至近距離で火花を散らす極限の心理サスペンス 二人芝居『フェイス FACE / FAITH』稽古場レポート 和央ようか×矢柴俊博のコメントもUP

7月31日より早稲田小劇場どらま館にて上演される『フェイス FACE / FAITH』より、「和央ようか(瀬尾一樹役)×矢柴俊博(小和田悟志役)」による組み合わせの衣装付き通し稽古の模様と通し稽古後コメントをお届けする。


稽古場に入ると、まずステージと客席との距離の近さに驚く。おそらく手を伸ばせば舞台セットが触れるぐらいの距離だ。早稲田小劇場どらま館の客席はわずか「90」。しかも四方を客席に囲まれたセンター舞台。通し稽古では、スタッフが最前列に座っていたが、まるで2人の一部始終を見守る目撃者として、舞台セットの一部に溶け込んでいるようだった。

物語は、精神科医の小和田悟志がかつての患者・瀬尾一樹を訪れるところから始まる。
悟志が訪ねてきた理由は、最愛の妻が失踪した事件解決のために、一樹のある“力”を借りるため。禁忌ともいえる一樹にしかできない方法に、この方法を使うべきなのかと葛藤する悟志に、一樹は悟志の願いを受け入れる。そして対話が進むにつれて、事態は思わぬ方向へ転じる。

序盤こそ静かに進むが、ある瞬間を境に一樹の動向が一変する。多面的な感情をむき出しにする一樹を、和央が身体全体でダイナミックに表現していく。対する矢柴は、秘密を抱えた悟志の微細な表情の変化と圧倒的な存在感でステージを掌握する。詳しいことはネタバレになってしまうが、2人の表情の“変化”はぜひ注目していただきたい。
また西森の演出に応えるべく、2人が新しいアイデアを次々と投入すると、西森は満足げに頷く姿が印象的だった。

最初から最後まで緊張感に包まれ、二人の俳優が火花を散らす熱演を至近距離で味わえる至極の二人芝居といえよう。

通し稽古後のnoteでは、西森から「細かいところはこれから稽古で修正しますが、全体的には良かった」と現時点での合格点を出していたが、和央と矢柴の表情からは、安堵よりも「まだまだ高みがある」という渇望が滲んでいたように見えた。ここから徐々にブラッシュアップして、どれだけ高い完成度で本番を迎えるか。そして物語はハッピーエンドとなるのか、バッドエンドとなるのか、是非至近距離のステージで確かめて欲しい。

『フェイス FACE / FAITH』は、早稲田大学が所有する劇場「早稲田小劇場どらま館」を舞台に、「かつてこの劇場で研鑽を積んだ早稲田大学出身の俳優・脚本演出家」と、「現在、映像・舞台・伝統芸能など各分野の第一線で活躍するプロフェッショナルの俳優」、そして「学生・研究者・地域関係者」が手を組み、創作に取り組むプロジェクトの記念すべき第1弾。早稲田大学出身で、学生時代にどらま館での上演経験もある、脚本家・演出家の西森英行が手掛け、対話劇の密度と緊張感が多くのファンの心をつかみ、2017年の初演以降、様々な形で上演をし続けている二人芝居による心理サスペンス。

本公演とリーディング公演の2パターン実施され、歌舞伎俳優の尾上松緑、元宝塚歌劇団宙組トップスターの和央ようか、数多くの2.5次元作品に出演する平野良、劇団少年社中の川本裕之、早稲田大学劇団森出身の矢柴俊博、リーディング公演からは、落語家の柳家三三、歌舞伎俳優の市川中車と中村壱太郎、タップダンサーのSARO、グランドミュージカルに多数出演する大音智海といった様々なジャンルのスペシャリストが出演。また和央、平野、矢柴はリーディング公演にも出演し、早稲田大学出身の俳優・大高洋夫がリーディング公演の演出を西森とともに担当する。

和央ようか×矢柴俊博 通し稽古後コメント

――通し稽古を終えての感想をお願いします。

矢柴「僕は反省しかないですね。普通の通し稽古だと、ある程度流れが想定できることがあるけど、このお芝居の場合は、お客さんが入るまで何が起きるか想定できないので『通しをやった』というよりは、『ただ通しをした』というのが実感ですね」

和央「集中しながら通し稽古に挑みましたが、集中し過ぎてしまって終盤の方でちょっとセリフが飛んでしまって……。でもいい勉強になったので、この時点で通して良かったと思っていて。これからも恥ずかしがらず、稽古を重ねていきたいと思っています」

矢柴「今回の作品は、悟志よりも一樹の方が圧倒的に負担が大きいんですよね。ただ僕も悟志と一樹の両方を演じるので、正直人ごとじゃないんです(苦笑)」

――和央さんは二人芝居が初めてと伺いました。

和央「はい。しかもこんなにも狭いステージで演じるのも初めてですし、セリフ量も今までで最も多いと思います」

――矢柴さんは早稲田大学の演劇サークル出身ということで、「早稲田小劇場どらま館」で演じることについて、現時点でどのような心境ですか。

矢柴「昔一緒に小劇場でやっていた仲間がスタッフとして参加してくれて、でもやっていることは全く新しいことに挑戦しているので、懐かしいような、新しいような、そんな気持ちですね」

――今回お二方とも、本公演とリーディング公演の両方に出演されます。

矢柴「リーディング公演の演出が大高(洋夫)さんですけど、リーディングなのに椅子が一つしかないんです。だから片方はずっと動いているみたいな、きっと「ネオ・リーディング」を目指しているんだと思うので、落ち着いてゆっくり座って朗読できるかなと思っていたんですけど、そんな甘い演出じゃなかったですね」

和央「私自身リーディングも初めてで、なんだかもう全てが初体験という状態ですけど、これからお稽古を経て、本番までには仕上げていきたいです」

――本作は学生さんの方が多く観劇されると思います。特に若いお客さんに向けて、見どころや注目ポイントを挙げていただけますか。

和央「今はChatGPTやAIなど、何でも便利に素敵なものが手に入る時代ですけど、でもこうやって生の人間が汗水垂らしてやっているからこその“感じられるもの”というのはあるかなと思っていて。なので、便利な時代に生きていらっしゃる若い人こそ、生身の人間だからこそ感じられるものを楽しんでいただけたらいいなと思います」

矢柴「生で演劇を体感して楽しんで欲しいですね。僕もまさかこんなにお客さんとステージの間が狭いと思わなくて、演者はすごいハードル高くなっていますけど、お客さんも反対側で演者を間近で観ているから、どちらも集中力が必要な舞台になります。きっとすごい体験ができると思います」

――最後に公演を楽しみにされている方に向けて、メッセージをお願いします。

和央「稽古をしながら『何で今、これやっているんだろう』と思うことがあるんですけど、台本を読んだ時にすごく面白いと思ったからで、私が面白いと思ったあの感覚を、ご覧になった方が最後に『面白いもの観たな』と思って帰っていただけたらいいなと夢見てます」

矢柴「演者にとって、かなり難易度の高いお芝居です。ぜひ私たちの苦しんでいる姿を楽しんでください(笑)」

(文・写真:冨岡弘行) 

公演概要

『フェイス FACE / FAITH』

公演期間:2026年7月31日(金)~8月9日(日)
会場:早稲田小劇場どらま館(東京都新宿区戸塚町1-101-3)

■スタッフ
脚本・演出:西森英行
演出:大高洋夫(8月5日19:30~リーディング公演のみ)

■出演
尾上松緑 和央ようか 平野良 川本裕之 矢柴俊博
柳家三三 市川中車 中村壱太郎 SARO 大音智海 三坂知絵子(声の出演)
※公演日により出演者が異なります。詳細は公式サイトをご確認ください。

■チケット料金
本公演 一般9,800円 25歳以下5,800円
オープンキャンパス期間 一般9,800円 高校生2,500円
リーディング公演7,800円
※25歳以下・高校生は要身分証明書提示
(全席自由・整理番号付・税込)

■問い合わせ:フェイス実行委員会 mail:facefaith2026@gmail.com

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