全然大丈夫だと思います(笑)。でも確かに公演を観てもらうとなると、ちょっと緊張するかも。作品を生み出した方なので『イメージと違う』と思われたり、『ここの解釈は違う』と言われたりするかもしれないですからね……。でも稽古を通じて、自分なりの解釈を深めて、自信を持って本番に挑みます!」
―――今回の共演者の方々の印象を教えてください。
山崎「出演が発表されている平井沙弥さんは“STRAYDOG”さんの映画でご一緒して、お会いしたことがあるんですけど、その他の方はお会いしたことがなくて……。いつもギリギリでキャスティングを知ります(笑)。それはそれで楽しみなんですよね。あまり自分の中でイメージを作らずに、芝居で向き合うことができるので」
―――初めましての方とも打ち解けられると仰っていましたが、打ち解けるために心がけていることは?
山崎「舞台はチームワークだと思っています。先輩・後輩、最低限のマナーはありますけど、立場は同等だと思うんです。芝居については遠慮なく言い合える仲になった方が絶対いい作品になると思うので、なんでも言ってもらえる先輩でありたいです。
今回も座長をやらせてもらいますが、座長も結構大変な役回りなんですよ。座長の空気感で、座組みの雰囲気も変わるので。いい作品をお客様にお届けできるよう、座長として周りを見つつ、共演者のみなさんと一致団結していきたいですね」
―――“STRAYDOG”プロデュースの公演の魅力は? 現場の雰囲気を教えてください。
山崎「“STRAYDOG”さんは体育会系ですね(笑)! 他の現場では、稽古に入る前のアップを役者それぞれのペースで行うところが多いと思うんですけど、“STRAYDOG”さんの場合は絶対にみんなでアップをするんです。いい意味で部活感があって、私にとっては、初心に返ることができる劇団ですね。
出演者の方々も若い方が多くて、フレッシュ。私は19歳からこの世界でやっているので、もうフレッシュにはなれないと思っていますが……。真っ直ぐな芝居をされる方が多いと思うので、新鮮な気持ちでそれに応えていきたいと思います」
―――山崎さんの今後の目標や夢を教えてください。
山崎「2022年の下半期からいろいろな役をやらせていただく機会に恵まれました。それまではちょっと暗い役が多かったんですが、今までやったことがないような役を経験して、自分の中でも多くの発見がありました。
『山崎真実はこういう役!』というイメージがあった方がキャスティングの時に思い出してもらいやすいとは思うんです。でも『こんな役もできるんだ』と思ってもらいたいし、役幅を広げていきたいですね」
―――最後に観劇を楽しみにされているお客様に一言お願いします!
山崎「コロナ禍になって、観劇から足が遠のいているお客様もいらっしゃると思います。でも、私は観客として劇場に行って演劇を観ると、やっぱり何かのヒントや元気をもらえることが多くて、特にこの『女の子ものがたり』という作品は、今までの現状から1歩を踏み出すという希望がある作品。ぜひ観に来てほしいなと思います。劇場でお待ちしています!」
(取材・文&撮影:五月女菜穂)
プロフィール
山崎真実(やまさき・まみ)
1985年9月20日生まれ、大阪府出身。2004年、「ミスマガジン」2004で読者特別賞を受賞し、芸能界入り。2006年、『轟轟戦隊ボウケンジャー』風のシズカ役で注目を浴び、井川遥主演のホラー『水霊 ミズチ』で映画デビュー。2008年には映画『PERSONA~ペルソナ~』で初主演を務め、アクションにも挑戦した。近作に、舞台『シェア・ザ・ワールド2020』など。
公演情報
“STRAYDOG”30th Anniversary Produce 女の子ものがたり
日:2023年3月15日(水)~19日(日)
※他、大阪公演あり
場:CBGKシブゲキ!!
料:プレミアム席[前方席・特典付]10,000円
A席 一般6,000円
高校生以下3,500円※要学生証提示
(全席指定・税込)
HP:https://www.straydog.info
問:STRAYDOG PROMOTION
mail:s-pro@straydog.info
(平日11:00~18:00)