石丸さち子× 東映で届ける、濃密にして豊かな会話劇 観る人それぞれに繋がるような“ひりひりする”物語

石丸さち子× 東映で届ける、濃密にして豊かな会話劇 観る人それぞれに繋がるような“ひりひりする”物語

 石丸さち子による完全オリジナル作品『ひりひりとひとり』が遂に上演。主演の鈴木勝吾は企画の始動にも絡んでいるだけに公演への想いはひとしおだ。

 「石丸さんとの出会いは16年の舞台『Color of Life』。お互いの作品を観ては『一緒に作品を作りたいね』と話していました。単に声が掛かるのを待つのではなく自ら動こうと決意し、東映の中村プロデューサーにご相談。企画実現に向けて動き出しました。2020 年の上演中止を経てようやく初演できるのは嬉しいですし、この約2年の月日も、回り回って良かったのではないかと思っています」

 鈴木が演じる春男は、役者として評価され始めていた。そんな折、憎んでいた父が孤独死したという知らせが届く。

 「役は僕への当て書きというわけではないのですが、石丸さんと2人であれこれ話している時、そこで僕から出る言葉や僕から感じ取ったりしたものを、石丸さんがプロットに落とし込んでいったという感じです。台本の段階からこんな風に俳優が関わる機会は少ないですが、作品をみんなで作っている手応えを感じられて楽しいですし、単に演じるだけでなく、他にもできるものがないと……という想いもあるので、新しい挑戦ができてありがたいです。春男の思考回路は僕にとっては理解し易く共感できるところも多いなという印象。共演者の方々と稽古する中で新しく見えてくるものもあると思っています」

 鈴木にとって、石丸さち子とはどのような存在なのだろう。

 「僕は親しくなると垣根がなくなるタイプで、石丸さんは性別を超えた尊敬する友達のような感覚です。情熱と愛情に溢れていて、いつでも一緒に何かを作りたい人ですし、僕自身も石丸さんにとってそんな存在でありたいと思わせてくれます。仲が良いからこそ、純粋にプレイヤーと作・演出家として向き合うというのは怖いところもあります(笑)。石丸さんの熱に負けないように、頑張らないと!」

 それぞれが“ひりひり”とした想いを抱え、自分と向き合うドラマ。森大輔の豊かな音楽が物語世界を支える。

 「作品が徐々にカタチになっていく際に、関わるキャストやスタッフの心がふわっと温かく、熱くなる瞬間がくればいいなと思っています。時勢に翻弄されていますが、本番でお客様の熱や拍手など反応をいただいたりすると『この作品は届けなくてはいけないものだった』と思えて心を支えられています」

(取材・文:木下千寿 撮影:間野真由美)

「突然ですが、急遽一週間の休暇が取れることになりました。どこへ行っても、何をしても自由だとしたら……どのように過ごしますか?」

「大切な仲間と旅行へ。韓国や沖縄。それぞれ、日常を忘れマッコリやチャミスル、買い物を楽しんだり馬鹿騒ぎしたり、海を眺めて南の空気を味わいながらのんびりしたいなぁ。
 あとはもし、もっと少ない人数なら、1人か2人でクロアチアへ行きたいです。以前10日ほど行かせて頂いたことがあって、その時が楽しく素晴らしい思い出になっているので、また足を運びたい。生ハム、チーズ、ワイン、トリュフ、海、沈む夕陽、青の洞窟。路地を闊歩する野良猫たち、雰囲気のある街並み。風土や文化、食べ物、風がとても心地良いものでした。
 そして異国の地で感じる、誰でもない自分。あの感覚は定期的に味わいたい。そう思います。」

プロフィール

鈴木勝吾(すずき・しょうご)
1989年2月4日生まれ、神奈川県出身。2009年『侍戦隊シンケンジャー』で俳優デビュー。2014年、ミュージカル『薄桜鬼』風間千景篇で舞台初主演。以後、様々なミュージカルや演劇作品に出演、多彩な活躍を見せている。主な出演作は、演劇の毛利さん–The Entertainment Theater vol.0 音楽劇『星の飛行士』、ミュージカル『憂国のモリアーティ』シリーズ、ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』、『Color of Life』など。8月20日よりミュージカル『ドロシー〜オズの魔法使い〜』に出演。

公演情報

S-IST Stage ひりひりとひとり

日:2022年6月10日(金)~19日(日)
場:よみうり大手町ホール
料:8,800円(全席指定・税込)
HP:https://www.s-ist-stage.com/
問:『ひりひりとひとり』公演お問い合わせ窓口
  mail:hirihiritohitori@gmail.com

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