重力が軽い町を舞台にしたヒューマンドラマ ENGの新作舞台は「パルクール」にも挑戦!?

重力が軽い町を舞台にしたヒューマンドラマ ENGの新作舞台は「パルクール」にも挑戦!?

 佐藤修幸によるプロデュースユニットENGが贈る第14回公演は、作・演出の福地慎太郎を招いた新作。月の影響で重力が軽い町、月代町(つきしろちょう)を舞台に展開されるヒューマンドラマで、走る/跳ぶ/登るを基本とするスポーツ「パルクール」の要素も取り入れるという。
 主演の鵜飼主水、楠世蓮、松藤拓也、そして作・演出の福地に意気込みや構想を語ってもらった。(※取材は全員マスクをして実施。撮影時のみ外してもらいました)


――― 今回はどんな話になりそうですか?

福地「月の影響を強く受けていて、他より重力が軽いという町のお話です。普通の人は“錘(おもり)”をつけて生きているんですね」

楠「軽くて飛んでいっちゃうから?」

福地「飛んでくっていうか、ちょっとだけふわふわしてやりづらいから、錘をつけて生活している。思春期の尖った人たちは、その錘が鬱陶しいから、錘を外してぴょんぴょん飛び回っている。(鵜飼さんが演じる)主人公は、思春期を過ぎているんだけど、今も若者に混じってぴょんぴょん跳ねているんですね。昔は一緒に飛び回っていた奴が就職したり、いろいろその先を歩んでいるのに、主人公はいまだにあの時のまま。今思春期の人から見たら“おじさん、ちょっと痛いな”みたいな主人公像をイメージしています」

鵜飼「僕、得意ですよ。ちょっとダサいおじさん(笑)」

福地「青春から取り残されたみたいな人が主人公で、その周りの人物はそれぞれを進んでいる。世蓮ちゃんには2役やってもらおうと思てて。今を生きる人と、その街に昔いた人を演じてもらう予定なんですが、思い出とか、人と人とのつながりが描ければいいなと思っていて。ENGには他にも作家がいて、それぞれの作風があると思うんです。今回は、ダンスなどのエンタメはありつつも、ストーリーとエンタメのバランスをちょっと変えてみたいなと思っています」

鵜飼「今回はパルクールもありますもんね!」

福地「まぁ、正直、今、めっちゃ苦戦しているんですけど(笑)、ENGにとって新しい路線を生み出せたら。超派手で華やかでというのだけではないバランスを目指して頑張りたいです」

楠「楽しみ!」

――― 重力が軽いということで、みなさん跳ねるんですか?

松藤「台本のト書きに“飛んで跳ねる”とめちゃくちゃ書いてあって。“ふわふわ”とかね。ふわふわってどう表現するんですか?」

福地「……迷ってる。どうすればいいんだろう(笑)」

鵜飼「みんなで酒飲みますか(笑)」

楠「水槽、出します?(笑)」

福地「みんなアイディアをありがとう(笑)」

――― 改めて、出演が決まった時の気持ちや役について教えてください。

楠「私、ENGさんが大好きなので、今回お話いただけて、本当に嬉しいです。2役演じさせていただくということもあり、責任感を感じています。ENGさんは観る側もめちゃくちゃ体力を使いますが、やる側も体力を使う作品が多い。自分にとってもステップアップできる公演になる気がしています。しかも、何十回も着替えるよと言われていて……」

鵜飼「裏でも休む暇なし!(笑)」

楠「だから走り回って、一生懸命頑張りたいと思います! 楽しみです!」

鵜飼「ENGさんに出演させていただくのは3回目です。初めて座長というポジションをいただきました。ENGさんは、僕のお客さんからも毎回好評もらうんですよ。今回も、お客さんたちの期待を超える作品にしたいです。
 福地さんの演出をしっかりうけるのも、今回が初めて。僕は福地さんが描く、人間の心模様が好きで。この公演を通じて、役者としてもステップアップしたいですし、お客さんに今までのない景色を見せられるようにしたいです。とにかくいい座組みにしたいですね。みんな信頼できるメンバーなので、ある意味安心はしているんですけど(笑)!」

松藤「アクションをやらせていただくことが多いのですが、今回、めちゃくちゃ楽しみなのがパルクール指導があること! ただのアクションではなくて、パルクールを使ったアクションが楽しみですね。セットもきっと違うんじゃないかな。お客さんも楽しみにされている要素の一つだと思いますね」

――― 「重力」に絡めて、みなさんが最近感じる「重力」や「重圧」は?

楠「SNSが苦手になってきました。今の若い子って、TikTokをやるじゃないですか。私、マジでやり方分からなくて、そういう“重力”を感じます。ヤバイぞ、私!」

松藤「本当に“重力”で言ったら、アクションをしているときは、アクシデントが付き物じゃないですか。アクションをしながら、そのアクシデントを処理しなくてはいけないとき…….例えばバク宙しているときに滞空時間が体感で2、3秒になったりすることはあります。重力を感じないというか、スローモーションになる」

鵜飼「やばいな。超集中力じゃん」

楠「いわゆる走馬灯と同じ状況なんじゃない?」

一同「(笑)」

鵜飼「世蓮が言っていたSNSの話、めっちゃ分かる。でも今は何でもTikTokから流行るもんね」

楠「そう! でもね私の50歳の友達とかは、バリバリ使いこなしてるの!」

鵜飼・松藤・福地「50歳の友達?(笑)」

楠「YouTubeとかもやっていてすごいんですよ」

鵜飼「情報化社会だからですからね。それを知らないのは“重力”だよね(笑)」

楠「まじ重力だよね(笑)」

――― 変な質問すみません(笑)。最後に意気込みやメッセージをお願いします!

楠「コロナ禍になって2年ぐらい経ちますけど、ある人に“悩むな考えろ”と言われたんですよ。コロナ禍だからこそ、悩むのではなく、とにかく行動することが大事なんだろうなと思っています。みなさんの中にもし悩んでいる人がいるとしたら、とにかくこの舞台を観に来ていただけたら。悩み事が解消するかもしれないし、元気が出るかもしれない。みんなで一致団結して頑張りますので、ぜひ観に来てくれたら嬉しいです。元気を与えます! 観に来てください!」

福地「重力の話を書きながら、ここ何年も“だるい〜”と思わないなと思ったんですよね。若いときは“バイト、だるい〜”みたいに思っていたし。それが疲労感につながることが多かったけど、今はそのだるさがない。
 それは、取り組むことに意義を見出せているからだと思うんですよね。演劇をやること自体もそうだし、このコロナ禍だからこそ、ただ続けてもしっくりこなくなっている。何のためにやるのかというのが、より大事になっていると思うんです。
 正直、まだもがいてる段階で苦しんでいるんですけど……今後、座組のみんなが新しい気づきや彩りを加えてくれて、本番は必ず自信をもって届けられるようにしますので、ぜひ観に来てください!」

松藤「コロナ禍で大変なのは僕たちだけではなくて、全ての職業が生きている限りきついと思うんですよ。それでも“また明日も頑張ろう”と思っていただけたら。元気をもらったな、楽しかったなと思ってもらえるように、僕たちは舞台を頑張るぞ!」

鵜飼「もはやこの年齢になってきて座長をする機会が減ってくると思うんです。だから、僕はとても貴重な1回だなと思っていて。単独で真ん中に立たせてもらえる責任感を感じます。この時期にエンタメを届ける、面白いものを悩みながらつくる。エンタメには必ず人を救う力があるし、前を向いて頑張っている座組みの中で真ん中に立つ意味をしっかり受け止めながら、何よりも来てくださるお客様に今までない景色を見てもらって、新しい冒険を一緒にできたらいいですよね。
 僕にできることはそんなに多くないんですけど、縁の下の力持ちになれるように、みんなをちょっとずつ支えながらいい公演にしたいなと心から思っています。絶対成功するので、ぜひ楽しんでいただけたらなと思います!」

(取材・文&撮影:五月女菜穂)

プロフィール

鵜飼主水(うかい・もんど)
1987年10月5日生まれ、東京都出身。18歳から小劇場でフリーで活動。現在、俳優・殺陣振付師・歌手・殺陣WS講師・演出・ナレーションなどの仕事を幅広くこなす。俳優、アーティストによるクリエイター集団「gekchap」所属。年に数回写真展やカメラWSを開催。

楠 世蓮(くすのき・せれん)
1991年10月21日生まれ、大分県出身。20歳よりモデルデビュー。cutie専属モデルやさまざまな雑誌に出演。現在は舞台やドラマなど俳優としてマルチに活動中。えりオフィス所属。

松藤拓也(まつふじ・たくや)
1990年6月23日生まれ、東京都出身。舞台を中心に俳優活動を続ける。アクション・アクロバットが得意。

福地慎太郎(ふくち・しんたろう)

1980年11月18日生まれ、栃木県出身。ツツシニウム、FLIPLIP主宰。2003年にDMFに入団。作・演出作品は『ツバメの幸福』、『ニンギョヒメ』、『missinng~強がり彼氏と食べちゃう彼女』など多数。映像・舞台を問わず役者としても活躍。

公演情報

ENG 第14 回公演『ヨリソウ重力』(ENG 改定版)

日:2022年3月23日(水)~27日(日)
場:六行会ホール
料:S席6,500円 A席5,500円(全席指定・税込)
HP:https://eng-age.site/
問:株式会社ENG-AGE mail:eng.seisaku@gmail.com

Advertisement

舞台・演劇カテゴリの最新記事