恋も免許も手に入れたい! 教習所のドタバタ喜劇 一緒にいると楽しい。初期衝動が今も続いている公演

恋も免許も手に入れたい! 教習所のドタバタ喜劇 一緒にいると楽しい。初期衝動が今も続いている公演

 宮下貴浩と私オムによるプロデュース公演、第6回のタイトルは『わかば自動車教習所で恋を学ぶ』。赤澤燈が演じるフリーターの栗山を中心に、恋愛成就と運転免許取得をかけて奮闘する様を描く爽やかな教習所コメディだ。

私「燈くんも交えて今回やりたいことを喋っていたとき、ちょうど燈くんが教習所に通っているという話を聞いたんです。そこから今回の題材が決まりました」

宮下「今通ってることにまずびっくりしたんだよね」

私「今回も出てくれる安里くんが主役のときも、『10周年の節目にお客さんに伝えたいことは?』と本人に訊いてから脚本を書き始めていて。そうやって役者に合わせて柔軟に創作できる環境を宮下さんと作っていけるのが、このプロデュース公演のありがたいところです」

宮下「ずっとそうありたいね。1年に1回オムくんの本を演じられて、成長した姿も見せられる、僕にとってはご褒美のような場所です」

私「台本には一応ベースとなるセリフを書きますが、宮下さんとは何年も一緒にやっているので、このあたりで別なことやるだろうなって想定ができるんですよ。だからト書きには、増やすならここで増やしてくださいって示すようになりました(笑)」

 劇団員時代からの付き合いであるという宮下と私は、取材中も親しい友人同士のような息の合ったやり取りが続く。

私「そもそも僕、たまたま宮下さんと飲み屋で隣同士になって、そこからお芝居を観に行くようになったんです。宮下さんと飲んだり遊んだりしているときが楽しくて、今もその延長線。知り合いの作家さんからは『初期衝動がずっと続いているんだね』と言われましたが、確かにそうなのかもしれません」

宮下「僕と出会ったとき、オムくんはまだ本を書いてなかったからね。今もとてつもないスピードで成長している気がします。書く本全部面白いですから!」

私「今回は信頼する実力者たちが揃っているので、彼らが舞台上で会話をする、これに尽きますね。板の上で隙をついて遊び合うことが絶対に起こるだろうなと思っています。面白い喜劇を存分に楽しみにしていてください」

宮下「好きな人たちに声をかけられるこのプロデュースというやり方が、時代的にも個人的にも合ってるしいいなと思っています。今回はただただ面白い作品なので、それが楽しみです。ご来場お待ちしています!」

(取材・文:いつか床子 撮影:峰田達也(平賀スクエア))

異世界転生!? 架空の世界で生きられるならば、どんな世界に住んでみたいですか?

宮下貴浩さん
「過去・未来に行き来できる世界。徳川埋蔵金や、過去に起こったとされ、現在に都市伝説として語られているものを調べに行きたい。UFOや、宇宙人と言われる存在が、実は1000年後の未来人がこっちに来ているという説。そういった未来を見に行きたい」

私オムさん
「リセットができる世界。でもそれは私にとって架空ではない。実際に何度もリセットしている。嫌な事や頑張りきれない事に直面した時によくする。その方法を特別に。目を閉じて、頭をフル回転させて想像する。『私は鷲だ』と。羽根の色、長さ、艶。目の大きさ、嘴の硬さ尖り具合……などなどを絶対的に作り上げる。想像が完全にでき鷲になったら、とにかく高く飛ぶ。上へ上へと上昇する。下に広がる景色が、住んでいる町から東京都になり、日本となり、世界となる。本物の鷲はそこまで高く飛べないだろうけど。そして、このぐらいの高さでいいかと思った所で上昇をやめ、急降下をする。グングン落ちていく。風を切る音がうるさい。すごい速度で視界は世界から日本になり、東京都の住んでいる町になる。スピードは緩めない。むしろ加速するように体を細く縮こませる。そして、住んでいる家の前のアスファルトに体を打ちつける。そこで目を開ける。嫌な事や頑張りきれない事、ストレスがリセットされている。やろうと思う。質問に対して回答がズレていることは分かっている。ごめんなさい」

プロフィール

宮下貴浩(みやした・たかひろ)
1981年生まれ、長野県出身。2011年から2018年まで「劇団居酒屋べースボール」に所属。自身のプロデュース公演も活発に行っており、水野美紀×矢島弘一『2つの「ヒ」キゲキ』などがある。2016年、植木祥平との二人芝居『されど、』に水野美紀・高橋努らが脚本で参加し注目を集める。翌年には同作改正版『されど、もとより、あるかなた、』を東京ダイナマイト・松田大輔とのダブル主演で上演。2020年、矢島弘一との共同企画、劇団「共働き」を発足。

私オム(わたし・おむ)
1989年生まれ、大阪府出身。身近な日常からドラマを生み出し、笑いを挟み込みながら会話劇で展開する作風は、テレビ関係者からの評価も高い。2021年には、伊藤あさひ初舞台作品『五月雨』、神永学 原作舞台『怪盗探偵山猫 the stage』の脚本・演出を務め話題となる。原作がある作品、オリジナル作品と精力的に製作している。近作に、オムイズム『探求』の脚本・演出、ミュージカル『ウインドボーイズ!』の演出など。

公演情報

宮下貴浩×私オム プロデュース 第6回公演 舞台 『わかば自動車教習所で恋を学ぶ』

日:2023年3月29日(水)~4月5日(水)
場:シアターサンモール
料:8,500円(全席指定・税込)
HP:https://www.ruby-parade.com/lp/miyaomu6/
問:宮下貴浩×私オム プロデュース mail:miya.omu@gmail.com

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