人間と吸血鬼が争う時代。バトラズ王国の王女・メローラの歌には不思議な力があった。その美しい歌声は吸血鬼を弱め、騎士たちを鼓舞し、人々を勝利へと導いた。3年が経ち、国と国との戦争が起ころうとしていた。歌が歌えなくなったメローラと、先の戦争で記憶を失ったジェスタ。2人は再び平和な世界を取り戻すことができるのかーー。
そんな“超絶ファンタジー”な世界観を、歌や魔法(プロジェクションマッピング)、殺陣を盛り込みながらド派手に演出する『サルビアとWISH SONG』。脚本と演出を担当する森勇介ほか、出演する西山康平、相川なつ、沖田桃果に、見どころや意気込みを聞いた。
―――今回の『サルビアとWISH SONG』はどのようなお話になるのでしょうか?
森「“超絶ファンタジー”作品ですね。今回は特にプロジェクションマッピングが見どころで、プロジェクションマッピングありきの台本にしました。見た目からビジュアルから、とにかく派手。ストーリー自体もアニメのような、RPGのような、ファンタジー系の台本です。スタッフさんと話し合いを重ねながら、どれだけイメージを超えるものをつくれるかが勝負になってくると思います」
―――出演者の皆さまは、ご自身の役も含めて、脚本を読んだ時はどのような印象を持たれましたか?
西山「記憶を失くしたジェスタ役を演じます。最初にチラシのあらすじを読んで、『あぁ、ファンタジーなんだろうな』とは思っていたのですが、いざ台本を読んでみると、想像以上にファンタジーでした(笑)。
完成形がどうなるか、まだあまり想像できてないのですが、殺陣もプロジェクションマッピングもあって、凄くエンターテイメント性の高い作品になるんだろうなと思っております」
―――演じられるジェスタ役については、今、どう捉えていらっしゃいますか?
西山「劇中、人格が変わるような場面があるのですが、そこが演じ甲斐がありそうだなと思っています。そこで、どれだけ見せられるか、役者の力量が問われているような気がします」
―――相川さんはどうでしょうか?
相川「今回のストーリーでは、歌が軸になる部分があって。私はその歌を担当させていただいています。実は、プロジェクションマッピングをつくるにあたって、歌が必要だということで、台本をいただく前からレコーディングをしたんですよ(笑)。すごく責任重大なポジションをやらせていただきました。今まで歌と舞台と二足のわらじで活動していたのですが、今回はどちらもできる舞台。プレッシャーを感じつつ、ありがたいなと思っております」
―――強みを活かせるお役なんですね。
相川「はい。私の演じるメローラの歌が、吸血鬼たちを倒す効力があるんです。もう本当にファンタジーな世界観で……私もここまでファンタジーな作品は出たことがなくて! 今まで以上にわかりやすく伝えていけたらいいなと思っています」
―――沖田さんはどうでしょうか?
沖田「ギネヴィア役を演じます。一番最初に森さんからオファーをいただいたときに『すごく強い役をお願いしたい』と言われていて。『どれぐらい強いんだろう?』とワクワクしながら台本を待っていたら、“王国の剣”と言われるほど強い役でした。私は見た目が貧弱なので、上手くお芝居でカバーできたらいいなと思います(笑)。
作品としては、アニメを観ているようなポップな作品。暗い世の中になってしまっているんですけれど、作品を観たら、楽しく元気がみなぎる作品になるんだろうなと思います」
―――パフォーマンス プラス ピエロについても教えてください。どんなコンセプトの団体なのですか?
森「魅力的なのに、まだ世の中にあまり知られていないパフォーマンスを知ってもらうために、結成しました。今回が3回目の本公演となります。
今回については、プロジェクションマッピングを使った表現のほか、歌や殺陣も見どころになっています。直接ライブで歌を聴いたことがない方、直接演劇を観たことがない方、殺陣やアクションを直接観たことがない方に楽しんでもらえると思います。
もちろん、そういうものをすでに知っている方々も、そこにプロジェクションマッピングが混ざることによって、また違った表現を体感してもらえると思います。そこが一番の“売り”ですね」
―――何でもありというわけですね!
森「そうですね。『何にでもなれる』という意味で、ピエロという名前をつけました」
―――森さんは、西山さん、相川さん、沖田さんのそれぞれどういう点に注目されて、出演をオファーされたのですか?
森「今回のヒロインは、歌が歌えることが必須でした。色々とご紹介していただいたのですが、その中で大人の女性のイメージで、力強い歌声を持った相川さんにオファーをさせていただきました。
西山さんに関しては、過去にご一緒したことがあって……」
西川「僕、その時はめちゃくちゃふざける役だったんですよ(笑)。なぜあの芝居を観て、今回のようなシリアスな役に抜擢しようと思ったのか……(笑)」
森「確かにふざけた役だったんですけど(笑)、お話してみると、しっかりと考えていらっしゃる方だなと思ったんです。崩すところは崩しつつ、締めるところは締めつつ、裏表をはっきりと出せるタイプだなと思って、今回お声がけさせていただきました。あとは単純に、僕自身が西山さんの人柄が好きです(笑)
沖田さんは、うちの団体に出てもらうのは2回目。前回は可愛らしい妹のキャラクターを演じてくださったのですが、今回はガラッと色を変えてもらいます。プライベートで話してると、芯の強さを感じる時があるので、今回はそういう強さを出していってほしいなと。読み合わせ時点で、もう完璧でしたね!」
―――それを受けて、出演者の皆さまには、パフォーマンス プラス ピエロの魅力や、どんな稽古場になりそうだなという展望をお聞きしたいです」
西山「僕は初めて出演するんですけど、超エンターテインメント作品なので、初めて演劇を観るような人でも、肩肘張らずに観られる作品になる予感がします。稽古場は、楽しくて、やかましくなりそうですよ(笑)」
相川「私も初めて参加しますし、ほぼ全員が初めましてなんです。人見知りなので、仲良くできるか不安だったのですが、顔合わせから楽しくて! 森さんと演出助手の込山巧さんが、コントをしているのかなというぐらい、絶妙なボケとツッコミをしていて(笑)。きっと稽古期間も、和気藹々と、楽しくやれるのではないかなと思っています」
沖田「私はありがたいことに2回目の出演です。私の印象としては、演出の森さんが私たち役者がやりたいことを全部受け止めて、包み込んでくれるなと思っています。役者それぞれの良い部分をどうしたら引き出せるかを考えてくださるんですよね。本当に自由に、和気藹々とみんなで笑顔でいられる稽古場です。今から凄く楽しみです」
―――最後に観客の皆様へメッセージをお願いします!
沖田「舞台に出る者としては、やはり生で観ていただきたいです。今は、配信でも演劇を気軽に観られて、それはそれで凄く素晴らしいことだとは思うのですが、こういう世の中でも、勇気を持って劇場に遊びに来ていただいたら。
演者の熱や空気感、今回であればプロジェクションマッピングといった派手な演出。それらは生が一番伝わりやすいと思うんです。感染対策はしっかりしていて、安心して観ていただけますので、ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います。
演劇、プロジェクションマッピング、歌、殺陣。すべてが融合されて、グッと心に残る作品になると思うので、楽しみにしていただければと思います」
相川「私自身プロジェクションマッピングを使った舞台に出演するのは初めてです。どういった形になるのか、まだちょっと想像ができてないのですが、生で観ていただいた方が、心に残る気がします。
やはりファンタジー作品なので、今までにないような役どころの方が結構いらっしゃって。私は、沖田さんが演じるギネヴィアが一番好き。普段の沖田さんを知ってる方は、きっとびっくりされるんじゃないかな。そういう各々のキャラクター感も楽しんでいただけたら嬉しいなと思います」
西山「今回はアクションが凄く多いので、アクションが見どころになるように、練習をしっかりして、頑張ろうと思います。
コロナでちょっと気分が沈みがちになりそうな時期ではあるのですが、僕自身、劇場に行って思うのは、ストーリーはもちろん、役者さん一人ひとりが生き生きしている姿を見られるだけで、元気をもらえるんですよね。明日から自分も頑張ろうと思える。そういう意味で、一人ひとりが生き生きと輝いていける舞台にできたらいいなと思いますし、それを伝えられるようにしたいなと思います」
森「今回の作品は、歌×魔法(プロジェクションマッピング)×殺陣が見どころです。ラストシーンにはこれら全てが全部同時に合わさります。なかなかない組み合わせだと思うので、ぜひ皆さんに初体験してほしいですね。
観終わった後に『凄かった』という言葉が出てくるようなものを作りたいです。歌も、プロジェクションマッピングも、殺陣も、芝居も、魅力が伝わるような作品にできればいいなと思っているので、ぜひ楽しみにしていてください!」
(取材・文&撮影:五月女菜穂)
プロフィール
森 勇介(もり・ゆうすけ)
1987年5月7日生まれ、奈良県出身。
2015年「★☆北区AKT STAGE」に入団し、つかこうへい作品を中心に舞台出演。2017年に劇団を離れ、舞台を中心に、映像、声優で活躍。2019年に企画団体として「劇団ピエロ」(後に「パフォーマンス プラス ピエロ」と改名)を結成し、脚本と演出を担当。2020年、劇団EXPO2020 優秀脚本賞受賞。好きな食べ物は、ラーメンと焼き鳥。
西山康平(にしやま・こうへい)
1985年6月24日生まれ、香川県出身。
様々なジャンルのパフォーマンスに挑戦。大河ドラマを経験し、最近の出演作には、オンラインリアル脱出ゲーム『封鎖された魔王城からの脱出』、新幹線YAMAHA広告『ネツエン』、某巨大テーマパークショーMC、舞台『MOTHER ~特攻の母、鳥濱トメ物語~』など。最近はサウナとウーパールーパーの飼育にハマっている。
相川なつ(あいかわ・なつ)
8月31日生まれ、東京都出身。
ミスアキバ2019グランプリ受賞。ゲームソングシンガー、役者、声優として活動中。PCゲームの主題歌、挿入歌を多数歌唱。PS4、Nintendo Switch、Steam対応『コットンリブート!』ナレーション・公式コスプレイヤー。ライブ、舞台の活動をしながらボイストレーニングスクールで講師もしている。最近の癒しは、ウサギを愛でること。
沖田桃果(おきた・ももか)
1992年5月7日生まれ、神奈川県出身。
舞台を中心に活動中。主な出演歴は、ドラマ『CHEAT〜詐欺師の皆さん、ご注意ください〜』、舞台 LEGEND STAGE『SHUNPU Gaiden~春風外伝~』、舞台feather stage『THE END OF 通勤急行大爆破』など。趣味はリングフィット(役作りもかねて!)。
公演情報
パフォーマンス プラス ピエロ 第三回本公演『サルビアとWISH SONG』
日:2021年10月20日 (水) ~24日 (日)
場:d-倉庫
料:通常公演4,500円
イベント公演:3,000円
(全席自由・税込)
HP:https://troupe-pierrot.amebaownd.com/
問:パフォーマンス プラス ピエロ
tel. 070-8571-5536