連続対談企画⑱『“演劇”のある生活』[9月放送分](BS松竹東急プロデューサー・湯浅敦士×カンフェティ編集長・吉田祥二)

第18回 無料放送局『BS松竹東急』 9月の演劇ラインナップをご紹介!

 BS松竹東急は、映画・歌舞伎・一般演劇などのエンターテインメントを通じて人々に感動を届けてきた松竹グループと、渋谷をはじめとした街づくりによって、人々の豊かな暮らしの基盤を構築してきた東急グループがコラボレーションして、昨年3月26日に開局した放送局。編成コンセプトに、『誰もが楽しめて親しみやすい歌舞伎や劇場文化』を掲げている。
 また演劇以外にも、映画・オリジナルドラマなど、あらゆるジャンルの番組を編成し放送する無料総合編成チャンネルとして、上質感やワクワク感をお届けするという……、なんとも謎に包まれた放送局である。
 この企画では、かねてより親交のあったBS松竹東急の湯浅プロデューサーを迎え、カンフェティ編集長の吉田とともにBS松竹東急のラインナップを紹介しながら、ざっくばらんと各々が思う演劇について月いちペースで語っていく、そういう対談企画である。

※過去回は下記リンク先にて公開中!

(第1回)4月のラインナップ
(第2回)5月のラインナップ
(第3回)6月のラインナップ
(第4回)7月のラインナップ
(第5回)8月のラインナップ
(第6回)9月のラインナップ
(第7回)10月のラインナップ
(第8回)11月のラインナップ
(第9回)12月のラインナップ
(第10回)1月のラインナップ
(第11回)2月のラインナップ
(第12回)3月のラインナップ
(第13回)4月のラインナップ
(第14回)5月のラインナップ
(第15回)6月のラインナップ
(第16回)7月のラインナップ
(第17回)8月のラインナップ

9月のラインナップはこちら!

日曜ゴールデンシアター
9月3日(日)夜6時30分~  『シラノ・ド・ベルジュラック』
9月10日(日)夜6時55分~  『間違いの喜劇』
9月17日(日)夜6時30分~ 歌舞伎『双蝶々曲輪日記 角力場』『勧進帳』
9月24日(日)夜6時30分~ 伊東四朗一座・熱海五郎一座 合同公演
              喜劇『日本映画頂上決戦』~銀幕の掟をぶっとばせ!~

湯浅「先日、東京高円寺阿波おどり、ありがとうございました!」

吉田「立派なブースが南口にあって驚きました」

湯浅「なんかふらっと現れましたね(笑)」

吉田「はい(笑)」

湯浅「お祭りに行くことはあっても出店する側になることはあまりない経験なので、素直に楽しかったです!」

吉田「本当賑わっていて、高円寺の夏を感じました!」

湯浅「さて、それでは夏も去りつつある9月のラインナップです」

吉田「本当、早いですね」

湯浅「3日は、3ヶ月連続ブロードウェイの第2弾! 『シラノ・ド・ベルジュラック』です」

吉田「これは有名な作品ですよね!
 シラノ・ド・ベルジュラックは17世紀に実在したフランスの剣豪作家で、同名を主人公にしたこの作品は19世紀末に初上演、それから100年以上世界各国で演じ継がれた傑作が、2007年にニューヨークのブロードウェイで上演されました。今回放送されるのはその作品ですよね」

9月3日(日)夜6時30分~
『シラノ・ド・ベルジュラック』

湯浅「日本でも多くの俳優によって演じられている作品なので、名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。内容は本当に切ない恋物語となっています。
 フランス軍隊に所属し、繊細な詩を綴り、人生観・世界観を多いに語り、剣術の達人であるシラノは、気が強く美しいロクサーヌに恋心を抱いているのですが、自分の見た目に自信が持てず告白する事が出来ない。愛を恐れるシラノがただひたすらに切ないです」

吉田「『屋根の上のヴァイオリン弾き』などでも有名な奇才 デヴィッド・ルヴォーが演出を務め、アカデミー賞・トニー賞W受賞のケヴィン・クライン主演、ジェニファー・ガーナー共演で贈る、フランスを代表する悲喜劇。ファンの間でも伝説中の伝説となった演目、ぜひご覧ください!」

湯浅「そして、10日は小栗旬さん主演で贈る『間違いの喜劇』です。蜷川幸雄さん演出による、オールメールシリーズです」

吉田「蜷川幸雄さんはこちらでも何度かご紹介してきましたが、“世界のニナガワ”と評された演劇界の巨匠ですよね。台詞には一切手は加えず、独創性あふれる演出で魅せる演出法で、古典から現代劇まで幅広く手がけ、 藤原竜也さんなど多くの一流俳優も生み出しました。
 なかでも『蜷川シェイクピア』とも呼ばれるこのシーメールシリーズは、すべての役を男性俳優が演じる人気シリーズです」

湯浅「終盤には、小栗旬さんの兄弟も出演されていて、立ち振舞もそっくりなので、ぜひそのあたりもチェックしてみてはどうでしょうか」

9月10日(日) 夜6時55分~
『間違いの喜劇』

吉田「17日は、歌舞伎ですね」

湯浅「9月は『双蝶々曲輪日記 角力場』『勧進帳』の2作品です。『双蝶々曲輪日記 角力場』は、『ふたつちょうちょうくるわにっき すもうば』と読みます」

9月17日(日)夜6時30分~
 歌舞伎『双蝶々曲輪日記 角力場』『勧進帳』

吉田「『角力場』で『すもうば』って読むんですね!」

湯浅「なかなか読めないですよね。『すもう』とあるように、お相撲さんが登場する作品で、とても見やすい作品になっています。『勧進帳』は、演目名を聞いたことある方が多いのではないでしょうか?」

吉田「勧進帳というと、いわゆる“十八番”ですね。
 十八番とは、江戸歌舞伎の代表的な家系『成田屋』の初代~4代目市川團十郎が得意としたお家芸18作品をまとめたもので、7代目市川團十郎によって1832年(天保3年)に定められたそうです。
 得意なことをよく『十八番(おはこ)』と言いますが、この歌舞伎十八番が言葉の由来です」

湯浅「『勧進帳』は、歌舞伎随一の人気演目でして、小学生の頃の学校の授業で……確か国語の授業だったと思うんですが、生徒で義経と弁慶で打擲の名場面を再現してみようというのをした記憶があります。おそらくですが、国語の教科書にも掲載されていたのかもしれませんね」

吉田「たしかにテレビ番組などでパロディでは色々見た記憶がありますが、本家本元は観たことがない人も多いと思います。この機会にぜひご覧いただきたいですね」

湯浅「同じく、毎月1作品お送りしている伊東四朗一座・熱海五郎一座セレクションですが、24日は、喜劇『日本映画頂上決戦』~銀幕の掟をぶっとばせ!~をお送りします」

9月24日(日)夜6時30分~ 
伊東四朗一座・熱海五郎一座
合同公演
喜劇『日本映画頂上決戦』
~銀幕の掟をぶっとばせ!~

吉田「タイトルからするに、映画がテーマなのでしょうか?」

湯浅「そうです、映画が国民の最大の娯楽であった1950年代を舞台に繰り広げられるドタバタ喜劇です。ゲストには小林幸子さんが出演されています」

吉田「大御所ですね!」

湯浅「そして、小林幸子さんといえば……というような展開も待っているやもというところが見どころのひとつでもあります」

吉田「◯◯ですか!」

湯浅「おお! さてどうでしょうか……是非、その目でご確認ください!」

吉田「気になります……!」

湯浅「さて、フリートークですが……。最近、いかがお過ごしですか?」

吉田「最近のおすすめは『ぽけふぇす』です。中野のポケットスクエアで、4つの小劇場を会場に14劇団が集結して行われている演劇フェスティバルです。
 カンフェティでは、3団体を各1回ずつ観劇できるチケット(ぽけぱす)を絶賛販売中です。9/18までやっていますので、ぜひ中野へ!」

湯浅「参加されている劇団がいずれも実力派ですよね。こうして新しい演劇フェスができるのは、大変ワクワクします。カンフェティさんは後援で参加されていますよね?」

吉田「はい。いつもは単独で公演を行う事が多い劇団にとっては、こういったフェスティバルに参加することで、多くの刺激を得られると思うので、観客にとっても劇団にとっても貴重な場だと思いますね」

湯浅「あと演劇を学ぶ学校が増えているような気がします」

吉田「わかります! 私の周りでも、これまでになかった新しいワークショップや養成所を始めようとする動きが各所でありますね」

湯浅「過去にこの対談企画で、元第三舞台で放送作家の伊藤さんがいらっしゃった際にもおっしゃっていましたが、いわゆる小劇場ブームが過ぎて、入ってくるお金を劇団が処理しきれなくなり、演劇界隈の企業が立ち上がっている、というのがこれまでなのだとしたら、次は『育てる』目線での動きが強まってきているんですかね」

吉田「ちょうどこれから演劇を志そうとする10代後半~20代前後にコロナ禍を体験した若者たちは、特に将来への不安を大きく感じていると思います。昔のように学生劇団が盛んだった時代も過ぎた今、新しい才能を育む場作りは、これからの舞台業界のためにも重要ですね」

湯浅「いずれにしても、時代ごとに演劇の在り様は変わることはそういうものですし、そういうふうにある意味で『時代の変化に合わせて変容することについて懐が深い』のが演劇なのだとも思うので、これからどんな演劇が生まれてくるのか、楽しみですね」

吉田「そうですね。最近、演劇をやっている学生と話す機会が多いのですが、みんな『演劇の魅力・素晴らしさを知っている人がまだまだ少ない。広めていきたい』と目を輝かせて、力強い口調で話してくれるんです。そんな彼らを見ていると、演劇界の未来は明るいんだ!と逆に勇気をもらえて、まだまだ自分も頑張らなければ、と気合を入れ直す日々です」

プロフィール

湯浅敦士(ゆあさ・あつし)
日本大学芸術学部演劇学科卒。他局を経て、2021年にBS松竹東急に入社。
BS松竹東急の演劇編成、週末ミライシアターなどのプロデューサーを担当。
プライベートでも舞台の脚本を手掛けるなど、演劇を愛する気持ちに満ちている。

吉田祥二(よしだしょうじ)
シアター情報誌[カンフェティ]編集長。早稲田大学第一文学部卒。在学中に劇団を旗揚げし、以来約10年に渡って同劇団の主宰・脚本家・演出家を務める。2004年に「エンタテインメントを、もっと身近なものに。」を理念に掲げ、ロングランプランニング株式会社を起業。趣味は登山(縦走)。

【放送局】 BS松竹東急(BS260ch/総合編成無料放送)

【局公式Twitter】 @BS260_official

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