8年ぶりの新メンバーお披露目公演! 6C春の大感謝祭。ルービックキューブのような色とりどりお祭り演劇祭をご堪能あれ!

8年ぶりの新メンバーお披露目公演! 6C春の大感謝祭。ルービックキューブのような色とりどりお祭り演劇祭をご堪能あれ!

 計算された言葉の掛け合い・パワフルで疾走感あふれる展開のハイスピードコメディを主軸に数多くの作品を輩出してきた29年目の劇団6番シード。2022年春公演は、ミステリー、ヒューマンドラマ、ラブコメ、時代劇など、まるでルービックキューブのような多彩なお祭り公演となる。
 8年ぶりとなる新メンバーを加えた6Cが果たしてどのような化学反応が生まれるのか!? 注目の新入団、オオダイラ隆生と高宗歩未の2人に加え、代表で脚本・演出を手掛ける松本陽一に公演への意気込みを聞いた。

もう一度劇場ならではの楽しさを

――2022年第一弾公演となる春公演は新作を含めた7演目です。新メンバーのお披露目も含めてにぎやかな公演になりそうですね。

松本「春の大感謝祭と新メンバーのお披露目も兼ねた春公演ですが、2人が入ることが決まる前から、今度の春は元気よくお祭りみたいな感じでやりたいなと話していました。コロナ禍3年目に入ってまだまだ演劇界も厳しい閉塞感の中で、劇場から足が遠のいてしまったお客さんも多いと思うので、そういう方々にもう一度戻ってきてもらって、一緒に楽しいことをやりたいという意味で、ルービックキューブの多彩な面のように、色んなテイストの作品を織り交ぜようと企画しました。
 本当だったら劇場で縁日のように流しそうめんをしたいところですが(笑)、春でもありますし、気持ちだけでもにぎやかな公演にしたいですね。6番シードはずっとメンバーが変わらなかったのですが、今回は演出部を入れると3人の新メンバーが加わったので、新生6番シードを楽しみにしてもらいたいです」

二人とも実力は折り紙つき

――新加入は8年ぶりと伺いました。松本さんから見たお二人の印象をお聞かせください。

松本「オオダイラ君は多面性があり、カメレオン俳優のイメージですね。すごく優しい男から殺人犯まで振り幅があり、ちょっとしたくせ者の面白さがあります。一方、高宗さんはオールラウンダーですね。サッカーでいうと、どこのポジションをこなせるユーティリティープレーヤーと言いましょうか。うちの劇団は個性が強い連中ばかりなので、そのユーティリティーを生かしながらエッジの効いた女優さんになってくれたらと思います。ご存じの方もいるとは思いますが、2人共以前に客演として出演してもらっているので、その実力は折り紙つきです」

本気でアタオカ集団だと……

――おふたりはなぜ6番シードさんへの加入を?

オオダイラ「1年半ぐらい前に『ザ・ボイスアクター』に客演として出させて頂いた時に、これまでやってきたものとは全く違う役をやらせてもらい、それがとても新鮮でした。同じ日に2作同時公演という離れ技を目の当たりにして、ここの劇団さんはすごいなと。お祭りみたいな感覚はもちろん、作品によってテイストもかなり変わりますが、ものすごい台詞量とハイスピードな展開などは唯一無二だと感じました。劇団一丸となって、どーんと打ち上げ花火を打ち上げるぞ!というのでしょうか。全員が同じ方向を向いて全力疾走する感覚の中にいるのがすごく楽しくて。
 前回公演の『ボイルド・シュリンプ&クラブ』では1話完結型の短編のお芝居を計4本上演する“一気公演”だったので、この人達、完全にアタマおかしいと思いましたが(笑)、一方で自分もそういう刺激を楽しんでいました。入団の一番の理由としては、『ボイスアクター』と『ボイルド・シュリンプ&クラブ』で与えられた役が全く違ったので、松本さんの中で僕はどんな役者に見えているのか知りたいと思ったことでしょうか。あとは自分のポンコツな部分も含めてお見せしていた上で、松本さんを信頼していることが大きかったと思います」

高宗「もともと松本さんとの出会いが犀の穴プロデュースのオムニバス作品『最後の1フィート』でした。その時に二人芝居をやらせてもらったのですが、えげつない台詞量と実力が問われる舞台構成で、すごく鍛えさせてもらいました。それからまたご一緒したいなと思っていたときに6番シードの本公演で『未来切符~ミライとカコの6つの物語〜』に出させてもらう機会がありました。メンバーの皆さんとは初めてでしたが、いい意味で“アタオカ”というか(笑)、職人集団という印象がすごく強くて。そこから松本さんの作品だけでなく、6Cの熱烈なファンになっていたので、今自分がこうしてメンバーの1人として中に入っているのがまだ実感わかないですね。
 でも入ったからには新しい風を吹かせたいという気持ちもありますが、それ以上に足をひっぱらないように頑張らないといけないなと思います!」

新しい変化をもたらしたい!

――今回はオオダイラさんが『浪人街の左利き』、高宗さんが『天気と戦う女』でそれぞれ6番シード初主演となります。
オオダイラ「この作品は浪人街でくすぶる三人の素浪人を描く、グズグズの時代劇コメディです。僕は“左利きの浪人”ということで、ひとまずお正月ぐらいから左手を使うことから始めています(笑)。
 共演する小沢(和之)さんと樋口(靖洋)さんの怪演っぷりや、その存在感に圧倒されて初っ端からこのお二人と!?というたじろぎもありましたが、これまで6番シードが創ってきた世界観に僕ら新メンバーが入ることで、何か新しい変化をもたらしたい!という強い気持ちもあるので、楽しみながら頑張りたいです。
 お客様に『毎公演、新しい変化があるね』と感じて頂きたいと思いますし、それが劇団としても良い刺激になればなと思っています。今回、僕と高宗さんは主演作だけでなく、他の作品でもそれぞれ違う役を演じるので、色んな面を見せていければと思います」

高宗「『天気と戦う女』は6C看板女優の椎名亜音さんが主演を務めて過去5度上演されてきた人気作です。その主演をお披露目公演の私が務めさせて頂くわけですから、プレッシャーが無いと言ったらウソですよね。今は果たして私が出来るのだろうかという不安しかありません。
 ファンの方からも『あの作品はヤバいよ』とか、椎名さんからも『芝居以上に衣装の早替えが大変』とも聞いているので、もうドキドキです。でもそんな大事なポジションを頂いたのでもうやるしない!と腹をくくっています。入団前には松本さんから『良い意味でもっとわがままな女優になって欲しい』と言われたんですね。ですので、主演としてきちんと自分の色と新しい一面を出していきたいなと思います」

全員でバトルし続けたい

――8年間新メンバーをとらなかったのに理由はありますか?また客演の時と劇団員となった今では接し方も変わりますか?

松本「基本的には新メンバーは入れないというスタンスでした。そうすると入りたいという人もいなくなって。73回も公演やっていると勝手に敷居が高くなっているんでしょうか、誰も寄り付かなくなりました(笑)でも去年ぐらいからは、そろそろ入ってもいいんだよという空気感を出し始めました。客演の方との雑談中に『良かったらうち入る?』ってジャブ打ったりして(笑)そういうジャブあったでしょ?」

高宗「そういえば……ありましたね!」

松本「コロナ禍が明けたらという未来を見据えた上でそろそろ新しい人を入れて新しい風を吹かせようぜというのがあったのかもしれませんね。今いるメンバーもかなり長いですが、ずっとお互いにバトルし続けたいと思いがあって、作家である僕と俳優である劇団員がお互い刺激的であり続ける難しさと面白さ。そういう関係性でいたいと2人には伝えました。互いに切磋琢磨が必要になりますし、そういう意味ではこれから少し見方も厳しくなるのかなと思っています」

――“新生6番シード”としての門出を飾る歴史的な公演になりそうですね。最後に皆さんから読者の方にメッセージをお願いします。

松本「全7演目、新旧の劇団員、そしてゲスト出演者を含めた色々なぶつかり合いや掛け算がいくつもできる機会なので、僕も非常に楽しみにしています。お客さんも是非、その色んな掛け合わせを楽しんでもらえたらなと。そして新メンバーの2人には是非、バトルして欲しいですね。後輩だからと遠慮せずに、従来のメンバーをつぶしてやろうぐらいの意気込みできて欲しいです。
 あと、さすがに『流しそうめん』はできませんが、終演後にトークイベントなどのお芝居プラスαの要素を入れることができればと考えています」

オオダイラ「劇団に入って初の公演、勝負するという気持ちでいます。素敵なゲストの方々もいらっしゃるので、皆様には色んなカラーや個性が集まったこの公演を是非、お祭りのような気持ちで楽しんでもらえたらなと思います。是非、ご期待ください!」

高宗「松本さん始め、6Cの皆さんは8年ぶりの新メンバーをそれなりの覚悟を持って迎え入れてくれたと思いますし、私達も新しい風を吹かせてやるぞという強い気持ちを持って入ってきました。皆様にも楽しんで頂けるように全力でバトルしていきます!劇場で皆様のお越しをお待ちしております」

(取材・文&撮影:小笠原大介)

プロフィール

松本陽一(まつもと・よういち)
1974年9月18日生まれ、広島県出身。 脚本家、演出家、劇作家。劇団6番シード代表。スピード感あふれるノンストップコメディを中心に、これまで50作品以上の脚本・演出を担当する傍ら、映像作品の脚本を手掛けるほか、数多くの演劇ワークショップを開催。舞台『独房のルージュ』池袋演劇祭豊島区長賞受賞。映画『Deep logic』、『夜明けの記憶』、『パニック4rooms』など。

高宗歩未(たかむね・あゆみ)
1993年6月10日生まれ、東京都出身。2002年デビュー。2021年1月より劇団6番シード所属。主な出演作品は大河ドラマ『風林火山』、『ウルトラんメビウス』、金冠堂「キンカン ダンス篇」CF、ミュージカル『忍たま乱太郎』、舞台『DIABOLIK LOVERS』など。その他、モンスターハンター公式ファンクラブ『モンハン部』マネージャーや2016年まで声優ガールズユニット『Trefle』、『ガーデンパレス木更津』イメージキャラクターとして活躍中。

オオダイラ隆生(おおだいら・たかゆき)
1984年7月23日生まれ、千葉県出身。慶應義塾大学文学部卒。就職活動をするものの辞退し、俳優として活動し始める。舞台を中心に活動し、「マイナビ2010」webCM、「資生堂UNOフォグバー ヘアモデル」、「静鉄不動産」CMなど広告等にも出演。劇団6番シード作品には2020年の『ボイスアクター』から連続で出演し、2022年1月より劇団6番シードに所属。新劇団員として活動開始。

公演情報

劇団6番シード 第73回公演
『CUBE』~6番シード春の大感謝祭・新劇団員お披露目公演~

日:2022年5月19日(木)~29日(日)
場:シアターKASSAI
料:6,500円 一気公演11,000円(全席指定・税込)
HP:http://www.6banceed.com/
問:6番シード mail:web@6banceed.com

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