ダンスエンターテイメント演劇『PASSION ― 北斎の描く夢 ―』に出演!大貫勇輔、柚希礼音、KELOインタビュー!

ダンスエンターテイメント演劇『PASSION ― 北斎の描く夢 ―』に出演!大貫勇輔、柚希礼音、KELOインタビュー!

世界を魅了し続ける絵師・葛飾北斎を、歴史上の偉人として描くのではなく、描くこと、創ることに生涯を捧げたその狂気と紙一重の情熱を、ダンス × 演劇 × 音楽という新たなパフォーマンスで表現するダンスエンターテイメント演劇『PASSION ― 北斎の描く夢 ―』が、10月22日~11月3日横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールで上演される。

絵師として様々な偉業を成し遂げながら、決して満足することなくどんな状況に陥っても描き続けた、北斎の情熱、その尽きることのない創造への衝動――“PASSION”に迫った舞台で、北斎の生涯を体現する大貫勇輔、北斎を突き動かす情熱や理想を表出する柚希礼音、そして、世間や常識、現実の価値観を担うKELO。それぞれのフィールドで第一線を走り続ける三人の表現者が、この奇跡のコラボレーションへの期待と、意気込みを語ってくれた。

──ダンス×演劇×音楽、という非常に新しい舞台ですが、はじめて企画を聞かれた時のお気持ちから教えてください。

大貫「まず葛飾北斎の人生をダンス×演劇×音楽でって、いったいどういうものが生まれるんだろう、本当に新しいものができるんじゃないかという期待が大きくありました。更にキャストを伺ったら、(柚希とKELOを示して)このお二人と一緒にということで、本当にワクワクして。実際にビジュアル撮影の時に、これは必ず面白いものができるだろう、と確信しました。
 僕は葛飾北斎を演じますが、北斎の人生って奇想天外で知れば知るほどすごいんですよ。例えばのちの漫画の始まり、起源になるものを描いていたり、たくさんの名前で描き分けていたり、おそらく最も有名な代表作『富嶽三十六景』は、晩年の作品で、しかも最後にはもうほぼ目も見えなくなっていて、それでも娘に支えられて絵を描き続けていた。そんな生涯をかけて絵に生きた人物を自分が演じることができる喜びと、興奮と、感謝を感じています」

柚希「私もダンス、パフォーマンスで表現する作品ということで、本当に嬉しい機会だなと思いました。やはりミュージカル作品が多いので、もちろんそれも大好きですが、踊りから表現の世界に入った人間としては、踊りで表現する場をいただけることはやはりとても嬉しいことなので。しかも、このお二人とご一緒にできるということで、どんな化学反応が生まれるのか。お稽古をしながらも刺激を受けて、どんどん高みを目指していけるんじゃないかなと思っております。
 大貫さんがいまおっしゃってくださいましたが、私も葛飾北斎を調べていたら、死ぬまでどんどん高みを目指していかれた方で『天があと五年命をくれたなら、本当の絵師になれたのに』と言いながら息を引き取ったと知って。本当にいつまでも、自分はまだまだだと思いながら描き続け、『富嶽三十六景』を生んでももっと上をと思って描き続けた方だ、というのが芸事をやっている私たちにもすごく通じるものがあるなと思っています。
 私は北斎の“情熱”の部分を演じさせていただくので、北斎が抱き続けた情熱を研究しながら、それを体で表現していくことを楽しみにやっていきたいと思っております」

KELO「僕は普段ダンスのみで表現することが多い世界にいるので、こうして演技も、歌も加わる舞台が人生で初めてなんです。ですから、非常に楽しみですし、勉強させてもらいながら、自分もこの作品に対して何かを加え、与えられたらいいなと、誠心誠意取り組んでいきたいと思っています」

──いまお話してくださった葛飾北斎について、以前に持たれていたイメージはどんなものでしたか?

大貫「やっぱり葛飾北斎と言われて一番に浮かぶのは、波と富士山の絵でした。ただ、たまたまご縁があって、ずいぶん前に『葛飾北斎展』に行かせていただいたことがあるのですが、その時に、この人はいったい生涯で何枚絵を描いたんだろうと圧倒されたくらい、とんでもない量の絵を描いているんですよね。生きることが描くことで、描くことが生きることだったんだな、描くことと生活が分離していなかった人なんだろうと感じました」

柚希「北斎と言えば世界中の方が知っている偉大な画家の方、というイメージだったんです。でもこの作品のオファーをいただいて調べていくうちに、こんなにも後世に残る画家さんとは思えないような苦労をしていて、葛藤して、たくさんの挫折もされている方で。
 浮世絵から始めたけれども、ライバルが多すぎるということで、風景画に行ってみたり、自ら海に入って波を描いてみたりと、様々な表現を模索して生み出していった方だということにすごく感動します。一つひとつが簡単にできたものではないはずなのに、先ほども言いましたが、どこまで行っても自分に満足しなかったというところに、偉大な画家の方という以上に、いまは身近なシンパシーを感じることができています」

KELO「北斎さんのイメージは日本の象徴とも言える偉大な芸術家だということでした。その上で、死ぬまで自分の飽くなき表現を追求した人でもあると思うので、そういう精神を受け継いで今回の舞台に立って、触れさせていただくので、本番を迎えても公演が終わるまで毎日毎日高みに向けて、どんどん内容をブラッシュアップしていくという姿勢を持って、最後の瞬間まで走り抜きたいと思っています。いま決まっているのは日本での公演ですが、このステージがゆくゆく世界へと発展していけるように、そういう志をもって取り組みたいです」

──まだお稽古がはじまる前と伺っていますが(※取材時点)、いまの段階で作品や役柄について思うこと、目指したいことを教えてください。

大貫「先ほどお話したように北斎を演じますが、北斎の絵に対する情熱には、自分のなかで共通するものを感じるんですよね。
 僕も十代の頃にダンスに夢中になった時期があって、その時は電車乗っている時にも足を1番(※クラシックバレエの起点となるポジション。1番は両足を外側に180度開いて、両膝と内腿を密着させてまっすぐに立つこと)にしてずっと立っていたのをはじめ、道を歩きながら、人を避けながらも、舞うように動くなど、生きることと踊りがずっと一緒だった、ちょっと偏執的なくらいの(笑)時期が僕にもあったんですよね。だから僕も北斎に対してすごくシンパシーを感じますし、自分にリンクする部分を十二分に使って表現できたらいいなと思います」

柚希「私は『北斎の“情熱”を演じます』と申し上げましたが、実際に台本には“北斎の情熱と理想”と書かれているんです。両者をどう表現するのかは、これからのお稽古中に振付・演出のKAORIaliveさん、共同演出の元吉庸泰さんをはじめとしたスタッフの方々や、キャストのお二人と相談しながらやっていくことになると思います。北斎はとにかく描くことに情熱を燃やした方だと感じているんです。お掃除なんて全くせずに家中汚くしてもとにかく描いて、描いて、描いて、どうしようもなくなったら引っ越すとか(笑)。しかも『これを描いてくれ』と言われるのはいやで、生涯自分の描きたいものだけを描いていた、という人。その人を突き動かしていく情熱というところをどう表現していけるのかがとても楽しみです」

大貫「ちえさん(柚希の愛称)に出会った時に、太陽のような人だなと思ったので、そのちえさんの“情熱”がどんなものになるのか、本当に楽しみです!」

柚希「わぁ嬉しい、ありがとうございます!」

大貫「現状では台本のどこの部分を実際に台詞で話して、どこをダンスや歌で表現するのか、の詳細が決まっていないので、稽古で相当変わってくるとは思っています。ただ、いまのところの台本上だけの話で言うと、北斎の台詞量がとんでもないんですよ! もしこれを全部喋るとなったら、大変なことだぞと僕は怖い気持ちでいっぱいなんですけど、でも僕の表現者としてのはじまりはダンスで、ダンサーとしてスタートしましたが、いまでは色々なお芝居もやらせていただいていて、そこで培った経験を今回の役柄に活かしていけるんじゃないかと思うんです。北斎をこういう新しい舞台で演じるいまこそ、ダンスと芝居をフィクスさせていく作業ができるんじゃないかと。
 ですから、本当に踊り続けてきてよかったですし、芝居に挑み続けてきてよかったなと思えるし、このタイミングで作品に出会えたことを、僕はある種の運命のように感じているので、ダンサー一筋の方にも、俳優一筋の方にもできない、この経歴の僕にしかできない北斎を、全人生を賭けて創っていきたい、パッションを持って挑みたいなと思っています」

KELO「僕自身の役割は“世間や常識、現実の価値観”と解説されているのですが、結構抽象的と言うか、いまの段階では北斎さんの内面というか、ちょっとおどろおどろしいイメージも抱いているんですね。ですからやはり稽古を重ねていくうちに、いまこの場ではどういう存在でいるべきなのか、何が欲しいのか?ということを、演出家と皆さんと話し合って具現化していくことになると思っています。
 そういう段階なのでいまのところは、自分のなかでこれを絶対に表現したいというものを敢えて持たずに、日々稽古をしていく過程でLIVEのように形成されていくものなのだろうなと感じています。もちろん北斎さんの生い立ちなどの情報はしっかりと入れつつ、自分のダンス観というか世界観も入れて、全く新しいものを生み出したいなとは思っています」

──フォトセッションで「ダンスの感じで」というオーダーに合わせて、お三方が即興で様々なポーズを繰り出されるのに感動しましたが、そんな皆さんがダンスをはじめたきっかけと、ここまで踊り続けてこられたダンスの魅力をどう感じているかを教えてください。

大貫「僕は母親が神奈川の相模原でいまもダンススタジオをやっているのですが、当時はほかにも色々なところで教えていて、僕はまだ小さかったので、いつもあちこちのダンススタジオについて行っていたんですね。そんなある日大磯のスタジオから帰る道すがら、海岸沿いを車で走っている時に海を見ながら突然『明日からダンスをやろう!』と思ったんです」

柚希「何歳の時ですか?」

大貫「7歳でした。大げさに言うと後部座席に座っていた僕に、海から『踊りなさい』と語りかけられたような感覚でした。そこからダンスを始め、中学生に入ったぐらいから自分のなかで、言葉にならない感情が渦巻いてきた時に、踊りがそれを浄化して、昇華してくれたという感覚を覚えて。だから僕は本当にダンスに人生を救われたと思っていますし、ダンスがなかったらいまの僕はいないと思っています」

柚希「私は子供の頃からピアノをはじめ、いくつもの習い事をさせてもらったものの、どれもひと月も続かないで辞めてしまっていたんですね。でも隣の家の子がバレエをやっているのを見て、すごくやってみたいと思ったんです。ただ、それまでの習い事が全部そんな状態だったので『あなたはすぐに辞めてしまうから1年待ちなさい。1年経ってもまだやりたかったら習いなさい』と親から言われたんです。でもその間もずっとバレエをやりたい、やりたいと思い続け、1年経ってもやりたかったので、9歳の時にやっと習うことが出来て。そうしたらバレエだけはレッスンもものすごく好きで、すぐに辞めるどころか『私はバレリーナになるんだ』と意気込んでいったんです。ただ、あまりにもどんどん背が伸びて、もう組んで踊る男性がいないという状態になってしまって。それでも『海外に行こう、海外にならもっと背の高い男性バレエダンサーさんがいらっしゃる!』と海外に目を向けていたんですけど、それでも更に背が伸びて、いくら海外を目指したとしても、バレリーナとしてはどうなんだろうということで家族会議が行われて『宝塚を受けなさい』となっていって。
 それまで宝塚を観たこともなかったので『宝塚?バレリーナじゃなくて!?』と最初は思ったんですけど、バレエをやっていた時には高身長や肩幅の広さがコンプレックスで、なんとかして身を縮めてやっていたものが、宝塚の男役に出会ったことで何もかもが活きて、長所になったんです。しかも大好きなバレエだけでなく、タップ、日舞、モダンダンスなど、色々なジャンルの踊りが学べて、私はバレエだけが好きなのではなくて、踊ることが好きだったんだと知ることができて。更に、芝居や歌にも取り組むことによって踊りはただテクニックだけではなくて、心で表現をするんだということも宝塚で学びました。
 そんな私がいま、この『PASSION ― 北斎の描く夢 ―』に出会えて、まさしくこれまで培ったものがすべて活かせるんだなと、なんて幸せなんだろうと思っています。そもそもダンスをずっと続けてきたのはなかなかゴールが出ないからで、芸事はすべてそうですけれど、これでオッケーだというものが来ないことが最高なんだなと思っているので、そこがすごく北斎の生き様と通じているなと思います。いつまでもこれで達成できた、と思えないからずっと踊り続けています」

KELO「僕は中学二年生ぐらいの時にちょっと学校でいろいろあって不登校になった時期があったんです。その時期にゲームをやったり、お菓子を食べたりしていたなかで、四つ上の兄貴が元々ダンス部に所属していたので、ビデオテープを貸してくれて。そのダンス映像を見た時に、ダンスを始めたいと強く思ったんです。そこでまず家のなかで、ひたすらその映像を真似てダンスをはじめ、気づいたら今ここにいる、という感じなんですよね。正直、将来ダンサーになろう、ダンサーを職業にしたいというような志があったわけでもなく、ただひたすら毎日無我夢中で踊っていた、というのが実際で、ただただ、踊りたいという初期衝動を感じた当時の僕が、いまの僕をここに連れてきてくれたんだと思います。自分でも周りが見えなくなるくらいダンスに熱中したので、その情熱がすべてかなと思います」

──そんなお三方が揃って生まれる新たなステージをとても楽しみにしています。では最後に大貫さんからメッセージをお願いします。

大貫 「さっき言おうかなと思ったのですが、もし宝塚に入られていなくて、バレエの道に進まれていても必ずすごい成果をあげられただろうなと思っているちえさんと、僕が大尊敬しているダンサーのお一人のKELOさんと、三人でこの新しいダンス×演劇×音楽によるパフォーマンス『PASSION ― 北斎の描く夢 ―』を創れることを大変幸せに思っています。
 スタッフの方々、そしてこの三人でどんなパフォーマンスができるのか、その化学反応に注目していただきたいですし、特に今回の上演が横浜赤レンガ倉庫ということで、お客様との距離も近いですから、きっと体験型、体感型の、お客様も一緒にこの舞台の中にいるようなステージになると思います。僕自身もとても楽しみですし、その新しい体験を皆さんと共にできたら最高だなと思っているので、是非足をお運びください。お待ちしています!」

(取材・文/橘涼香 撮影/渡部孝弘)

<プロフィール>
大貫勇輔(おおぬき・ゆうすけ)
7歳よりダンスを始め、バレエ・ジャズ・ストリート・アクロバット・コンテンポラリーなどジャンルを超えて踊りこなすダンサー・俳優。2011年に『ロミオ&ジュリエット』にてミュージカルデビュー。近年の主な出演舞台作品に『マチルダ』、『ハリー・ポッターと呪いの子』、『天保十二年のシェイクスピア』、『アメリカン・サイコ』などがある。

柚希礼音(ゆずき・れおん)
宝塚歌劇団で1999年に初舞台後、2009年に星組トップスターとなる。第30回松尾芸能賞新人賞、第65回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、第37回菊田一夫演劇賞演劇賞を受賞。主な主演舞台に『ロミオとジュリエット』、『オーシャンズ11』、『眠らない男・ナポレオン ―愛と栄光の涯(はて)にー』 などがある。
2014年には日本武道館での単独コンサートも実現するなど、宝塚歌劇100周年を支えるトップスターとして活躍。2015年に宝塚歌劇団を退団後、活躍の場を広げている。

KELO(けろ)
NYアポロシアター・アマチュアナイトにて年間チャンピオンを獲得し、地上波TV「ダンス甲子園」では2連覇を達成。ダンサーとして世界一周し、各国のストリートでパフォーマンスを行うなど、国内外で幅広く活躍。TV番組「ポンキッキーズ」へのレギュラー出演や、yoshiokubo × Rakuten Fashion Weekのオープニング&エンディングパフォーマンスなど、シーンを超えた表現を続けている。

公演概要

ダンスエンターテイメント演劇『PASSION ― 北斎の描く夢 ―』

期間:2026年10月22日 (木) 〜 2026年11月3日 (火・祝)
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール

<大阪公演>
期間:2026年11月7日(土)~8日(日)
会場:サンケイホール ブリーゼ

■出演
大貫勇輔、柚希礼音、KELO

■スタッフ
脚本:藤井清美
音楽:森 大輔
振付・演出:KAORIalive
共同演出:元吉庸泰

■チケット料金
全席指定:11,500円(税込)

ダンス × 演劇 × 音楽
“創ることに取り憑かれた人間”ー葛飾北斎。
その狂気と情熱が、いま舞台に解き放たれる。


【Story】
なぜ、そこまで描き続けたのか。名声のためか。金のためか。後世に名を残すためか。
そう問われるたび、葛飾北斎は答える。「そんなこと、俺に聞かれたってわからねぇ」
幼い頃から、ただ人とは違うものが見えていた。
蝶の羽ばたき。波のうねり。人の心の揺らぎ。
世界のすべてが、彼には描くべきものだった。
破門。貧困。病。幾度もの挫折。
それでも北斎は筆を置かなかった。
常識に抗い、限界を超え、約90年の生涯をかけて“まだ見ぬ景色”を追い続けた一人の男。
これは、世界的絵師・葛飾北斎の物語であり、同時に、誰の胸の中にもある消すことのできない情熱の物語。
ダンスと言葉、音楽で描く、圧倒的な創造の旅が始まる。

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