泉鏡花の世界をダンス化 『天守物語』世界初演! 人ならざる者を踊り、魑魅魍魎の世界を描き出す

 大和シティー・バレエ/ダンスが、今年8月『天守物語』を世界初演。泉鏡花の名戯曲をもとに、笠浦静花脚本、竹内春美演出・振付、前田清実が総合演出を手がける注目作だ。

 本島美和扮するヒロインの富姫と、古尾谷莉奈扮する亀姫は人ならざる妖しの者。ドビュッシーで踊る2人のデュエットは本作の見所の1つとなっている。

本島「富姫と亀姫は妖怪で、2人は姉妹でもなく、ある種独特の関係性がある。人ならざる者の空気感を持ちつつ、亀姫との間に何か妖しさ、1つ踏み込んだものを出せたらと思っていて」

古尾谷「デュエットは長い上に、音も難しい。それに美和さんと距離が近いんですよね。向き合って踊っていると、うわ、綺麗!って思っちゃいます(笑)」

 世界観を構築するには、役作りも重要となる。人ならざる者をどう演じていくのだろう。

本島「昔はスタニスラフスキー・システムを用いていたこともありましたが、最近は慣れてきたので、その空間や人間の関係性は自然と出てくるようになって。あとは互いの目を見て、肌を感じて受け取れるものがあるので、そこから積み上げていく。そうしておいて、たまにばっさり削っちゃうことも(笑)」

古尾谷「私自身は人間じゃない役の方がやりやすい気がします。以前『宗達』で美和さんと同じ役を踊った時、役の理解の仕方を教えていただき、そこから考え方が変わったことがありました。亀姫は妖怪ということで、動きに人間らしくないところがあるはず。とにかく踊り込んで、妖怪として違和感のないところまでいけたらと。踊りや身体の動かし方で役を見つけていく感じで、今探している最中です」

 富姫はダブルキャストで、ハンブルクバレエ団の石崎双葉が出演、さらに富姫と恋に落ちる図書之助は中川賢、キーパーソンの近江之丞桃六に武元賀寿子と、実力派キャストが集い魑魅魍魎の世界を描いていく。

古尾谷「目指しているのは、見たことのない、初めて見る姿になること。妖怪ワールドをしっかり見せられたらと思います」

本島「ドビュッシーの音楽からも妖精や妖怪を感じるし、温度感に人ならざるものが出てくればいいですね。見せ方で説明するというよりは、泉鏡花の空気感を伝えるのが重要だと思っていて。手の動き1つにしても、温度感がないような、何か違う質感だったりする感じ。それは言葉がなくても通じると思うし、そうしたものをお届けできたらと思います」

(取材・文:小野寺悦子 撮影:立川賢一)

プロフィール

本島美和(もとじま・みわ
豊川美惠子エコール・ド・バレエ、橘バレヱ学校を経て、2001年、新国立劇場バレエ研修所第1期生となる。2003年、研修所を修了、新国立劇場バレエ団 契約ソリストとして入団。2005年、『カルメン』(石井潤振付)で主役に抜擢。以後、数多くの作品で主演し古典から新作まで幅広いレパートリーを持つ。2011年、新国立劇場バレエ団 プリンシパルに昇格。2022年、新国立劇場バレエ団を退団。同年、新国立劇場バレエ研修所 主任講師補に就任。現在、新国立劇場バレエ研修所所長、浅草バレエスタジオ主宰、舞踊家として活躍。

古尾谷莉奈(ふるおや・りな)
大和シティー・バレエ ダンサー。佐々木三夏バレエアカデミーで学び、卒業。2018年、SBAジュニアカンパニー『くるみ割り人形』金平糖の精 主演。2020年、大和シティー・バレエ入団。主な出演作に、『GISELLE』ミルタ、『宗達〜能楽堂版〜』出雲阿国、『いばら姫』カエルなど。第76回東京新聞主催全国舞踊コンクール第3位、第53回埼玉全国舞踊コンクール第1位。

公演情報

Yamato City Ballet Summer Concert 2026 想像×創造 vol.7『天守物語』

日:2026年8月14日(金)14:30/18:00開演
場:大和市文化創造拠点シリウス やまと芸術文化ホール メインホール
料:+S席8,800円 S席6,600円 A席5,500円 B席4,400円(全席指定・税込)
HP:https://www.ycb-ballet.com/2026summer
問:大和シティー・バレエ tel.050-1310-7318(10:00~19:00)

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