2017年に初演された作品の“第二弾” 謎を解き明かすために、過去の世界へ!

2017年に初演された作品の“第二弾” 謎を解き明かすために、過去の世界へ!

 盗んだ金をすべて貧しい民に施す正義のスリ・月斗は、“来栖”という女性から奇妙な依頼を受ける。それは、十数年前から断続的に届く手紙のことを調べて欲しいというもので――。
 今回上演されるのは、2017年に初演された『クレプトキング』の“第二弾”。作・演出を務める宮城陽亮、前回に引き続き出演する平山佳延、高城元気、そして、今回が初参加となる鵜飼主水の4人に話を聞いた。


―――2017年に初演された『クレプトキング』。今回はその“続編”となるわけですか?

宮城「そうですね。続編と言えば、続編なのですが、初演から4年経っているので、初見の方でも入り込みやすい内容になるよう工夫しています」

―――ご自身が演じられる役と、脚本を読まれた感想を教えてください。

平山「前回に引き続き、月斗役です。前回は、いろいろな出会いがあって、事件が起こって、物語が進んでいきましたが、今回は過去にいくんです。過去でも新たな出会いがあったり、新しいキャラククターが出てきたり。そもそも、過去に行くって、絶対面白いじゃないですか! 個人的には、未来に行くより面白いと思います。絶対大丈夫です(笑)」

高城「前回に引き続き、レンを演じます。前回は、主人公の月斗とレンが出会う話で、レン自体が正体不明の設定で物語が進みました。今回は、前回と同じキャラなのに、同じキャラではないところが見どころになってくるかな。時期や出会い方が違うと、こんなにも変わってくるんだなぁと感じているところです。」

鵜飼「えー、僕は新キャラということで、あまり詳しく分かりません(笑)」

高城「でも要になってくる役ですよね。だって、きょう、取材を受けているんだから!(笑)」

宮城「でも、ミステリアスな役だから、あまり言えないんですけど……」

鵜飼「台本を読ませてもらったんですが、今のところ、出番が5シーンくらいあって、そのうち3シーンは仮面を被っています(笑)。楽しみにしています」

―――ちなみに鵜飼さんは、前回の作品はご覧になられたのですか?

鵜飼「それが実はまだ観られていなくて。今度、上映会があるので、そこでお客さんとして観ようと思って、我慢しています」

―――何か評判は聞いていますか?

鵜飼「盗むんですよ(笑)。その盗み方が面白くて! 物を盗む盗賊だったのに、あるアイテムを手に入れたことによって、概念をも盗めるという。概念を盗むという物語の構成が面白いなと思います。
 一度『クレプトキング』のイベントに出させていただいた時に、いろいろ勉強させてもらって。『概念を盗むって何!?』と思ったんですよね(笑)。あとはそれぞれのキャラクターが魅力的だと聞いています。今から楽しみですね」

―――平山さんと高城さんは前回も出演されていていますが、4年前の記憶はありますか? 思い出があればぜひ教えてください。

平山「正直、すごく辛かったです。宮城さんの作品は、主人公が出ずっぱりなんですよ。だから、辛かったですね。しかも、こんな僕を主演にするのもおかしいなと思うんですけど(笑)。多分これが最後だと思うので、『クレプトキング』主演なんて。遺作にするぐらいの気持ちで頑張ります」

高城「僕は、20代の頃から、宮城さんの作品に出させていただいて。あの頃の経験は、振り返るとまさに自分の中の青春の1ページというか。
 なので、宮城さんの7年ぶりの新作でもあった『クレプトキング』のお話をいただいて、また始まるんだと当時凄く胸が高鳴りましたね。
 今は、みんなそれぞれが、修行を積んで、各々のポジションでやっているんですけど、今回また4年ぶりにクレキンチームで集まれるなんて思いひとしおですよ。いつかきっと“続編”をと思っていた夢の作品です。本当に嬉しいです」

―――改めてキャストの皆さんをキャスティングされた理由を教えてください、

宮城「今回から参加してくれる(鵜飼)主水くんは、プロデューサーの推薦もあって、ぴったりな役だと思います。以前別の作品を一緒にやったことがあるのですが、役を作り込んできてくれるので、すごく楽しみ。
 あとの2人は7年前にキャスティングを終えているんですけど(笑)。月斗は自分で作ったキャラクターですが、よっち(※平山のこと)がつくってくれた月斗は、なんていうか『男はつらいよ』を彷彿とさせるんですよね。衣装がベージュということもあるんだろうけど、なんかね、そういう印象が強くて。よっちの持っている人情味というか、道端で知らない人にいきなり話しかけてしまう感じというか」

平山「それ、褒めている?(笑)」

宮城「俺はなるだけ他人には関わりたくないタイプけど、よっちは、ズカズカ行く。お節介というかね」

平山「ねぇ、褒めている?(笑)」

宮城「褒めてます(笑)。高城くんは、僕と1つしか年齢が変わらないんですけど、まぁ年を取らない。レンという役が肉体が17歳という設定なんですね。実際の17歳をキャスティングすると、やはりお芝居が不安じゃないですか。なので、レンは高城くんでというのは、最初から決めてましたね。4年経っても、まだまだ大丈夫そうです」

―――「過去に戻る」という設定は初演時から温めていたのですか?

宮城「途中からですね。今回は、主水くんが演じる“于賀谷”という役が最初に浮かびました。このキャラクターを中心に話を作ると、過去に行かざるを得なかったんですよ。
 やはり『クレプトキング』は主人公が盗人なので、対戦相手は、盗人よりも悪い奴でないといけない。前作は、人の子どもを盗んで、自分の子どもとして育て、最終的にはその子どもを殺してしまうという悪役でした。それぐらい振り切ってくれないといけない。……って、これを読み解くと、主水くんが悪役ということになっちゃうけども(笑)」

鵜飼「あはは、良い奴かもしれないですしね! 事情があるかもしれないですしね!(笑)」

―――変わった質問ですが、もしなんでも盗めるのなら、みなさんは、誰から何を盗みますか?

高城「誰から盗んでもいいなら、僕はみんなから寿命をちょっとずつ盗みたい。長生きしたいから。今回は過去に行く話で、それはそれでワクワクするんですけど、僕は未来にもワクワクしている。今のところ、僕は自分の限界以上に未来を見たいと思っているので、500歳とか1000歳とか生きたいですね(笑)」

鵜飼「僕は、よっちさんのコミュ力が欲しい。僕、引きこもっていいのなら、どこまでも引きこもれるタイプなんです。でも、最近思うんですよ。もっといろいろな人と話していれば、もっといろいろなことを勉強できただろうし、もっとお節介焼いたら、誰かのためになったことがいっぱいあるだろうなって。その後悔が少しあるので、よっちさん並みのコミュ力があったら、もっと可能性が広がったのかなと思います」

平山「難しい質問!(笑)私はですね、今回、観に来てくれるお客様のお時間を奪って……」

高城「綺麗にまとめようとしてる!(笑)」

平山「はい(笑)。お客様のお時間を奪って、池袋に来てもらえるようにしたいと思います」

―――ありがとうございます(笑)。改めて、本作の見どころと意気込みを最後にお願いします!

高城「先日台本を読ませていただいて、今回、2作目ということになるんですが、人物紹介が丁寧だなと感じました。1作目のときは、みんながうわーっと集まって、出会って、出会って、戦って、対決してという勢いを感じたんですけど、今回は一人ひとりの人となりが細かいなというのが感想でした。
 だから今回から観る人でも、意味が分からなくなることは少ないのかなと思うし、前作を観ていてくれた人は、前作よりも増して、好きなキャラクターのいいところを見てもらえるんじゃないかな。新しい人も、これまでの人も、きっと面白い! 大丈夫!」

平山「過去に行く話は、大抵エピソードゼロっぽい感じになりがちなんですけど、この作品は、全然そんな感じじゃなくて。新しいというか、次に進んでいる作品。
 だから今回から観る人は、絶対エピソード1を観たくなると思うし、1を観ていた人はより1も好きになるし、2も好きになると思う。ぜひDVDも発売されているので、予習として観ていただいて、期待大で劇場に観に来てください!」

鵜飼「僕は初めてこの作品に参加させていただくのですが、みなさんが言っている通り、主人公たちが過去のキャラクターに会いに行くのって、夢があるなと思って。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のように、今の記憶を持ったまま、過去に行くので、きっとお客様にもワクワクしていただけるんだろうなと思います。
 それから単純にスチームパンク感というか、この世界観が、厨二病の心をくすぐる(笑)。お客様がワクワクするコンテンツがいっぱい散りばめられているので、ぜひ、こんな時期だからこそ、池袋にワクワクを感じに来てくださればと思います」

宮城「前作よりも、事件や謎を追う要素が強いので、そういう作品が好きな方は楽しんでもらえると思います。また、自信を持ってお届けできる新しいキャラクターが登場します。主人公はもちろんなのですが、悪役も含めて魅力的なキャラクターがそろっているので、その辺りも楽しみにしていてください」


(取材・文&撮影:五月女菜穂)

プロフィール

平山佳延(ひらやま・よしのぶ)
1985年4月18日生まれ、神奈川県出身。
舞台を中心に多数の作品に出演。近年の出演作に朗読劇『トップスまで、あと5秒!』、秦組Vol.13『方舟』 episode 1「辺境の惑星」、ENG第12回公演『ほんとうにかくの?』、劇団6番シード第71回公演『ザ・ボイスアクター2020』 オンライン編などがある

宮城陽亮(みやぎ・ようすけ)
1979年9月9日生まれ、東京都出身。
脚本家、演出家。2001年結成の主宰劇団・DMFや、その他の団体でのプロデュース公演で多数のエンターテイメント活劇を作・演出している。また、アニメ『ギルティクラウン』の脚本、同アニメのコミカライズ版の構成や、ゲーム『戦国BASARA4&4皇』脚本、アニメ『ローリング☆ガールズ』コミカライズ版の脚本なども手掛ける。

高城元気(たかぎ・もとき)
1980年10月4日生まれ、神奈川県出身。
数多くのテレビアニメやゲームで声優として活躍し、ゲーム『刀剣乱舞』、『千銃士』、アニメ『ポケットモンスター』に出演。ラジオ『学園執事』では声の出演だけでなく、映像出演もしており、多方面で活動の幅を広げている。

鵜飼主水(うかい・もんど)
1987年10月5日生まれ、東京都出身。
18歳から小劇場でフリーで活動。現在、俳優・殺陣振付師・歌手・殺陣WS講師・演出・ナレーションなどの仕事を幅広くこなす。俳優、アーティストによるクリエイター集団「gekchap」所属、年に数回写真展やカメラWSを開催。

公演情報

DMF/ENG 提携公演 vol.6
『クレプトキング 月を見ていたかった兎』

日:2021年10月29日 (金) ~11月7日 (日) 
場:シアターグリーン BIG TREE THEATER
料:S席6,500円 A席5,500円(全席指定・税込)
HP:https://eng-age.amebaownd.com/
問:ENG-AGE mail:dear.eng.info@gmail.com

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