チェコの傑作戯曲を男優集団が華麗に描く深遠な物語 百年?続く遺産争いの渦中に現れた謎の美女彼女の人生には壮大な秘密が隠されていた!

チェコの傑作戯曲を男優集団が華麗に描く深遠な物語 百年?続く遺産争いの渦中に現れた謎の美女彼女の人生には壮大な秘密が隠されていた!

 1985年に結成された男性演劇集団「Studio Life(スタジオライフ)」。脚本・演出を手掛けるただ1人の女性、倉田淳の卓越した演出力と男優たちの織りなす美しい舞台は女性客のみならず、多くの演劇ファンを魅了している。
 最新公演では、チェコの国民的作家カレル・チャペックによる傑作戯曲を新たな解釈で鮮烈に描く。1922年のチェコ。グレゴル家とプルス家による90年以上にわたる莫大な遺産相続を巡る裁判に判決が下りようとしていた。しかし、突如現れた高名なオペラ歌手 エミリア・マルティが誰も知らないはずの遺言書の在り処をズバリと言い当ててしまう。謎めいた佇まいと言葉の数々に翻弄されていく男たち。しかし彼女の人生には壮大な秘密が隠されていた。
 スリリングでテンポの良い言葉の応酬、絡み合う疑念と思惑に恋心まで加わり、 喜劇的要素をも孕みながら浮かび上がってくる深遠な物語世界をどう描くのか。スタジオライフの曽世海司、笠原浩夫に話を聞いた。

―――本作にどのような印象を持たれましたか?

曽世「あらすじを読むとミステリアスなストーリーに思えますが、前文にもあるように原作のチャペック自身はこれを『喜劇として書いたつもり』と明言しているんですね。確かに登場人物の会話を拾っていくとおかしなところが結構あって、そこを演出の倉田が拾って会話劇としての人間のおかしみを描くことで、原作に込められた“喜劇性”を出せたらと思っています。 
 90年以上にわる遺産相続をめぐる争いのさなかに、突如現れた高名なオペラ歌手 エミリア・マルティ。なぜ彼女が遺言書の在り処を知っているのか?という疑問が登場人物たちの間にうずまくところからお話が転がり始めます。
 なぜ90年以上も続く訴訟の詳細について彼女が知っているのか?という疑問については、エミリアに隠された壮大な秘密があるのですが、題名にもなっている“処方箋”が秘密を解く鍵だとも言えます。 美貌の持ち主とも言われるエミリアを演じるわけですが、舞台と衣装、ヘアメイクと状況がきっと私を麗人にしてくれると信じて演じたいと思います」

笠原「基本はミステリー喜劇ですよね。100年前の作品を読み解く難しさはありました。でも読み進むにつれて、この謎が解けるとこうなるのか! みたいな謎解きの面白さがありましたね。弁護士事務所からスタートして、最終的には当事者同士の模擬裁判へと向かう会話劇ですが、これまでのスタジオライフの作品にはないタイプだと思いました。でもクラシカルな作品を演じる度に思うのですが、最初とっつきにくくても、台詞を喋っているうちに、当時の人達はこんな風に考えているんだと思える面白さがあるので、今回も同様に楽しみにしています」

―――どこに視点を持つとより作品を楽しめそうですか?

笠原「それはエミリアの老い方ではないでしょうか。この女の人は一体何者なんだろうか?という舞台上にいる全員が思う疑問をずっと持ち続けていくことが面白さにつながるのではないでしょうか。また自分が演じるプルスもエミリアにまつわる秘密を握っているようなんですね。それを彼女に突き付けた時の反応もぜひ注目してもらいたいです」

曽世「僕もエミリアがどういう人か?という視点は1つの軸にはなると思いますが、そこに関わる登場人物たちが立場・思い・信条など、全く違うベクトルを持ってエミリアに関わるので、そこで生まれるズレに面白みが出てくると思います。それぞれの関係性にぜひ注目してもらいたいと思います。僕自身は入団以降、ずっと背中を追いかけてきた先輩の笠原さんと舞台上で対峙できることを楽しみにしています」

―――スタジオライフだからこその作品の見せ場はありますか?

曽世「男優集団であり、男性が女性を演じるということが一番の特長ですが、男性の肉体だからこそ描ける女性像や感情移入のしやすさがあると思っていて、お客さまに物語の世界により踏み込んで楽しんで頂ける要素があると信じています。男が女を演じることに対して観た方は最初に違和感を持つようですが、『すぐに慣れて5分で気にならなくなる』とよく聞きます。先ほども言いましたように、衣装・ヘアメイク・状況、そして周りの共演者たちの力で1人の女性に仕立て上げてくれる気がします。
 女性としての必要な所作はしっかりと追求しますが、男役・女役に関わらず、そこにある真実の感情を大事にするようにしています。男女を超えて1人の人間として向き合い、嘘のない台詞でやりとりをすることで生まれる関係性を描きたいというのが、演出の倉田を始め、スタジオライフのモットーとも言えます」

笠原「僕は演出の倉田の作品の締め方にあると思います。とにかく一筋縄ではいかない。絶対何か入れてくるというか、ちょっと違うエッセンスが入る。単調に終わる面白さもあるのかもしれないですが、倉田の場合は『いや! それだけじゃ物足りない!』と言って、一捻り二捻りするのが好きなので、そこが特徴だと言えますよね」

曽世「2006年にシェイクスピアの名作『夏の夜の夢』をやった時は、スタジオライフ版として倉田オリジナルの解釈が入りました。劇中劇の扱い方とか、当時、色々なところからとても斬新だと評価をいただきました。原作からドラスティック、ドラマティックに構成し直すこともスタジオライフの良さではないでしょうか。お客さまは女性が99%ですが、最近は男性の方も増えてきているので、ぜひ男性の方に来ていただきたいですね」

―――最後に読者にメッセージをお願いします。

曽世「あらすじを読むと、ちょっととっつきにくいかな?と思われそうですが、スタジオライフはリアルな心情描写を大事にして芝居作りをします。物語では裁判と謎の女という2本の軸がありますが、そこに生々しいリアルな会話を楽しんでいただければと思います」

笠原「ニュータイプの喜劇に挑戦していく感覚があります。スタジオライフの過去作にも通じるテーマ、『生と死』が本作にも流れていて、最後はどういう結末になるのかを楽しみにしていただければと思います。ご期待ください!」

(取材・文&撮影:小笠原大介)

プロフィール

曽世海司(そぜ・かいじ)
10月18日 宮城県出身。主な出演作に、スタジオライフ公演トーマの心臓、『アドルフに告ぐ』『夏の夜の夢』、プリエールプロデュース『世襲戦隊カゾクマン』シリーズ(作・演出:田村孝裕)、舞台『刀剣乱舞』士伝 真贋見極める眼(脚本・演出:末満健一)、アニメ『新テニスの王子様』黒部由紀夫役など多数。

笠原浩夫(かさはら・ひろお)
1月19日 宮城県出身。主な出演作に、スタジオライフ公演『トーマの心臓』、『訪問者』、『ヴェニスに死す』、舞台『メディア』、『錦鯉~にしきごい』、『魔界転生』、ドラマ『ビューティー7』、『カンテーレ』、『巡査鉄兵の推理日記2』など多数。

公演情報

Studio Life本公演『マクロプロスの処方箋』

日:2026年7月2日(木)~12日(日) 
場:ウエストエンドスタジオ
料:一般6,500円 オープニング感謝料金[7/2・3]5,500円 学生3,000円 高校生以下2,500円 ※学生・高校生以下は要学生証提示(全席自由・整理番号付・税込)
HP:https://studio-life.com
問:Studio Life(チケット担当) tel.070-7400-3928

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