カンパニーメンバーから刺激を受け、アクションもストーリーも丁寧に作りたい 初演に引き続き、原作ファンも納得のクオリティに

カンパニーメンバーから刺激を受け、アクションもストーリーも丁寧に作りたい 初演に引き続き、原作ファンも納得のクオリティに

 板垣恵介の人気漫画『刃牙』シリーズ。2024年の舞台化では実写化不可能といわれた刃牙ワールドを見事に描き、原作ファンからも高い評価を得た。2026年7月、第2弾としてシリーズ屈指の人気エピソード『最凶死刑囚編』を描く『刃牙 THE GRAPPLER STAGE2 ―最凶死刑囚編―』を上演する。
 初演から引き続き主人公・範馬刃牙を演じる佐藤祐吾と脚本演出を手掛ける田中大祐に、意気込みや本作の魅力について伺った。

初演はとにかく反響が大きかった

―――まずは2作目に対する意気込みを教えてください。

佐藤「初演は原作ファンの方からも僕のファンの方からもすごく嬉しい声をたくさんいただきましたし、同業者からの注目度も高くて、『刃牙』に出た後はどの作品の現場でも刃牙の話を振られるんです(笑)。それだけ期待値のある作品だったし、楽しんでいただけたんだと思いました。引き続き、初演のプレッシャーを忘れず、パワーアップした作品をお届けしたいです」

―――反響がすごく大きかったということですが、ご自身としては手応えなど、いかがでしたか?

佐藤「僕はアクロバットが得意な方ではないので、見せ方などに不安はありました。でも、日向野祥くんや野間理孔、桜庭大翔など、2.5次元舞台経験が豊富な方の中でもトップクラスに動けるキャストがパフォーマンスを支えてくれ、見応えのある戦いを見せられたんじゃないかと思っています。」

―――刃牙というキャラクターを演じる中で感じた魅力を教えてください。

佐藤「僕は『グラップラー刃牙』よりも『刃牙道』などの世代で、昔と今で刃牙の印象がだいぶ違いました。今の方が今の若者っぽきというか、初期は活発で情熱を感じて。舞台においては、ビジュアルも現在の刃牙に寄せていました。自分の中ではちょっと気怠げなイメージを持っていたので、演じる上で改めて『グラップラー刃牙』を読んで、シリーズを最初から追えたのは楽しかったです」

―――アクションに説得力を持たせるためにしたこと、苦労した点などはありますか?

佐藤「稽古開始前からキックボクシングの練習をし、公演が終わってからも続けています。当時は刃牙の2作目をやるという話はなかったんですが、もしもの時に備えて続け、格闘技の基礎をしっかり身につけました」

田中「前回の公演が終わってからも時々行ってるんだ?」

佐藤「そうです。最近はジムにも行き始めました。成長したので、初演の映像を観ると、意識したつもりでできていなかった部分が一瞬でわかりますね。 今回のビジュアル撮影で大祐さんにすごく良くなったと言われて、続けて良かったと思いました」

田中「確かに、ビジュアル撮影の時に久々に会ってポージングしてもらったら、明らかに上手くなっていました」

―――刃牙を演じる上でのこだわりを教えてください。

佐藤「お芝居に関しては、稽古に入るまでフラットでいようと思っています。やりたいことを固めすぎると、原作ファンが言いたいセリフを言っているだけみたいになるかもと思っていて。もちろん僕もファンではあるし、刃牙ステに出演できるのが本当に嬉しくはあるんですが、届ける側になるのでそこは抑えて、ストーリーをしっかり作っていこうと思います」

―――ちなみに、初演の時はどのように作ったんでしょうか。田中さんからの印象的なディレクションはありましたか?

佐藤「初演の時は、最初の2週間くらいひたすらアクション稽古をしましたよね」

田中「そうだね(笑)。事前に一緒にジムも行ったし。やっぱり刃牙をやる以上そこは手を抜けないので」

佐藤「キャラクターや芝居のことももちろんおっしゃってくださいましたが、それ以上に格闘技経験者としての言葉がありがたかったです。格闘技の基礎や刃牙らしい構え、雰囲気というところを重点的にアドバイスしていただいた記憶があります」

田中「みんな原作が大好きで、マンガやアニメを各々が徹底的に研究した上で稽古に参加してくれたので、そこはありがたかったです。その分、アクション稽古に時間を割けたというか、生身の人間がどうすれば刃牙の世界観を再現できるのか、そこは妥協せずに取り組めたと思います」

“刃牙といえば”な名セリフも多数登場ッ!

―――死刑囚編の物語やキャラクターの魅力についてもお聞きしたいです。

佐藤「やっぱり、死刑囚のみなさんそれぞれにドラマがあり、戦いのおもしろさもある。初演チームもとにかく気合が入っています。最近、花山薫役の桜庭と烈海王役の野間に会いましたが、身体がデカくなりすぎてヤバいですよ(笑)。刃牙に備えて覚悟がありすぎて、ビジュアル撮影でも刺青にすごく時間をかけてメイクしたそうです」

田中「花山の“侠客立ち”は今回の見どころの1つではあるので楽しみにしていてください」

佐藤「桜庭は初演から花山の刺青をやりたがっていたので、今回実現したのが嬉しかったらしく、撮影中に『これ見て!』って連絡がきました(笑)」

―――ちなみに、今回の台本は……。

田中「初稿を1回渡しました。大きい流れは伝わっている状態です」

佐藤「死刑囚編には“刃牙と言えば”という名ゼリフや名シーンもたくさんあるので、読んでいるだけですごく熱くなりました。早く聞きたいし言いたいです」

田中「原作の中でも『バキ』シリーズは、有名なセリフやネットミームになっているシーンが多いんです。そういう意味では、“あのセリフを生で聴ける!”という見どころもありますね」

―――名言はもちろん、バトルシーンがどうなるのかも気になるところです。

佐藤「それはもう、大祐さんにすべてお任せで(笑)」

田中「今、鋭意試行錯誤中です(笑)」

佐藤「新宿FACEで囲み舞台っていうのは大きいですよね。プロレスの試合も行われている会場で、お客さまに囲まれた状態でお芝居をするので、殺陣などのリアリティが必要になる。らば(桜庭)なんかはプロレスデビューもして、『当てていいよ』と言ってくるので、その辺も楽しみです(笑)」

―――今回パワーアップさせたいところはどこでしょう。

佐藤「ストーリーに関しては台本に素直に演じていけたらと思っています。肉体表現は準備したものが出るだけ。怪我しないよう、しっかり準備して本番に臨みたいです。キャストも増え、動ける方がたくさんいる時点で絶対にレベルアップしますし、初めましての方々もすごく動けるという噂なので安心。刃牙も対戦相手からインスピレーションを受けたり、動きを真似したりして超えていくことがあるので、みなさんから身体の使い方を学びたいです」

田中「前回よりもバトルシーンは増える予定です。今回もすごいキャストが集まってくれたので、パート1を超えるようなアクションを作りたいと思っています。ストーリーでいえば、刃牙が自分と向き合い、作中で成長していくのもポイントなので、そのあたりも注目してもらえたら」

―――気になっている方に向けて、生の舞台の良さを伝えるなら?

佐藤「DVDでも楽しんでいただけますが、生の舞台は音圧や迫力が全然違います。刃牙ステほど、生で観ることをおすすめしたい舞台はないですね」

―――今回初めて観る方に向けて、楽しみ方なども教えてください。

佐藤「普通の舞台では『ライブパートのみ声出しOK』などのアナウンスがあると思いますが、刃牙ステは入場の時から歓声が上がっていて驚きましたね。その空気感も、楽しんでいただけた理由の1つじゃないかと思います。客席を見ても、男性がすごく多くて、仕事帰りのサラリーマンの方や絶対に格闘技をやっているだろうなという方が歓声を上げてくださっていて(笑)。前回は徳川さんが先陣を切って盛り上げてくれました。ただ、前回は地下闘技場が舞台でド派手な入場パフォーマンスがあったけど、今回はゲリラ戦も多い。見え方が違うと思うので、どうなるのか僕自身も楽しみです」

田中「前回は、舞台上とお客さんが一体となって“地下闘技場に来たモブキャラ”として楽しんでいただけたと思います。今回は街中や公園など様々な場所でバトルするので、バトルを目撃した通行人の気分で楽しんでいただけたら嬉しいです」

熱意充分な仲間たちと切磋琢磨して作りたい

―――佐藤さんは原作ファンとのことですが、お気に入りのキャラクターはいますか?

佐藤「ピクルが大好きで、あとは宮本武蔵。今ちょうどアニメが始まったところなんですが、そこまで舞台化できたらいいなと思っています。周りからも、『舞台はどの辺をやっているの?』とすごく聞かれて、次が死刑囚編だと答えると『じゃあ宮本武蔵とかもやってほしい』とか、『あのキャラのキャストはあの人とかいいんじゃない?』とか、まだ上演していないのに、続編の話で盛り上がります(笑)。ピクルとの戦いもやりたいですね。シリーズが進むにつれて現実的ではない技やシーンが増えるので、舞台にするとしたら演出はどうなるんだろうという疑問はありますが、この先も楽しみです。」

―――刃牙は小さい頃から格闘技の英才教育を受ける人生を送っています。佐藤さんは小さい頃から続けていること、人に負けない特技などはありますか?

佐藤「習い事はたくさんしていた方です。水泳と太鼓と剣道、部活でアメフトをやって、さっきもお話ししたようにキックボクシングもして。そのおかげで体を動かすのが得意になったのかなと思っています。専門学生の時にダンスも始めて、幅広いジャンルを習いました。色々な経験をできたことが、役者としての強みにもなっていると思います」

―――刃牙は父の勇次郎を越えるべき目標としていますが、佐藤さんにとって越えるべき存在は。

佐藤「ないんですよね。自分自身、あちこち目指したいタイプというか。ハマりやすくて、色々な目標ができてしまうんです。例えば、“お芝居ならこの人”、“キックボクシングならこの人”という目標ができるし、それも有名な人というよりはジムによく来ている人、体格が自分と似ている人とか。小さい目標を順にクリアしていくタイプなので、目標はその都度変わっていきます」

―――では、今回の公演における目標は。

佐藤「今はまだ体づくりの段階なので、少しでも体を引き締めて大きくしたいです。まずは見栄えの完成度を高めようかなと。僕は食事が全然苦ではないので、大きくなりやすいんです。でも、刃牙は筋肉がありつつ着痩せして見えますし、キャラクター同士のバランスもある。今回はシコルスキーやドイルなど、大きい人が多いので、その中で引き締まったスタイルに見えるように体作りしたいです」

―――最後に、楽しみにしているみなさんへメッセージをお願いします。

佐藤「初演の時はほぼみんな初めましてで、“刃牙が舞台化する”というプレッシャー、“どうなるんだろう”という模索から始まりました。今回は初演メンバーとの信頼関係性ができています。そこに死刑囚編からのメンバーが入ってくる。いい意味でストーリーとリンクしています。キャストもみんな芝居やアクションに対するプライドを持っているので、クオリティについては相当自信を持ってお届けできるはず。まだ稽古前で、僕自身も予想がついていない部分が多いので、一緒にワクワクして待ちましょうッッ!」

田中「世界中にファンがいる期待値の高い作品です。原作ファンはもちろん、刃牙をはじめて体験するお客さんにも、刃牙ワールドの魅力が届けられるよう、今回も妥協せず丁寧に作っていきたいと思っています。楽しみにしていてくださいッッ!」

(取材・文:吉田沙奈 撮影:かしわだにたかし)

プロフィール

佐藤祐吾(さとう・ゆうご)
1994年8月29日生まれ、埼玉県出身。声優・俳優として活躍。主な出演に、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン、『僕のヒーローアカデミア』The“Ultra”Stageシリーズ、舞台『鬼滅の刃』シリーズ、アニメ『遊☆戯☆王SEVENS』など。

田中大祐(たなか・だいすけ)
1976年生まれ、東京都出身。作家、演出家、プロデューサーとして
活躍。近年の主な作品に、『舞台セラピーゲーム』、『前田慶次か
ぶき旅STAGE&LIVE』、『舞台魁!!男塾』など。株式会社Katana代表。

公演情報

刃牙 THE GRAPPLER STAGE2 ―最凶死刑囚編―

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