【ゲネプロレポート】壮大な物語の序章を感じる「時空の観測者~過去と未来を繋ぐ者達~パラレル編」開幕

【ゲネプロレポート】壮大な物語の序章を感じる「時空の観測者~過去と未来を繋ぐ者達~パラレル編」開幕

 舞台『時空の観測者〜過去と未来を繋ぐ者達〜パラレル編』が7月13日(土)から大塚の萬劇場で開幕した。これに先駆けて12日夜に行われたゲネプロの様子をリポート。本作は2つのエンディングが用意されており、この日のエンディングは逆巻舞(一本鎗希華)バージョンのエンディングだった。主催は芸能事務所のFresh Star Entertainment。劇作品は2作目になる。

 観劇後の感想はタイトルに「パラレル編」とあるように、壮大な物語のほんの序章であるかのような印象を受けた。漫画で言えば連載第一回目、次を読みたくなるかどうかの勝負の一作だ。その意味ではバッチリ。魅力的な登場人物たちのその後を観てみたくなるような一作だった。後半のアクションシーンもかっこいい。

 物語は17 歳の逆巻舞(一本鎗希華)が両親を殺害した犯人を探すために異能力者が集まる学校「私立英明学園」に転校生として侵入することから始まる。逆巻舞の両親は学者で時空研究の第一人者だった。
 明るくて元気だが特に「異能力」はない舞。対して、異能力者のクラスメイトは個性的。感情を見せないクールな優等生だが、何かを内に秘めている藍原瑠衣(大宮すずか)や、植物と話せる森本三喜(尾島穂香)、硬いものを粘土化する能力を持つギャルの二葉心(志水もえの)、もはや人間ではない人口知能搭載人型戦車002通称ニコ(ようか)までいる。賑やかな9人のクラスメイトに熱血教師の五里先生(厚見祐介)とセクシーな女スナイパー風の綾小路先生(春野恵)が絡み、アクションものとしても面白くなりそうな気配が、この時点からもう漂ってくる。

 異能力者とそれ以外の非異能力者は、対立構造にあるのか学園には戦闘訓練もある。異能力者は、それぞれ特殊能力を持っているのにも関わらず、社会の中での生きづらさを抱えているようだ。その折り合いをつけるために英明学院では戦闘以外に勉強にも力を入れている。

 さらに未来の時空管理局員、カミラ(葉島りのあ)とイリーヤ(真衣)が、逆巻舞の動向を監視する。その上官に冷徹なイッシキ(溝渕智都)がいるが、彼女も舞には特別な感情を抱えているようだ。

 舞が犯人探しのため学園の理事長を訪ねると、そこにいたのは、あろうことか死んだはずの父親、坂巻緋鋭(三枝聖)だった。父親は舞が生まれてすぐに亡くなっているので、一緒に過ごした記憶はない。父親との再会に素直に喜ぶ舞。
なぜ殺されたはずなのにここにいるのか、母親がどうなったかの説明はない。

 再会した後は、頻繁に父親の研究室を訪ね時空研究の手伝いをする舞。父と舞の間でどんな会話が交わされたのか、時空を研究することで何かわかったことがあるのかは描かれていない。次作で描かれることはあるのだろうか。謎は深まった。

 舞が学園に来たことによって、少しずつ人間の心を学習していくニコ、優等生としての振る舞いを解いていく藍原瑠衣、感情をあらわにする今関ハル(星美優)など同級生も内面を見せていく。そして、それぞれの過去も明らかになっていく。

 そんな中、理事長は舞の父親ではないという衝撃の事実を告げる瑠衣。それどころか「理事長こそが舞の両親を殺した犯人であり、時空征服を企んでいる」と主張する。舞はショックを受けるが、にわかには受け入れることができない。

 正体がばれ、逆巻緋鋭でなくメメザワだと名乗る理事長。ここからは学園上げての戦闘シーンが開始される。剣が交わる激しいアクションシーンも見所だ。特に逆巻緋鋭・メメザワ役の三枝聖の身体能力には目を見張る。舞の感情もこの時点で爆発し、今までの怒りや寂しさもぶちまけられる。

 さらに舞の身体に隠された重大な秘密もここであきらかになる。時空を超えたパラレルワールドに存在するという舞。果たして、ここにいる舞はこの世界でどんな役割を持っているのだろうか。異能力はないけれど「豪運」いう運の強さを自称する舞。その明るさや突破力で道を切り開くことができるのか。

 エンディングはこの舞バージョンと、瑠衣にフォーカスを当てた瑠衣バージョンがある。それぞれの公演回はスケジュールに記載があるので、気になった人はどちらも観てみることをおすすめしたい。上演時間約80分。
(取材・文・撮影/新井鏡子)

公演概要

「時空の観測者~過去と未来を繋ぐ者達~パラレル編」
<主催>Fresh Star Entertainment
2024年7月13日(土)~21日(日)
<会場>萬劇場(よろずげきじょう)

<公演スケジュール>
7月
13日(土)14:00 18:00  ※どちらも舞END
14日(日)14:00 18:00 ※どちらも舞END
15日(月)18:00 ※瑠衣END
16日(火)14:00
17日(水) 休演日
18日(木) 18:00 ※瑠衣END
19日(金)14:00 ※瑠衣END 18:00 ※舞END
20日(土)14:00 ※舞END 18:00 ※瑠衣END
21日(日)14:00 ※舞END
(ロビー開場・受付開始・グッズ販売開始は開演60分前、客席開場は45分前)

<CAST>
一本鎗希華

大宮すずか

佐野旺二朗
嶋崎美都輝
尾島穂香
志水もえの
仁科ありさ
袖垣里菜
星美優
ようか
厚見祐介
春野恵
三枝聖
薮内明

葉鳥りのあ
真衣
溝渕智都

<チケット>
前方2列V I P席(特典グッズ付き)/9000円
一般席/6000円
学生席/3500円

<アクセス情報>
萬劇場(よろずげきじょう)
豊島区北大塚2-32-22
JR山手線大塚駅北口下車 徒歩4分
都電荒川線巣鴨新田駅下車 徒歩3分

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